"箱根駅伝"第89回東京箱根間往復大学駅伝競走に出場する山梨学院大陸上競技部の壮行会が12月13日、大学キャンパスで行われた。上田誠仁監督を先頭に16人のエントリーメンバーが壇上に登場、牧野俊紀主将が「チーム全員の力を結集し、山梨学院大学の強さを全国に見せつけて来ます」と健闘を誓った。学生や教職員約600名が詰めかけ、拍手とエールで選手を激励した。今年のチームスローガンは、日本語に訳すと「苦しみなくして成長なし」という意味の「NO Pain NO Gain〜厳しさ求めろ!練磨で達成!〜」、結果を追求するために自分に厳しさを求め、練磨で達成するという意味合いが込められた。今年の山学大は、ケニアからの新留学生エノック・オムワンバ(1年) と井上大仁(2年)の両エースを軸に、上位5位以上を目指す。
壮行会に先立ち、今月10日早朝に甲府・緑ヶ丘体育館前でエントリーメンバーの発表が行なわれ、上田誠仁監督から牧野俊紀主将にプルシアンブルーの伝統の襷が手渡された。16人のエントリーメンバーは、4年が主将の牧野俊紀(千葉・西武台千葉)、鳥羽和晃(群馬・前橋育英)、篠塚春希(千葉・冨里)、藤岡将大(兵庫・報徳)、土田俊徳(山形・仙台育英)、松本大樹(島根・出雲工)の6人。3年は松山雄太朗(福岡・自由が丘)、的場一樹(宮崎・都城)の2人。2年は阿部竜巳(秋田・秋田工)、井上大仁(長崎・鎮西学院)、手塚祐太朗(山梨・山梨学院)、福沢潤一(長野・佐久長聖)、桃沢大祐(長野・上伊那農)の5人。1年が谷原先嘉(兵庫・市立尼崎)、前田拓哉(福岡・熊本 国府)、エノック・オムワンバ(ケニア・ナイクル)の3人。昨年の箱根経験者は牧野俊紀・松本大樹・井上大仁の3人。4年6人、3年2人、2年5人、1年3人の布陣で臨む。
昨年の山学大は、3大駅伝は箱根駅伝のみの出場だったが、総合成績9位(往路6位、復路14位)でシード権(上位10校)を確保した。今年のチームは、6月の全日本大学駅伝予選会で、2組で土田俊徳、4組でエノック・オムワンバが1位でゴールするなど、全体トップで本戦切符を手にし、2季ぶりに3大駅伝フル出場を決めた。10月の出雲駅伝は4位、11月の全日本大学駅伝では8位の成績を残し、いよいよ箱根路に挑む。戦前の予想では、優勝争いは全日本を制した駒大と、全日本・出雲2位で前回1位の東洋大を軸に、明大・早大・出雲を制した青学大の争いと予想され、山学大の評価は必ずしも高くはない。しかし、前評判が高くない時ほど激しく燃え、それを覆して来たのが山学大の歴史。出場全選手が、トラックのタイムでは計れない、ロードの力を発揮しシード権はもちろ ん、5位以上を目指す。
13日の壮行会は、昼休みの12時20分から大学キャンパス内40周年記念館前で行われた。上田誠仁監督を先頭に16人のエントリーメンバーが入場、小川健太陸上競技部主務がメンバーの名前と学年・出身校を紹介した。古屋忠彦学長は「素晴らしい成績を期待しますが、颯爽と胸を張って箱根路を走ってもらえれば、それだけで十分感動します。教職員や学生の皆さんやご家族の皆さんや地域の人たちも、みんながそんな感覚で見てくれると思います。厳しい時代ですが、山梨学院はそれを元気づける役割を果たしたい。山梨学院の使命を陸上部に託したい、健闘を祈ります」と壮行の辞を述べた。下田正二郎カレッジスポーツセンター長は「箱根駅伝というステージは、すべてのチームに優勝の権利と可能性がある。我がチームはトップを目指す集団、過去に3回優勝した名門校だと思います。27年間の間に伝統を築かれた監督を始めとするスタッフとチームの皆さんに改めて敬意を表したい」と感謝を述べて選手を励ました。青木貴樹学生会会長は「箱根駅伝という伝統ある大会に、常連校として出場することは大学の誇りです。努力の積み重ねと並々ならぬ思いがあるからだと思います。体調管理に気を付けて、悔いの残らぬよう全力で走ってください」と激励した。山梨学院大学附属幼稚園の園児代表2人が壇上に上がり、かわいい声で「頑張ってください」と励まし、園児全員で作ったくす玉を牧野主将に手渡した。選手を代表し牧野俊紀主将が「前回の箱根駅伝9位という結果から、この1年「NO Pain NO Gain〜厳しさ求めろ!練磨で達成!〜」というチームテーマを掲げて取り組んで来ました。一人一人が自ら厳しさを求め、厳しい練習をして確実に力をつけて来ました。皆さんの期待を背負ってチーム全員の力を結集し、1月2日・3日、テレビを通して皆さんに感動を伝えられるような走りをして、山梨学院大学の強さを全国に見せつけて来ます」と健闘を誓った。チアリーダー部とウインドブラスアンサンブルの共演で、応援パフォーマンスが行なわれ「フレー・フレー・ヤマガク」とエールを送った。最後に上田誠仁監督が「山梨学院スピリッツを箱根路で思う存分発揮しなければいけないなと思っています。かけっこの舞台としては最高の舞台、山梨学院のロゴを胸に、そのスピリッツを表すタスキを肩に思いっきり走れる。その喜びを噛み締め、個々の力を結集させ、ともに学ぶ学生や山梨県民の思いやりの心も結集させて、思い切り戦って来ます」と戦いに向かう決意を述べた。
壮行会を終えた選手たちは、午後1時からクリスタルタワー7階広報スタジオでマスコミ各社の合同取材に応え、午後3時前から川田『未来の森』運動公園陸上競技場で公開練習を行った。この日の甲府盆地は快晴、プルシアンブルーの青空と、御坂山塊の上に顔を表した白雪の富士が、選手の背中をぐっと押した。山学選手たちは、正月、その富士の裏側を疾風となって疾走する。
文 (M.T) カメラ(平川大雪・小池裕太)
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