山梨学院パブリシティセンター
全日本学生スピード選手権最終日
〜SP女王に土田愛、AR女王に高橋菜那〜
〜男子由井翔1万m2位総合3位の大健闘〜

平成24年度第32回全日本学生スピードスケート選手権大会は12月7日、群馬県総合スポーツセンター伊香保リンクで、順延された1日目の残り競技と最終日の競技が行われた。山梨学院大勢は、SP女子1000m1回目で土田愛が前日の500m1回目に続き連続優勝、2距離終了時で総合成績トップに立ったのを皮切りに、ARの新星高橋菜那も2距離終了時で総合トップに立ち、最終的にスプリントの女王に土田愛、オールラウンドの女王に高橋菜那が輝いた。一度に両部門の女王制覇は、長い歴史を持つ山学大スケート部でも始めての快挙、さらに、男子の由井翔が1万mで準優勝し総合成績でも3位に入る大活躍、主将の梅川風子が4年最後の冬で悲願の初優勝を獲得するなど全選手が健闘。1 月のインカレ団体優勝に大きな弾みを付けた。


大会1日目が、気温上昇と埋設パイプの故障に振り回され、中盤以降のレースが順延されたため、2日目(最終日)の競技は、1日目の残り5レースと2日目の8レースを1日で消化することになった。各選手とも「生まれて始めて体験する」という少ない人で3レース、多い人は4レースも滑る異例の大会なった。午前8時に競技が開始され、全ての日程が終了したのは午後9時過ぎだった。体力と気力の両方ともに限界の戦い、夏場の過酷な陸トレで体を鍛えた山学大勢は、過酷な状況を乗り越え、全員が全力で自分の力を発揮した。

≪スプリント女子1000m1回目 土田愛≫
土田愛(4年 駒大苫小牧)は前日の500m1回目を制した勢いをそのまま1000m1回目に持ち込んだ。最終組で滑り、600mまでは同走の辻中杏奈(大東文化大)や4組で滑った西端瞳(日体大)、6組の宮崎麻衣(信州大)のタイムに遅れていたが、ラスト1周が強かった。猛然とラストスパートし1分22秒64でゴール、逆転勝利で2種目を制し、2距離終了時で総合成績トップに立った。午後からの500m2本目は、優勝した主将の梅川風子(4年 大検)に次ぐ2位、1000m2本目も2位になり、初のスプリント女王を勝ち取った。土田愛選手は「総合優勝は初めて、うれしい限りです。技術的には、コーナーで肩が入り過ぎないようにすること、スタートで横に抜けないようにすることに努めて以前より早くなった。最後の500mと1000mが2位だったのは悔しいが、今年は風邪を引かないで来ていて調子が上って来ている、インカレまで調子を維持してチームに貢献したい」と優勝カップを手に微笑んだ。

≪オールラウンド女子5000m 高橋菜那・歸山麻衣≫
400mリンクを12周半する5000mは非常に過酷なレース、2組が200m間隔でスタートして4人が同時に滑るカルテットスタートで実施された。5組の歸山麻衣(4年 駒大苫小牧)・山田真以(日体大)と、最終6組の阿部真衣(日体大)・高橋菜那(1年 白樺学園)の4人が同時に滑った。結果は、1位阿部真衣、2位高橋菜那、3位歸山麻衣、4位に池田千奈美(1年 駒大苫小牧)が食い込み、6位小島早織(4年 佐久長聖)となった。この結果、オールラウンドの最終総合成績は、優勝高橋菜那、2位阿部真衣、3位歸山麻衣、4位池田千奈美、5位山田真以、6位小島早織の順となった。高橋は、種目優勝はなかったが、長身を利した大きなストライドで力強い滑走をする。500m 3位、1500m2位、3000m2位、5000m2位と全種目安定した成績で表彰台を獲得、オールラウンド力で1年生女王の座を獲得した。3位となった去年の女王歸山麻衣は、昨シーズン後に腰に痛みが出て、夏場に充分なトレーニングが出来なかったため出遅れていたが、ここに来てぐっと回復して来た。高橋菜那選手は「2位が3つと3位が1つの総合優勝で、全体的にタイムが良くなかったので、あまり喜べない。インカレに向けてフォームを一つ一つ直して、頑張れるようにしたい」と語った。歸山麻衣選手は「3000mも5000mも粘ることが出来なくて悔しい。練習出来ない時があったので、練習出来る喜びも知った。やっと調子が上って来たので、最後のインカレでは全力を出し切りたい」と復活を宣言した。

≪オールラウンド男子10000m 由井翔≫
由井翔(2年 市立長野)は、1日に4レースも滑った。長距離選手なので午前8時からの500mは15位だったが、ここから強かった。午後1時過ぎからの5000mは2位、午後4時半からの1500mは6位、そして、ナイター照明の下で滑る午後8時半からの最終種目1万mを向かえた。5000mの時はラスト1周で競り負けた佐藤裕斗(法政大)と最終組で再び対決した。今度は、ラスト2周で逆転し佐藤に競り勝った。14分45秒15で2位、総合得点166,588で総合成績3位を獲得した。同じ長野県川上村出身の由井篤樹(2年 佐久長聖)ら長身選手が多い男子勢の中では小柄ながら、抜群の身体能力の持ち主、男子勢でただ一人表彰台を獲得した。由井翔選手は「今まで、大会で結果を残せていなかったので、気合を入れて臨み、5千・1万とも2位、自分の中では満足いくレース展開が出来てよかったと思います」と語り、優勝カップを持つ2人の女王の真ん中でカメラに笑顔を向けた。

≪スプリント女子500m2回目 梅川風子≫
主将の梅川風子(4年 大検)が、4年最後の冬で、念願の、悲願の優勝を勝ち取った。前日の1回目は風をまともに受けていい滑りができなかったが、2本目はまったく違うレースをした。5組で滑走、力強いしなやかな滑りで同走の辻中杏奈(大東大)を圧倒し41秒50でゴール、後続の6組、7組の結果を待った。結果は、41秒53の土田愛、41秒71の宮崎麻衣(信州大)を抑えて1位。梅川はこれまで3位の表彰台に上ったことはあったが、優勝は一度もなかった。キャプテンとしてチームをまとめる責任と結果を残さなければいけないプレッシャーに押しつぶされそうになりながら懸命に耐え、ついに、表彰台の一番高い所に上った。梅川風子選手は「昨日は風をまともに受けて全然ダメでした。今日は和田コーチから1種目だけでも絶対取ろうと言われて、開き直りました、何よりもうれしい」。4年間ひた向きに練習に取り組み、やっとつかみとった優勝、梅川は嬉し涙が溢れ出そうになるのを堪えてインタビューに答えてくれた。

2日間の戦いを振り返り、和田貴志コーチは「1日目の天候やアクシデントで変則的な大会になり、選手への負担が大きかったが、男女ともよく頑張ってくれた。女子は二つとも総合優勝を取ってくれた。男子は、これまで長距離は振るわなかったが、由井翔が約15年ぶりに総合の表彰台に上るなど、襲田コーチの協力で長距離を強化してきた成果が表れた。4年生が頑張り、下級生が健闘してインカレに向けていい流れを作ってくれた」と振り返った。

今シーズンの日本学生氷上選手権(インカレ)は、1月6日から9日の日程で、栃木県日光市・宇都宮市で開催される。チーム山梨学院は、フィギュア陣を加え、一丸となって女子4連覇・男子1部昇格に挑む。

文(M.T) カメラ(平川大雪)
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