
平成24年度「第38回内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権大会」が11月10・11の両日、東京・文京スポーツセンターで開催された。フリースタイル7階級の学生チャンピオンと、個人戦の成績を集計して大学日本一を競う大会。山学大は1日目の軽量級で、55kg級の高橋侑希と60s級の鴨居正和が優勝、66kg級の濱本豊3位で初日にトップに立った。2日目の重量級では取りこぼしもあったが、山学大最終試合の84s級3位決定戦で、主将の鈴木友希が2位日大との直接対決を制し大学日本一に輝いた。山学大の優勝は、小幡邦彦コーチが不滅の大会4連覇を達成した2002年以来10年ぶり3度目。大会最優秀選手に与えられる文部科学大臣賞は、1ピリオドも落とさ ずに優勝を飾った鴨居正和に贈られた。
山梨学院大レスリング部が、また一つ歴史を作った。舞台は内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権。1日目の55kg級で高橋侑希(1年 三重・いなべ総合)が今年3戦全敗だった学生王者の森下史嵩(日体大)を下し、大会史上19人目の1年生大学王者(山学大としては、小幡邦彦・大沢茂樹・金澤勝利に次ぐ4人目)に輝いたのに続き、60kg級の鴨居正和(2年 香川中央)が全日本選抜王者の池田智(日大)ら強豪がひしめく激戦の階級で、強敵を次々に倒し全国大会初優勝を達成させた。また、66kg級の濱本豊(3年 山口鴻城)が一度も勝てなかった岩渕尚紀(拓大)を破り3位。軽量級は弱いとされた戦前の予想を覆し、初日に30点を獲得しトップに立った。2日目の 重量級で120kg級全日本学生選手権両スタイル王者のエース金澤勝利(4年 岩手・種市)が"死の組合せ"でポイント0に終わる誤算はあったが、一階級上の96kg級に挑んだ亀山晃寛(2年 群馬・大泉)が初戦で学生王者の木下駿(拓大)を下す殊勲の白星、準決勝まで進み5位に食い込んだ。この時点で1位山学大と2位日大との差は僅差。団体優勝の行方は、主将の84kg級鈴木友希(4年 八戸工大一)と細谷翔太郎(日大)との3位決定戦に持ち込まれた。勝った方が団体優勝となる大一番で、鈴木は1Pを2−0、2Pを6−0(TF)と細谷を圧倒した。4年間勝てずに苦しい道を歩み、10月の大学グレコ選手権で悲願の初タイトルを獲得したばかりの鈴木は、主将として臨んだ最後の 試合でキャプテンの重責を果たし、母校に10年ぶりの内閣総理大臣杯・大学日本一をもたらした。
高橋侑希選手は「森下さんは、高校時代からの先輩ライバルで3年ぶりに勝つことが出来た。個人戦も団体戦も優勝、本当によかった」と語った。日本レスリング協会は、そのホームページで、[インターハイ3連覇の輝きを大学でもいよいよ放ち始めた高橋。"侑希伝説"の本章が幕を開けた]と紹介した。最優秀選手賞も獲得した鴨居正和選手は「上の事は考えずに一試合一試合戦ったら優勝してしまった。ほかの大学に負けない練習を積んで来たが、優勝できるとは思っていなかった。団体優勝に貢献出来たことが何よりも嬉しい。まだ2年なので多くの経験を積む時期。この優勝は置いておいて、焦らずにやっていきたい」と笑顔を見せた。鈴木友希主将は「3位決定戦は、ものすごいプレッシャーだったが、後輩が頑張っていたので頑張れた。10年ぶりの団体優勝なので本当に嬉しい。苦しいことの方が多かったが、頑張っていればいいことがあるんだなと思いました」と最後の秋にグレコで個人優勝、大学選手権で団体優勝を勝ち取った4年間を振り返った。小幡邦彦コーチは「軽量級で上位についていき、重量級で盛り返す計算でした。その逆の展開になってしまったが、最後の試合でキャプテンが去年負けた相手にリベンジしてくれた。個人的には、コーチになって4年目で初めて優勝させてもらった。成績を残せなかったことや、選手の実力を試合で発揮させられないことで、指導方法が間違っているのだろうか、と悩んだりもしましたが、今回、全員が頑張って結果を出してくれた」。選手の奮闘は、コーチに自信をもたらす優勝でもあった。最優秀監督賞を受賞した高田裕司監督は「1年の高橋、2年の鴨居・亀山、3年の濱本、4年のキャプテン鈴木が、それぞれの階級の強敵に勝って10年ぶりに優勝できた。最重量級で得点を稼げなかった分を、全員が良くカバーしてくれた。1人でも今の成績を下回っていたら優勝はなかった。よくやってくれた」と選手全員の健闘を称えた。
表彰式のプレゼンターは日本レスリング協会副会長の下田正二郎部長が務め、1位の表彰台に上がった鈴木友希主将と金澤勝利選手に内閣総理大臣杯と賞状を手渡した。真っ先に胴上げされた下田正二郎部長は「長かったですね、これまでにもいい試合はしていました。今年のリーグ戦も決して差はなかった。ただ、こんな大接戦を勝ってくれるなんて・・・」感慨無量の表情を見せた。
平成24年度内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権団体戦結果 |
順位 |
大学名 |
得点 |
優勝 |
山梨学院大 |
39,5点 |
2位 |
日本大 |
37,5点 |
3位 |
早稲田大 |
34,5点 |
4位 |
国士舘大 |
32点 |
5位 |
日体大 |
30,5点 |
6位 |
中京学院大 |
21点 |
7位 |
中央大 |
19,5点 |
8位 |
青山学院大 |
16,5点 |
山梨学院大の2002年以降の団体成績 |
年 |
リーグ戦 |
学生王座 |
大学グレコ |
大学 |
2002年 |
2位 |
3位 |
8位 |
優勝 |
2003年 |
4位 |
初戦敗退 |
10位 |
8位 |
2004年 |
3位 |
二回戦敗退 |
7位 |
8位 |
2005年 |
5位 |
二回戦敗退 |
6位 |
4位 |
2006年 |
A組3位 |
二回戦敗退 |
3位 |
5位 |
2007年 |
A組2位 |
初戦敗退 |
3位 |
3位 |
2008年 |
優勝 |
初戦敗退 |
優勝 |
3位 |
2009年 |
A組2位 |
3位 |
3位 |
3位 |
2010年 |
B組3位 |
3位 |
5位 |
8位 |
2011年 |
B組4位 |
(廃止) |
4位 |
5位 |
2012年 |
A組3位 |
|
4位 |
優勝 |
※リーグ戦=東日本学生リーグ戦、学生王座=全日本学生王座決定戦、
大学グレコ=全日本大学グレコローマン選手権、大学=全日本大学選手権
(資料提供 日本レスリング協会)
文(M.T)カメラ(八巻和夫・堀内武史)
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