
科学が好きな子どもを育てる教育に取り組む小・中学校を表彰するソニー教育財団の「2012年度ソニー子ども科学教育プログラム」で、山梨学院小学校が2年連続して優秀校に選ばれた。1月26日に東京・品川のソニー本社で贈呈式が行なわれ、山内紀幸校長に表彰状と教育助成金が贈られた。今年度は199件の応募論文の中から、最優秀校2校、審査員特別賞2校、優秀校14校、奨励賞83校が選ばれた。山梨学院小は、初めて応募した昨年に続く受賞で唯一の2年連続優秀小学校となった。今年度の山梨学院小は「観察園」を新設して幼虫が蝶になるまでを観察、金環日食観測会やオクトーバープロジェクトで科学実験ショーに取り組むなど7つの教育実践に取り組んだ。学ぶ子どもの内面を把 握し、子どもの知識や見方を評価しようとする試みがユニークと評価された
ソニー教育財団のこの活動は、科学する心を育む教育を情熱的に実践している全国の学校を支援する教育助成プログラムで1959年から続けられている。小・中学校を対象にした「ソニー子ども科学教育プログラム」と、幼稚園・保育所・認定こども園を対象にした「ソニー幼児教育支援プログラム」の2部門がある。今年度は199校の小中学校と87園から合計286件の応募があり、書類審査・現地調査を経て入選校・入選園が決定された。ソニー本社で26日に上位入選団体の表彰が行なわれ、それぞれの学校・園に表彰状・教育助成金・ソニー製品目録が贈られた。小中学校部門の最優秀は愛知県西尾市立中畑小学校と愛知県刈谷市立富士松中学校の2校で教育助成金300万円とソニー製品が贈 呈され、山梨学院小など優秀校14校には教育助成金50万円とソニー製品が贈られた。
今年度の山梨学院小は、「自然や科学の学びを楽しむ子どもの育成のための"プラン2012"」を展開した。オクトーバー運動場が新設されたのに伴い、運動場の隣に「観察園」と呼ぶ植物栽培スペースを設け、サツマイモ、ヘチマ、キャベツなどを季節ごとに栽培、キャベツの葉についたアオムシが蝶に成長するまでを見守るなど植物や生物の成長過程をつぶさに観察した。また、その時々の現象をとらえ「金環日食観察会」を実施するなど、子どもたちの知的好奇心に応える環境構成に努めた。毎年秋に開催する学年の壁を取り払って学ぶオクトーバープロジェクトでは「科学実験ショーチーム」、「ジオ・リサーチチーム〜砂しらべ〜」で実験や現地調査を行うなど、様々な7つの教育実践に取り組ん だ。
応募論文に対する審査委員会の審査講評は「教師の働きかけと子どもの姿や変容が良く表現され、授業の実際が伝わる内容になっており、成果が出ていることが読み取れる。学ぶ子どもの内面を把握したり、子どもの知識や見方を評価しようとするユニークな試みが行なわれており、今後のさらなる深化を期待したい」という評価だった。
贈呈式に出席した
山内紀幸校長は「199件の応募の中で、2年連続取れた小学校は本校だけということで大変喜んでいます。先生方の努力や子どもたちの熱意によるところが大きいのですが、色々な施設面・設備面のバックアップを頂いていることが今回の受賞に結びついていると感謝しています」と表彰の感想を語った。研究代表の
小林祐一教諭は「秋のオクトーバープロジェクトでは『科学実験ショーチーム』『ジオ・リサーチチーム』といった既存の学習にとらわれないメニューを開発して、子どもたちと共に学習を深めて来ました。本校のプロジェクト学習については、ほかの学校にない独特の取り組みと思います、その部分を高く評価して頂きうれしく思っています。今後も中身を深め、さらに高めて行きたいと思います」と受賞の喜びを表現した。
山梨学院小は、教師は答えを教えることを極力抑え、子どもたちが自分で答えを学び出せるように導く授業「Less Teaching More Learning」を教育方針にしている。答えではなく学ぶことを教える努力が2年連続優秀校という成果を生んだと言えるのであろう。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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贈呈式アルバム」 「
活動アルバム(写真提供 山梨学院小)」