山梨学院パブリシティセンター
学生チャレンジ制度で探究
〜甲州の「道祖神」・甲斐の古道「雁坂道」を調査〜
〜山梨学院大学考古学研究会〜

山梨学院大学考古学研究会の学生たちが、学生の活動を支援する山梨学院学生チャレンジ制度の認定を受け、山梨県内に伝わる道祖神や大学近くを基点とする雁坂道(秩父往還)・青梅街道に関わる石造文化財や民俗行事の調査に取り組んでいる。小正月の1月14日には、大雪が降る中で山梨市牧丘町塩平集落に伝わる道祖神祭「塩平の獅子舞」と甲州市藤木地区に伝わる「藤木道祖神太鼓乗り」を調査した。塩平の獅子舞では高さが10mにも達する「御柳(おやなぎ)」の下で、女獅子と呼ばれる獅子が、雪の中で舞い踊り五穀豊穣を願った。藤木の太鼓乗りでは、歌舞伎役者に扮した地区の人がどんど焼きの火を三方から囲み、太鼓の上で見得を切った。学生たちは、年に一度の伝統行事をカメ ラに収め、聞き取り調査を行った。2月末までに調査結果を報告書にまとめることにしている。
山梨学院大学考古学研究会の学生たちは、大学近くの山崎三差路が雁坂道(秩父往還)と青梅街道の基点に当たる事から、山梨県側の雁坂道・青梅街道の歴史地理・考古学調査に乗り出した。古文書調査や伝承聞き取り調査を行い、街道沿いの道標、道祖神、石造物などの分布を調べている。また、街道沿いの町々に伝わる民俗行事について「甲斐の古道プロジェクト」の一環として探求している。秋季学生チャレンジ制度で認定されたことから、昨秋から活動を始め、11月〜12月は甲府市東部・笛吹市・山梨市までの街道沿いの道標・道祖神・石造物などを実地踏査した。

大雪となった1月14日の小正月行事調査は、大柴俊太郎さん、塩田真有さんと途中から加わった清水勇希部長の学生3人と顧問の十菱駿武先生によって行われた。最初に訪れたのは、山梨市牧丘町の北原公民館前道祖神、降りしきる雪の中で実測調査を行った。さらに上流に遡り、鼓川流域最上流の塩平集落に伝わる山梨市指定無形民族文化財「塩平の獅子舞」を見聞した。350年ほど前から継承されているといわれる小正月行事、地区の道祖神を藁で作った「御仮屋(おかりや)」で包み、高さ10mに達する「御柳(おやなぎ)」の下で、女獅子が雪の中で舞い踊り家内安全・五穀豊穣を願った。学生たちは、獅子の舞いとどんど焼きの火で団子を焼く子どもたちの姿をカメラに収め、道祖神祭 の由来と伝承について聞き取り調査を行った。
夜7時からは、甲州市塩山の放光寺駐車場で行なわれた藤木地区伝統の小正月行事「藤木道祖神太鼓乗り」を見学した。地区の人が太鼓の上で歌舞伎狂言の一場面を演じることから「太鼓乗り」と呼ばれ、甲州市指定無形民俗文化財に指定されている。江戸時代から藤木地区に伝わる民俗芸能で、上藤木、下藤木、西藤木の各地区から運び込んだ胴回り約1mの大太鼓3基の上で、役者に選ばれた住民が歌舞伎を演じた。今年は「安達原三段目」と「三人吉三巴白波」の一場面が披露された。「三人吉三」のアンコールでは3人が甲州弁でせりふ回しを行い、学生や県内外から訪れた見物客の笑いを誘い、喝采を浴びていた。

山梨学院大学考古学研究会の学生たちは、今回の小正月行事調査に引き続き、1月末からは、未調査の甲州市沿いの雁坂道・青梅街道について、街道に関わる文化財・遺跡の分布状況を調査することにしており、2月末までに街道を軸にした考古学的・民俗学的調査結果を報告書にまとめることにしている。

文・カメラ(M.T)
塩平アルバム」「藤木アルバム
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