酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は2月1日、第十四回酒折連歌賞の大賞(文部科学大臣賞)・山梨県知事賞・山梨県教育委員会教育長賞・甲府市長賞・アルテア賞最優秀(山梨県教育委員会教育委員長賞)などの受賞作100選を発表した。大賞は、奈良県奈良市在住の水谷あづささん(45歳)の句に贈られた。問いの片歌「いっぴきの蟻がちくたく木の葉を運ぶ」の問いかけに、水谷さんは「ファーブルを夢見たころの時間のながさ」と答えの片歌を返した。選考委員のもりまりこさんは「蟻と子供と大人が巡る片歌の環の中で、遥かな時間が隣り合うように描かれている」素晴らしい作品と高く評価した。今年度の大会応募句数は29,323句、例年同様3万句近い多数の応募句が寄せられた。大賞からアルテア賞最優秀までの上位5作品の作者は、女性4人、男性1人、うち2人は高校生となった。受賞者の表彰式は2月18日に山梨学院広報スタジオで行われる。
大賞・文部科学大臣賞
(問いの片歌1、いっぴきの蟻がちくたく木の葉を運ぶ)
ファーブルを夢見たころの時間のながさ 水谷あづさ(奈良県奈良市 45歳 主婦)
山梨県知事賞
(問いの片歌2、山好きも海好きもいてこの島が好き)
国境はとうに消えてる私のなかで 坂内敦子 (福島県会津若松市 76歳 主婦)
山梨県教育委員会教育長賞
(問いの片歌3、あの橋を自分一人でわたってみよう)
好奇心以外はすべてここに残して 永松果林 (山梨県立甲府南高 16歳)
甲府市長賞
(問いの片歌4、人生は兎がいいか亀でよいのか)
陽だまりのベンチで語る米寿と白寿 朝山ひでこ (神奈川県川崎市 56歳 主婦)
アルテア賞最優秀・山梨県教育委員会教育委員長賞
(問いの片歌1、いっぴきの蟻がちくたく木の葉を運ぶ)
俺にくれわき目もふらないその一途さを 渡辺雄大 (早稲田大学高等学院 17歳)
酒折連歌賞は、5・7・7の問いの片歌に対して、答えの片歌を5・7・7で返す歌遊び。倭建命(日本書紀では日本武尊)ゆかりの連歌発祥地甲府市酒折宮にちなみ1998年に創設され、今年度で第十四回を数える。大賞(文部科学大臣賞)・山梨県知事賞・山梨県教育委員会教育長賞・甲府市長賞に加えて、高校生以下を対象に将来楽しみな才能を見出すことを目的に特別賞としてアルテア賞が設けられている。昨年度からアルテア賞最優秀に、山梨県教育委員会教育委員長賞が贈られることになった。上位5作品に加えて、入選(10作品)、アルテア賞(最優秀賞を含む10作品)、奨励賞(12作品)、次点(64作品)の合計100選が選出された。大賞を受賞した水谷あづささんは、第7回に佳作を受賞しており、上位入賞は2度目で初の大賞受賞となった。
今年度の大会応募句数は29,323句(男性14,682句、女性14,556句、不明85句)で例年同様に3万句近い多数の応募句数となった。最年少応募者は7歳(千葉県の女子)、最高齢応募者は北海道の96歳男性だった。全国の中学・高校で授業の一環に活用されることから、学校ごとの団体応募が多く、今年度も応募句の66%が10代で占められた。他の文学賞と比べると圧倒的に若い学生の応募が多い文学賞となっている。都道府県別では地元の山梨県が最も多く15,187句、次いで東京都の1,775句、埼玉県、神奈川県、大阪府、愛知県、千葉県、静岡県、福岡県、兵庫県がベスト10となった。海外からもアメリカなどから35句が寄せられた。受賞者の表彰式は2月18日に山梨学院広報スタジオで行われる。 尚、新年度の酒折連歌賞は、国民文化祭やまなし2013の事業の一環として、甲府市主催事業「酒折連歌」祭「酒折連歌賞」として2月1日から募集が開始された。
文(M.T)
100選の詳細及び選評は酒折連歌賞HP