
第44回全日本大学駅伝対抗選手権大会が11月4日、熱田神宮(愛知県名古屋市)から伊勢神宮(三重県伊勢市)までの8区間106.8キロで行われ、紅葉色づく伊勢路を舞台に26チームが健脚を競った。「全日本大学駅伝」は、10月の「出雲駅伝」正月の「箱根駅伝」とともに大学三大駅伝の一つと称されている。その中でも「全日本大学駅伝」は全国の予選会を勝ち抜いた25の大学が頂点を競うため、この大会が事実上の大学駅伝"日本一"決定戦となっている。44回目となる今年は、全国の代表25校とオープン参加の東海学連選抜チームの26チームが出場。25回目の出場となった山梨学院大学は、2年ぶりの参加。42回大会でシード権を失い、昨年は予選会を突破できず不出場。今年は、6月に行われた関東予選会をエノック・オムワンバや井上大仁らの活躍で1位通過。伊勢路を2年ぶりにプルシアンブルーの襷が 駆け抜けた。レース序盤、1区・井上大仁が区間2位の好走でレースの流れを作ると2区・エノック・オムワンバが区間新記録の力走を見せる。しかし、3区以降がこのリードをいかしきれず5時間20分33秒の8位でゴール。上位6チームに与えられる来年のシード権獲得はならなかった。優勝は駒澤大学が5時間12分43秒の大会新記録で2連覇を果たした。
山梨学院が2年ぶりに伊勢路に帰ってきた。第42回大会でシード権を逃し、昨年は予選会を突破できず不出場。今年は6月に行われた関東予選会を新留学生のエノック・オムワンバ(1年)や井上大仁(2年)らの活躍で1位通過、25回目の本戦出場を決めた。
午前8時10分、雲一つない熱田の杜上空に号砲のピストルの音と各大学の応援団やチアリーダーの声援が響きわたり、106.8キロの大学駅伝日本一を決める熱い戦いの火蓋が切られた。レース序盤、近年のスピード駅伝から、ハイペースが予想されたが、5kmを15分3秒という標準的なペースを刻む。1区の井上大仁は、スタート直後から上位集団に位置づけ、このペースに冷静に対応し、12km過ぎに2位集団を飛び出すと、先頭を走る東洋大学・田口雅也を追いかける。井上はそのまま快調に飛ばし、区間2位の記録で2区のエノック・オムワンバに襷をつなぐ。オムワンバは、1kmの入りを2分37秒と驚異的なペースで飛ばし、3km付近で前を行く先頭の東洋大の設楽啓太と並び 、3.8km過ぎに抜き去った。一時、9km付近で東洋・設楽に並ばれるも12km過ぎにラストスパートをかけ、一気に引き離し、区間新記録となる37分16秒で3区の松山雄太郎に襷を託す。3区・松山は5km手前で2位の東洋・延藤潤につかまり、5km過ぎに2位に後退。8km過ぎには駒澤大学・油布郁人にもつかまり、3位まで順位を落とし、トップから28秒差で4区・阿部竜巳に襷をつなぐ。4区・阿部は、順位を2つ落とし、襷は5位で5区・田代一馬に。5区・田代は初大学駅伝のプレッシャーからか思うようなレースができず、シード権外の8位で6区・松本大樹に襷をつなぐ。6区・松本、7区・鳥羽和晃は順位を上げれず8位でアンカー・8区の森井勇磨に望みを託す。8区・森井は粘りの走りで順位を上げようと必死で走るもシード権内の6位・日本大学の背中を捉えることができず、5時間20分33秒の8位でフィニッシュ。目標の一つとしていた来年のシード権獲得は ならなかった。
■第1区(名古屋市・熱田神宮西門 → 弥富市筏川橋西詰 14.6km)
井上大仁(2年 鎮西学院高) 43分23秒[2位] 総合・43分23秒「2位」
■第2区(弥富市筏川橋西詰 → 三重県・川越町高松 13.2km)
エノック・オムワンバ(1年 ケニア・ナイクル高) 37分16秒・区間新[1位] 総合・1時間20分39秒「1位」
■第3区(川越町高松 → 四日市市六呂見町 9.5km)
松山雄太朗(3年 福岡・自由ケ丘高) 28分05秒[10位] 総合・1時間48分44秒「3位」
■第4区(四日市市六呂見町 → 鈴鹿市寺家 14km)
阿部竜巳(2年 秋田工業高) 42分15秒[8位] 総合・2時間30分59秒「5位」
■第5区(鈴鹿市寺家 → 津市上浜町 11.6km)
田代一馬(1年 市立船橋高) 36分46秒[14位] 総合・3時間07分45秒「8位」
■第6区(津市上浜町 → 松阪市曽原町 12.3km)
松本大樹(4年 出雲工業高) 37分07秒[9位] 総合・3時間44分52秒「8位」
■第7区(松阪市曽原町 → 松阪市豊原町 11.9km)
鳥羽和晃(4年 前橋育英高) 35分43秒[4位] 総合・4時間20分35秒「8位」
■第8区(松阪市豊原町 → 伊勢神宮内宮 19.7km)
森井勇磨(4年 京都・山城高) 59分58秒[8位] 総合・5時間20分33秒「8位」
レース後の報告会で選手を代表し、8区・アンカーを務めた
森井勇磨選手は「結果として8位でシード権を獲得できませんでした。ここで、立ち止まっているのではなく、箱根に向けてリベンジしたいです」と厳しい表情で語った。2区で区間新記録を出した
エノック・オムワンバ選手は「初めての伊勢路、難しかった。次の箱根でも新しい記録を出せるようにもっと頑張りたい」と述べた。
上田誠仁監督は「レースは山あり谷ありの展開で、念願の6位以上、シード権獲得はならなかった。この結果を真摯に受け止め、来年6月の選考レースを経てまたこの地に戻ってきたい。年々レベルが上がり、今年はタイムが高水準の中で推移した。その中で区間順位を1ケタで走り抜けた選手もおり、一方で初めての駅伝のプレッシャーで思うようにいかない選手もいた。箱根も厳しい戦いが予想されるが良かった点を自信につなげて精進していきたい」と語った。また、報道陣から個々の選手の評価について聞かれると「1区・井上、2区・エノックは期待通りの走りだったが、終盤の選手で貯金を使い果たしてしまった。アンカーの森井は、粘りも見せ、箱根につながる走りをしてくれた。松本・ 鳥羽は大崩れすることなくこなしてくれた」と語った。
[最終順位]優勝・駒澤大学(5時間12分43秒・大会新記録)、2位・東洋大学、3位・早稲田大学、4位・日本体育大学、5位・明治大学、6位・日本大学。以上、来年のシード権獲得。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪、藤原 稔、Y.Y)
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