「山梨県の特産品の美味しい料理コンテスト」が11月21日に山梨学院短期大学で行われた。食物栄養科栄養士コースの1年生90人が、自分で考案したレシピをもとに創作料理に取り組んだ。山梨県農政部・山梨県養殖漁業協同組合・山梨県総合農業技術センターなどの要請を受けて実施された産官学連携・地産地消推進活動。主菜は山梨の清らかな水で育った「淡水魚」、副菜とデザートは日本一の生産量を誇る「すもも」や「明野金時芋」などの山梨の特産品。連携団体から提供された食材を使い、学生たちは、一人2品のオリジナル料理作りに取り組んだ。山梨学院短大は、地域貢献につながる活動や実習に積極的に取り組んでおり、創作料理コンテストは3年連続での開催。学生が考案した作品は、 近く「特産品レシピ集」として短大ホームページに掲載されることになっている。
山梨の清らかな水で育てられる県産淡水魚は、ニジマスの生産量全国3位でありながら、知名度が低く、そのおいしさはあまり知られていないのが現状。山梨県養殖漁業協同組合は、昨年4月に味・身の色・飼育の手間などが塩焼きサイズとは大きく異なる大型のニジマスを「甲斐サーモン」と命名し、山梨ブランドとして販売に乗り出すなど、県産淡水魚の知名度アップに取り組んで入る。また、スモモは、桃とともに生産量全国1位でありながら、生食以外の食べ方があまり知られていないのも現状。今回の創作料理コンテストは、栄養士を目指す学生のアイデアで、特産品に新たな命を吹き込んでほしいという要請で実施された。
学生たちは、10月に県農政部の職員から県産淡水魚についての講習を受けて知識を学び、本番の創作料理コンテストに臨んだ。21日のコンテスト会場は、51号館2階調理実習室。午前中にBクラスの45人、午後からはAクラスの45人が取り組んだ。食材は、主菜は「甲斐サーモン」「ヤマメ」「イワナ」「鯉」の中から選び、副菜とデザートは「すもも」「明野金時芋」「手芋」「むかご」「甲州もろこし粉」「竹炭パウダー」などの特産品から選ぶ。学生たちは、若いアイデアで巧みに組み込み、それぞれが一人2作品を作り上げた。
審査は、県農政部の職員や連携団体のメンバーによって行われ、クラスごとに淡水魚賞3名、スモモ賞1名、特産品賞1名が贈られた。スモモ賞を贈呈した「ほったらかし畑再耕の結」会のふじもと好彦南アルプス市議は、スモモ賞受賞者に対し「畑を用意しましたので、スモモの苗を植えに来て下さい」と話しかけ、ユーモアあふれるジョークが学生たちの笑いを誘った。午前中に行われたBクラスのコンテストで淡水魚賞を取った3人に話を聞くと、それぞれがアイデアを凝らしていた。「甲斐サーモンの照りマヨハンバーグ」を作った佐藤沙莉さんは「ハンバーグの中に入れたのは、甲斐サーモンと豆腐、タマネギ、卵、ヘルシーに仕上げることを意識して作りました」と話し、仕上げたヤマメの姿が良く味が絶品と評価された「ヤマメの蒸し焼き」の羽田笑加さんは「フライパンに蓋をして蒸しただけです。手の込んだ難しい料理ではないので、まさか賞をもらえるとは思いもしませんでした」と笑い、「餃子のキノコあんかけ」の中丸雄暉さんは「餃子の中身はイワナとニラ、ニンニク、ショウガ、香りのあるものを重ねました。将来は、栄養士として働いて修業し、さらに努力して栄養士や調理人の気持ちが全部分かる管理栄養士になりたい」と夢を膨らませている。
審査員の一人、県農政部花き農水産課の三浦正之水産担当は「1年生が作った料理ということで、最初はどんな味かなと思って食べたんですが、ほとんどがとても美味しかったです。淡水魚の特徴を良く捉えて仕上げてくれて、水産をPRする県庁の担当者としては、非常に感謝しています」と語った。学生の指導に当たっている山梨学院短大依田萬代教授は「山梨県との連携は3年目で、年々充実しており喜んでいます。技術的にはプロに及ばないが、学生たちは斬新な発想で新しい料理作りに取り組んでくれました。取り組んだ作品のレシピ集を近く短大ホームページに掲載して紹介します。また、来年は、国民文化祭が山梨県で開催されますので、淡水魚を始め山梨県の特産品を広く全国にアピールする絶好の機会ですので、短期大学の学生たちも、地域の活性化につながる活動に積極的に協力して行きたい」としている。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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