
平成24年度講道館杯全日本体重別選手権大会が11月10・11の両日、千葉市・千葉ポートアリーナで行われた。男女7階級の日本チャンピオンを決める大会に、山梨学院大からは男子5人、女子15人が出場した。1日目は、男子は軽量級から中量級、女子が中量級から重量級が行われ、優勝が期待された全日本選手権優勝の78s超級山部佳苗は残念3位、2年の井上愛美は大健闘3位となり、男子の73s級中村剛教が惜敗5位となった。2日目は、男子は重量級、女子は軽量級が行われ、山学勢は1年生の2人が健闘した。48s級の山崎珠美は、準決勝で先輩の浅見八瑠奈(コマツ)に敗れたが成長5位。63s級の佐野賀世子は敗者復活で躍進5位となった。OB・OG勢のうちロンドン五輪を 逃した浅見八瑠奈が48s級を制し復活優勝。昨年の男子主将100s級柴崎裕亘(福岡県警)が5位に入った。
≪ 女子78s超級 山部佳苗 ≫
山部佳苗(4年 旭川大高)は、2年前の講道館杯優勝者、4月の全日本選手権ではロンドン五輪銀メダルの杉本美香(コマツ)を下し優勝している実力No1だが、今回の講道館杯は取りこぼした。準々決勝で格下の市橋寿々華(大阪府警)に内股をすかされて優勢負けを喫してしまった。敗者復活戦は2試合とも豪快な投げ技で一本勝ちし3位の座は確保したが、田知本愛(ALSOK)が欠場した今回は、優勝して当然だっただけに残念な3位となった。山部佳苗選手は「力がないから負けた、稽古に打ち込みます。12月のグランドスラムに選ばれたら、そこでもう一度頑張りたい。卒業後はミキハウスに所属することになったので、大阪で稽古に励み、リオ五輪を目指したい」と語った。
≪ 女子78s超級 井上愛美 ≫
井上愛美(2年 愛媛・新田)は、1回戦で後藤美和(創価大3年)を技ありで下し、2回戦では稲盛奈見(三井住友海上)を攻め続けた。投げを打った後、さらに奥襟をつかんで投げる連続技を何度も試み有効を奪い勝利した。準々決勝は橋口ななみ(近大)から指導2を奪い優勢勝ち。準決勝で山部を下して進出してきた市橋寿々華に残り17秒で2つ目の指導を受け優勢負けしたが、見せ場は3位決定戦だった。相手の立山真衣(フォーリーフジャパン)は東海大時代に講道館杯を2連覇した身長も体重も一回り大きい強敵だったが、一歩も引かずに終始果敢に攻め続けた。GS延長でも両者ポイントなく、旗判定となったが、審判の判定は3人とも白の井上に上がった。井上愛美選手は「立山さんに投げられるとは思わなかったが、投げれるとも思えなかった。とにかく攻める柔道をしようと前に出た。ある程度戦えたので正直ホッとしました。自信と課題の両方を得ました」と振り返った。
そのほかの山学勢
男子73kg級
中村剛教(4年 京都共栄)は、あと一歩の所で決勝進出を逃した。準決勝の土井健史(天理大)戦を優勢に進めていたが、残り10秒に逆転の背負い投げを受け、3位決定戦も惜敗、5位となった。中村剛教選手は「残り10秒で気を抜いてしまった、まだ甘い。卒業後は大阪府警に内定したので、社会人で優勝を目指します」と飛躍を誓った。高3の昨年に講道館杯2位になった女子48s級
山崎珠美(1年 神奈川・三浦学苑)は準決勝で、尊敬している先輩の浅見八瑠奈との対戦を実現させた。得意の奥襟を持つ柔道はさせてもらえたが、大内返しで一本負け。3位決定戦では実力者の山岸絵美(三井住友海上)に奥襟に行くところを抱き上げられ、延長有効で5位となった。山崎珠美選手は「浅見先輩と初めて戦えて、受けが弱い課題が見つかった。攻めだけでなく、受けをしっかりして、力柔道の外国人にも勝てる柔道をしたい」と成長を誓った。女子63kg級
佐野賀世子(1年 富山・高岡龍谷)は、敗者復活戦を一本勝ちで制し3位決定戦に進んだが、中学時代からのライバル田代未来(淑徳高)に敗れ5位となった。佐野賀世子選手は「今日は良くなかった。初戦から指導2でやっと勝つ試合ばかり、いつもの技が掛けれなかった。冬の間に自分を鍛えます」と努力を誓った。
OGの48s級浅見八瑠奈(コマツ)は、決勝で十田美里(近大)を旗判定(3−0)で下し、五輪に出場出来なかった挫折を乗り越えて復活優勝を果たした。浅見八瑠奈選手は「決勝戦は、優勝したい気持ちが強すぎて攻め切れなかった。期待に答えられる選手になりたい」とインタビューで答えた。昨年度の
男子主将100kg級柴崎裕亘(福岡県警)は準決勝に進出した。準決と3位決定戦に敗れたが自己最高成績。柴崎裕亘選手は「社会人になったが、大学時代と同じように柔道に集中できる環境なので、もっと安定させなければいけない」とさらなる成長を誓った。
西田孝宏総監督は「山部は、全日本チャンピオンなのだから、悪くても悪いなりに優勝しなければいけなかった。井上は、去年のこの試合で肩を脱臼してやっと直して復調の兆しが見えてきた。中村はもったいない負け。佐野は肘を痛めていての出場で1年生コンビの佐野・山崎は良くやった。全体的に余りよくなかった」と日本一を決める講道館杯を総括した。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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アルバム山部選手 |
アルバム井上選手 |