
平成24年度「男子第61回、女子第34回、全日本学生ホッケー選手権大会」(インカレ)は最終日の11月7日、京都・立命館大柊野ホッケー場で男女の決勝戦が行われた。女子の決勝は、3年ぶりの優勝を目指す山梨学院大と9年ぶりの優勝を狙う天理大との戦いとなった。試合は、開始早々の2分にFW中畝地里沙が先制ゴールを決めた山学大が、そのまま1−0で押し切った。得点だけ見ると接戦に思えるが、実際の試合展開は、山学大が天理大を圧倒した。ボールの8割から9割を支配、カウンター攻撃を受けてヒヤッとさせられる場面が2度ほどあったが、それ以外は天理大を寄せつけなかった。力を見せつけて3年ぶり5度目の優勝を果たした。男子の決勝は、立命館大が東京農大を振り払い、3年ぶり4度目の優勝となった。女子大会最優秀選手に山学大の中畝地 里沙が選ばれた。
山学大女子は、1回戦の関西学院大戦6−0、2回戦の駿河台大戦3−0、事実上の決勝戦といわれた準決勝の東海学院大戦を1−1(SO4−3)で劇的に勝利、最終日の決勝で天理大と頂上対決した。
平成24年度全日本学生ホッケー選手権 女子決勝
≪山梨学院大vs天理大≫(11/7)於 京都・立命館大柊野ホッケー場 |
○ 山梨学院大 1 |
前半 1−0
後半 0−0 |
0 天理大 ● |
得点 中畝地(山学)2分 |
決勝戦の山学大は、試合開始と同時に一気に攻め上がった。開始わずか2分だった、背番号5番FW中畝地里沙(なかせち りさ 4年 鹿児島・樋脇)が豪快に先制シュートを決め優位に立った。その後もスピーディーな展開で天理大を圧倒した。唯一29分に天理にPCを与えたが守り、前半を1−0で折り返した。後半も立ち上がりから主導権を握り、10分に中畝地がゴール前でリバースヒットシュートを打つが外れ、14分には9番FW浦島千春(2年 富山・石動)がGKをかわしシュートを放ったが天理のFB早戸の好守に阻まれた。天理大のカウンター攻撃を時折受けたが、全員が心を一つに結び、よく攻め、よく守った。天理は残り3分からはGKを下げ、フィールドプレーヤーを11人にしたが、ゴールに至らず。結局、前半の1点を守り切った山学大が3年ぶり5回目の優勝を果たした。
勝利の瞬間、ベンチに入れなかった控え部員もフィールドに飛び出した。去年の王座以来1年半ぶりの優勝、苦しい時を乗り越えてやっとつかんだ優勝だけに、その喜びは大きかった。先程までの戦場が歓喜の場となった。ジョン・シアン監督、伴田久美・永山衿香の二人の主将、天野真衣ら4年生が次々に宙を舞った。
唯一の得点を挙げ最優秀選手になった
中畝地里沙選手は「打った瞬間に入る感触があった。今まで4年生らしいことが出来ていなかったので本当に良かった。王座の時に悔しい思いをして、そこから、今までにないくらいのトレーニングをしました。シュートアウトで負けたので、一人一人がシュートアウトの練習も重ね、そのことが勝利につながったと思います」皆で勝ち取った勝利と話した。
伴田久美主将は「最後のホーンが鳴ったのが聞こえないぐらい試合に集中していて、皆が飛び上がって喜んでいるのを見て、あ〜 勝ったんだと思いました。本当に嬉しい限りです。正直まだ信じられない部分もあるんですが、苦しい時があったので良かったなと思います。最高の仲間がいて、本当に嬉しい」と率直に喜びを表現した。
ジョン・シアン監督は「いいゲームをしてもなかなか勝てなかったり、悪いゲームをしたり、苦しい1年でした。インカレに向けてチームを作り上げるのに不安な面もありましたが、選手がよく努力してくれました。前に出来なかったことが、出来るチームになったことが何よりも嬉しい、決勝では山梨学院らしい前に出るホッケーが出来たと思います」と選手の努力を称えた。
寺本祐治男子監督は選手に対し「3連覇できなかった男子の借りを返してくれた。去年も一昨年もチャンスがありながら勝てなかった3年ぶりの優勝、悔しい思いをした卒業生が皆に感謝をすると思う。4連覇した後、2年勝てなくて勝てた。悔しい思いというのも忘れられないが、嬉しい思いというのも忘れられない。3年生以下は、来年もこういう嬉しい思いが出来るように連覇を目指してほしい」と健闘を称えた。
今年の山学大女子は、「結」(むすぶ)という一文字をチーム・テーマに掲げた。そこには、全員で「団結」し、心を「結集」させ、優勝という「結果」を残そうという思いが込められた。しかし、前半戦は勝ちに見放され非常に苦しいシーズンを送った。6月の王座では準決勝で東海学院大にシュートアウト(SO)戦で連覇を阻止され、日本リーグでもいい成績は残せなかった。悪い流れを変えたのは、秋の関東リーグだった。9月23日の成城大戦で200連勝を達成、19年の年月をかけて築き上げた記録達成が、選手の心を鼓舞した。「私たちはやれる、心を一つに結んで戦えばインカレで優勝できる」と奮起、強い思いで大会に臨んだ。準決勝の東海学院大戦をSO戦4−3で劇的に勝利し、王座の 借りを返した後、伴田久美主将は次のように語った「すごい苦しい思いをした年だったんですけど、それを乗り越えたから今があると思うので、今までやってきたことを実らせるためにも、明日は優勝したい」と述べた。色々な思いを凝縮させて臨んだ集大成の場インカレ決勝戦、その舞台で、チームは「団結」し、心を「結集」させ、優勝という「結果」を残した。山梨学院大ホッケー部女子は、全員の心を一つに結び合わせて3年ぶり5度目の"大学日本一"を勝ち取った。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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