第91回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会は11月10日、甲府市小瀬スポーツ公園山梨中銀スタジアムで決勝戦が行われた。決勝は4年連続4回目の全国出場を目指す第3シード山梨学院高と全国初出場を目指す第4シード日本航空高の対戦。日本航空との決勝は2年ぶり。2年前は5対1の大差で山学が制し、全国切符を手中に収めた。試合は、前半11分にMF毛利駿也のハーフラインから40mのロングシュートで山梨学院が先制。山梨学院が積極的な攻めの姿勢を見せ試合の流れを作る。後半に入ると着実にボールをつなぐ全員サッカーの日本航空にゲームの支配権を奪われる。後半32分、航空のDFラインから前線にパスをつながれ、山学守備陣が対応できず同点に追いつかれる。その後、 前後半80分で決着がつかず勝負の行方は延長戦へ。延長前半、山学・航空ともに一進一退の攻防が続き10分が経過し延長後半へ。延長後半3分、山学のGK山田とDF小林が交錯し、航空に一瞬の隙をつかれ、勝ち越しとなる2点目を決められる。結局、これが決勝点となり、山梨学院は1対2で敗れ、4年連続の全国出場はならなかった。
試合会場となった山梨中銀スタジアムのバックスタンドには1000人を超す全校応援の大応援団が陣取り試合前から選手たちに声援を送る。試合前、スタンド南側には、縦横15mのビックユニフォームが広げられ、選手のモチベーションを鼓舞。応援リーダーの末木舜選手は「ピッチに出ているみんなのために応援で試合の流れを作りたい。選手の力になるように一生懸命応援を盛り上げたい」と力強く語った。山梨学院高は準々決勝を笛吹高に2対0、準決勝を甲府城西高に6対0で勝利し、4年連続で決勝の舞台に立った。4連覇を目指すこの大会、全国初出場を目指す第4シード日本航空高と対戦した。
第91回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会 決勝
≪山梨学院高vs日本航空高≫(11/10) 於 山梨中銀スタジアム
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● 山梨学院高 1 |
前半 1−0
後半 0−1
延長前半 0−0
延長後半 0−1
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2 日本航空高 ○
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得点 毛利駿也(山学) 山口和樹、立花大輝(航空)
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試合開始から、山梨学院イレブンは積極的にゴールを目指し、日本航空陣内で試合を進める。一方の日本航空も着実にパスをつなぎ、好機を伺う。先制は山梨学院。前半11分にMF毛利駿也が自陣でのインターセプトから、相手GKが前に出すぎているのを確認するとハーフライン上からロングシュート。ボールは相手GKの頭上を越えゴールマウスに吸い込まれた。40mのロングシュートに大応援団は沸き立ち、チームに活力を与える。この後、山学イレブンは再三チャンスを作り、航空は耐える時間が続く。このまま試合の勝敗は、山梨学院に傾くかと思われた。しかしながら、1対0で前半を折り返し、後半に入ると攻守が逆転。後半に入ると日本航空の着実にボールをつなぐ全員サッカーにゲームの支配権を奪われる。山学イレブンは主将でGK山田純平を中心にDF陣が踏ん張り耐え忍ぶ。後半32分、航空のDFラインから前線にパスをつながれ、山学守備陣が対応できず MF山口和樹に得点を許し、同点に追いつかれてしまう。その後、前後半80分で決着がつかず勝負の行方は延長戦へ持ち込まれる。延長前半、山学・航空ともに一進一退の攻防が続き10分が経過し延長後半へ。延長後半3分、GK山田純平とDF小林翔之が交錯し、DF陣に隙が生まれる。これを航空攻撃陣が見逃さず、一度はDF原島弘樹が体を張ってゴールを死守しクリアするが、こぼれ玉をFW立花大輝に押し込まれ、勝ち越しとなる2点目を決められる。この後山学イレブンはGK山田を含めた全員攻撃で得点を狙うも力及ばず、試合終了の笛がスタジアムに鳴り響いた。山梨学院は日本航空を相手に1対2で敗れ、4連覇の夢は絶たれ、選手権のピッチに立つことは叶わなかった。
試合後、吉永一明監督は「前半、先制したことで自分たちで攻撃の手を緩めている部分があったので、ハーフタイムに話をして危機感を持たせた。後半、相手の攻撃に耐え切れなくて追いつかれ、非常に残念な結果になった。この敗戦を今後いかさなければこの負けの意味が無い。しっかり財産になるようにしたい。プリンスも2試合残っており、山梨の代表としてしっかり結果を残したい」と厳しい表情で語った。先制点をあげた毛利駿也選手は「帝三と航空の準決勝を見て、航空のキーパーが前に出ていたので、ロングシュートの練習をしていた」と淡々と語り、敗戦について「出ていない3年生が、全国に行けば出場できたかもしれないので、チャンスがなくなってしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです。この敗戦を忘れず、練習したことしか試合では出せないので、練習から気持ちを入れてしっかりやっていきたい」と述べた。山田純平主将は「プレッシャーはもちろんあったが、絶対に勝つという気持ちで臨んだ。全選手が諦めずに最後までプレーした結果が負けで悔しいけど今は前を見るしかない。点を取る意識は最後まであって、取れなかったことは実力がなかったから」と言葉少なに語り、「まだプリンスが2試合残っており、2年生、1年生のためにも残留しなければいけない。今回、選手権に出ることはできないので残留して後輩たちに残したい」とプリンスリーグ1部残留を誓った。
試合後の表彰式では、山梨学院イレブンに、準優勝の賞状などとともに、今大会フェアプレーの精神で戦ったチームに贈られる「フェアプレー賞」が贈られた。4年連続の全国出場の夢は惜しくも掌からこぼれ落ちた。しかし、彼らはまだ大好きなサッカーをする機会を失ってはいない。プリンスリーグ関東1部の試合がまだ2試合残っている。彼らは、後輩たちのためにも残留を目指し、下を向かず、後ろを振り向かず、この敗戦を糧に前を見て走り続ける。
文(Y.Y)、カメラ(今村佳正、藤原 稔、Y.Y)
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