女子第24回全国高校駅伝大会山梨県予選が11月3日、富士河口湖町の西湖湖畔周回コース(女子 21.0975キロ)5区間で11校が参加して、都大路の出場1枠と関東大会出場6枠を目指して健脚を競い合った。4年連続12度目の優勝を目指す山梨学院のオーダーは、前回に走った2年の塩川結のほか4人は初出場。4人のうち2年の青葉愛は関東大会と都大路の経験者。そのほかの3人は新人の1年生となった。山梨学院の1区・青葉愛が1列目の右4番目から午前10時40分の号砲とともに一斉スタートした。青葉がすぐトップをキープし2位の韮崎とわずかな差で2区の高橋真以に、高橋が気力の走りを見せ韮崎との差を広げる。3区・榑林万由子、4区・塩川結、5区アンカー・斉藤暁が区間賞の力走を見せ、2位の韮崎に55秒差をつける1時間11分55秒でゴール。4年連続12度目の優勝を達成した。第1中継所の記録トラブルのため1区と2区の区間記録がなしとなり、2区の区間賞が幻となる残念な結果となったが、山梨学院は記録が確認された4区間 で区間賞を獲得した。山梨学院は12月23日に京都で行われる全国大会(都大路)に山梨県を代表して出場する。なお、男子も山梨学院が2年連続12度目の優勝を果たし、8度目のアベック優勝となった。
山梨学院は昨年、全員区間賞で山梨県大会新記録を樹立する優勝を成し遂げた。関東では山梨県最高順位3位、全国大会の都大路でも山梨県最高記録と最高順位13位を記録した。さらに上を目指す山梨学院は、1区・青葉愛(2年)、2区・高橋真以(1年)、3区・榑林万由子(1年)、4区・塩川結(2年)、5区・斉藤暁(1年)のオーダー。1区と4区が昨年の経験者で、残りの3区間は新人の1年生を起用。昨年、西湖1区1位・関東5区アンカー3位・都大路2区25位の田中結女(3年)、西湖4区1位区間新・都大路4区2位の野田友梨花(2年)、関東4区1位の矢田貝美咲(2年)ら、実績のある選手はノミネートされなかった。スタート時点の概ねの気象状況は、天気「曇り」、気温「10 .3度」、湿度「48%」、風向「北1.9m/s」。西湖レストハウス前に参加11校の選手が整列。午前10時40分の号砲とともに4年連続12度目の優勝を目指し、青葉が1列目の右4番目から一斉スタート。
◆第1区・青葉愛(あおば・めぐみ 2年)〈1位 記録なし〉(区間賞)チーム《1位 記録なし》
【西湖レストハウス前〜麦わら帽子自動販売機前】[6,000m]
□1区・青葉は初めて予選会を走るが、関東大会区間5位、都大路区間13位と経験を積んでいるだけあって、「レースの流れをつくらなければならない立場」と落ち着いてスタートを切る。集団のトップに立つと、予定どおりのタイムを刻む安定した走り。中盤の3キロを過ぎても韮崎の選手が「ついてきたので、焦った」と相手の想定外の走りに動揺する。ひたひたと追随してくる韮崎の選手を突き放そうと力走する。2週間ぐらい前にウエイトが増え、絞り切れていない青葉は、4キロ過ぎから「身体が思うように動かなくなった」。走りを立て直そうと、さらに走りに集中し手を確り振り粘る。「ラストは足を動かすことで一杯一杯だった」と力走。「区間1位で襷を渡せたのは良かったが、後ろとの差を つけられずに襷を渡した」と悔いの残る走りながら区間1位(チーム計測 20'20)で、1区中継所の麦わら帽子自動販売機前で待つ高橋真以(1年)に襷を手渡した。
◆第2区・高橋真以(たかはし・まい 1年)〈順位・タイムともに記録なし〉チーム《1位 記録なし》
【麦わら帽子自動販売機前〜民宿ふるさと前】[4,0975m]
□これまでになく調子が良い2区・高橋は、念入りにイメージトレーニングをして大会に臨んでいた。高橋は中継所にトップで来る青葉を確認、「イメージしていたより2位との差がない」と動揺する。高橋は左右に蛇行するコースで平常心を知らず知らずのうちに欠いていく。「納得できない走り」に横風が容赦なく吹き付ける。高橋はチームのために西湖独特の横風に煽られながらも懸命に走る。いよいよラスト50メートル、ここから上りのコース「襷を1秒でも早く繋ぎたい」と力走。高橋は「チームの責任を背負って走ることの難しさを痛感」しつつも、1年生ながら後続を引き離す走り(13'57 チーム計測)でトップを守り、民宿ふるさと前の2区中継所・榑林万由子(1年)に襷を繋いだ。タイム計測のアクシデントで個人順位とタイムが幻と化したが、高橋は重責を果たした。
◆第3区・榑林万由子(くればやし・まゆこ 1年)〈1位 10'03〉(区間賞)《1位 記録なし》
【民宿ふるさと前〜西湖漁業組合駐車場前】[3,000m]
□3区・榑林は襷を受け取ると「私が、さらに差を付けて頑張る」と勇んで走りだす。予定どおり走ったはずだが、上りに入る中間地点で時計を見ると「タイムが、良くなかった」。榑林は「チーム全員の襷の遅れを取り戻そう」と気持ちがやや逸ったが、冷静に逸る気持ちを抑えて「後半のコースの下りを生かそう」と心に決める。すると気持ちに余裕ができ、中盤からの上りを確りとした足取りでラップタイムを刻む。榑林は長く続く上り坂をひたすら堅実に走る。残り1キロメートル、満を持して待っていた下り「ここだ」と、ギアをチェンジし快走、西湖にでて残り300メートルも飛ばす。最後のカーブを曲がると平らなコースにでて、残り200メートル。残りの力を振り絞り激走し区間賞の好走で、 3区中継所・西湖漁業組合駐車場前で待つ塩川結(2年)に襷を渡した。
◆第4区・塩川結(しおかわ・ゆい 2年)〈1位 10'12〉(区間賞)《1位 記録なし》
【西湖漁業組合駐車場前〜森下キャンプ場バス停】[3,000m]
□4区・塩川は、昨年の5区アンカーで区間賞、関東2区16位、都大路3区12位と、今回の出場者の中では一番の経験者でチームメートをリードする立場。序盤「イメージどおり走れた」とカーブの多いコースを順調に走る。徐々に風も気になりだす中盤、「粘るところでは粘った」と力走する。後半になり「体重が増えた分、後半に重くのしかかった」と徐々に設定タイムより遅くなる。塩川は残り500を切り、平らなコースで自ら「頑張れ」と激励し加速する。最後のカーブを曲がり50メートルの直線を激走し後続を引き離す。昨年の5区アンカーに続く2年連続の区間賞の走りにも「体重が増え、自己タイムに比べて走れていない」と後悔の走りで、4区中継所の森下キャンプ場バス停で待ち構える アンカーの斉藤暁(1年)に襷を繋いだ。
◆第5区・斉藤暁(さいとう・あき 1年)〈1位 17'23〉(区間賞)チーム《1位 1:11'55》
【森下キャンプ場バス停〜男子第3中継所前】[5,000m]
□5区アンカー・斉藤は「皆で繋いできた襷なんだ」と襷を受け取ると肩にかけて走る。塩川からもらった襷には「仲間の勢いがあったので、その勢いに後押しされ」カーブの多い蛇行するコースを走る。なだらかな上がり、襷に手をやり「チームのものなんだ」と走りに自然と力が入る。中盤、独走の中で「攻める姿勢がだせずに、自分の弱いところがでた」と知らず知らずのうちに守りの姿勢に陥っていた。気づくと後半は、「腕振りが落ちてしまった」と何時もの軽快なリズムをキープできなくなっていた。「チームタイムも想定していたタイムより遅い。自分の弱さが出た」と唇を噛み締め皆の襷を掛けて走る。最後のカーブを曲がると200メートル先の西湖こうもり穴手前駐車場に仲間が待っている。斉藤は2位の韮崎に55秒差をつける1時間11分55秒と区間賞の走りで、両手でピースをつくり4年連続12度目の優勝を飾った。
□主将の田中結女(3年)は「1・2年生と若いチームながら走り切ってくれ、優勝できたことは良かったと思う」とテンポ良く述べ、「代表チームは1・2年生主体の若いチームなので足りないところがまだまだある、これから足りないところを補い、関東、全国に向けて、勢いづけていきたい」と関東、全国に思いを馳せる。「日頃支えてくださっている方や、応援していただいた皆様に、感謝したいと」と心の底から謝意を表し、「今日の優勝は通過点なので、関東で都大路で昨年達成できなかった8位以内の入賞を目指して行きたい」と熱く決意を述べた。
□萩倉史郎監督は「今日は緊張して走りが硬くてタイムが出ていない」と一言。選手が「3人1年生ということもあり、思った以上に緊張していた。不安が的中した」と唇を噛んだ。あとは「今回、代表選手が例年より早く決まり、日頃の生活面でのウエイト管理などにゆるみがでたことも要因」と渋い顔。「体調不良などで、普段の練習で自信を持って走れていないと、公式大会に良い形で表れないことが、選手たちは分かったと思う」ときっぱり。関東、都大路に向けて「ここに来て、野田、矢田貝、春先に調子が良かった坂口真子(1年)、夏に調子が良かった田中らの調子も戻りつつある。当然、全ての選手が代表選手争いの中にいる」と代表選手の入れ替えに含みを持たせる。「選手間の競り合いでチー ム力をたかめ都大路を目指したい」と語った。
文(H.K)、カメラ(今村佳正)(小池裕太)(八巻和夫)
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