山梨学院パブリシティセンター
第十四回酒折連歌賞 表彰式
〜大賞の水谷あづささんら5人に表彰状授与〜
〜受賞後に連歌発祥の地酒折宮を表敬訪問〜

第十四回酒折連歌賞の表彰式が2月18日、山梨学院広報スタジオで行われた。表彰式には大賞・文部科学大臣賞を受賞した水谷あづささん(奈良市)、山梨県知事賞の坂内敦子さん(会津若松市)、山梨県教育委員会教育長賞の永松果林さん(甲府南高)、甲府市長賞の朝山ひでこさん(川崎市)、アルテア賞最優秀・山梨県教育委員会教育委員長賞の渡辺雄大さん(早大高等学院)の5人が出席した。大賞を受賞した水谷あづささんは、第7回に佳作を受賞しており、2度目の上位入賞で初の大賞受賞となった。水谷さんは「詩歌を創作することで得られる様々な発見や喜びを多くの人に知ってほしい」と受賞の喜びを表現した。5人の受賞者は、表彰後、連歌発祥の地甲府・酒折宮を表敬訪問し受賞を報告した。


大賞・文部科学大臣賞
(問いの片歌1、いっぴきの蟻がちくたく木の葉を運ぶ)
ファーブルを夢見たころの時間のながさ 水谷あづさ(奈良県奈良市 45歳 主婦)
 
山梨県知事賞
(問いの片歌2、山好きも海好きもいてこの島が好き)
国境はとうに消えてる私のなかで   坂内敦子 (福島県会津若松市 77歳 主婦)    
 
山梨県教育委員会教育長賞
(問いの片歌3、あの橋を自分一人でわたってみよう)
好奇心以外はすべてここに残して   永松果林 (山梨県立甲府南高 16歳)
 
甲府市長賞
(問いの片歌4、人生は兎がいいか亀でよいのか)
陽だまりのベンチで語る米寿と白寿  朝山ひでこ (神奈川県川崎市 56歳 主婦) 
 
アルテア賞最優秀・山梨県教育委員会教育委員長賞
(問いの片歌1、いっぴきの蟻がちくたく木の葉を運ぶ)
俺にくれわき目もふらないその一途さを 渡辺雄大 (早稲田大学高等学院 18歳) 
 

酒折連歌賞は、5・7・7の問いの片歌に対して、答えの片歌を5・7・7で返す連歌。倭建命(日本書紀では日本武尊)ゆかりの日本の連歌発祥地甲府市酒折宮にちなみ1998年に創設され、今年度で第十四回を数える。大賞(文部科学大臣賞)・山梨県知事賞・山梨県教育委員会教育長賞・甲府市長賞に加えて、将来が楽しみな才能を見出すことを目的に高校生以下を対象にした特別賞のアルテア賞が設けられている。昨年度からアルテア賞最優秀に、山梨県教育委員会教育委員長賞が贈られることになった。今年度の大会応募句数は29,323句、例年同様3万句近い多数の応募句が寄せられた。表彰式に招かれた大賞からアルテア賞最優秀までの上位5人の他、入選(10作品)、アルテア賞(最優秀賞を含む10作品)、奨励賞(12作品)、次点(64作品)の合計100選が選出された。主催者を代表して古屋忠彦山梨学院大学長は「酒折連歌の道はまだ道半ばですが、若い人たちから支持されていることを嬉しく思います。ポピュラーではないので難しさは付きまといますが、歴史を積み重ねて存在感を高めて行きたい。受賞者の皆さんには2年連続を目指して頂きたい」と挨拶した。川手千興酒折連歌賞実行委員長は「短詩形文学の文学賞は女性の応募数が多いのが一般的ですが、全国の中学・高校で授業の一環に組み入れて頂いていることから、この手の文学賞では珍しく、男女ほぼ同数、応募者の66%を10代が占めています。酒折連歌が若い世代にも広がり嬉しく思います」と語った。

◎上位受賞者5人の横顔◎

☆大賞・文部科学大臣賞☆
水谷あづささん

水谷あづさ(みずたに あづさ)さん、昭和42年4月4日生まれ、45歳、主婦、奈良県奈良市在住、身長157cm、血液型A型、家族は夫・長女・長男。酒折連歌賞には毎年応募しており、上位入賞は第7回の佳作に続き2度目で初の大賞受賞となった。「問いの片歌を読んだ時に、すっとファーブル昆虫記に夢中だった子どもの頃を思い出しました。あの頃は今と違って毎日泥んこになって野山を駆け回っていました。問いの片歌の中に流れている時間と、自分にも流れている時間が、時間の輪の中で広がっていけばいいかなと思いました」と話し「歴史ある連歌にふれることができる良い機会ですので毎年応募を楽しみにしています。長所は集中力があるところだと思います。詩歌を創作することで得られる様々な発見や喜びを多くの人に知ってほしい」と受賞の喜びを表現した。

☆山梨県知事賞☆
坂内敦子さん

坂内敦子(ばんない あつこ)さん、昭和11年1月4日生まれ、77歳、主婦、福島県会津若松市在住、身長162cm、B型、一男一女は独立、夫と2人暮らし。会津地方の野の花の咲く時期をマイマップとして頭の中に持っている。第2回の応募用紙を手に入れて以来、毎年酒折連歌賞に応募、過去にも2度100選に選ばれた経歴を持つ。受賞作「国境はとうに消えてる私のなかで」について、ケニアを旅行した時に出会ったマサイ族の戦士とのエピソードを紹介しながら「我が家の主は元船員、その故でしょうか、一家にとって外国はそんなに遠いものではありませんでした。国境を忘れるという感覚を地球規模で共有して行けたらどんなに素晴らしいかと思います。ビートルズのイマジンが国歌ならぬ地球歌にならないかなあ、来年も賞を頂けると嬉しいなあ」と明るく笑った。

☆山梨県教育委員会教育長賞☆
永松果林さん

永松果林さん(ながまつ かりん)さん、平成8年4月23日生まれ、16歳、甲府南高1年、甲府市大里町在住、身長156cm、A型、家族は父・母・双子の姉、第22回伊藤園新俳句大賞で佳作特別賞受賞。受賞作の「好奇心以外はすべてここに残して」を作った動機は夏休みの宿題だったため、コンサート会場に向かう電車の中でふと思いついた。アメリカの火星探査機のニュースを見て「好奇心」という言葉の持つ前向きさと力強さに惹かれたことも背景にあったという。洋楽が好きで、部活は軽音楽部に入っている。長所はマイペースなところで短所は整理整頓が苦手なところ。「まさか受賞できるとは、思ってもいませんでした。地元山梨にこのような文化的で全国的な賞があり、素晴らしい賞を頂くことができて光栄です。将来は医師になって、国境の壁を越えて働きたい」と胸に夢を抱く。

☆甲府市長賞☆
朝山ひでこさん

朝山ひでこさん(あさやま ひでこ)さん、昭和31年8月1日生まれ、56歳、主婦、神奈川県川崎市在住、身長145cm、A型、家族は夫・娘2人・義母、国立音楽大学時代は音楽を学んだが、詩や物語を創ることに昔から興味があり、自己流で童謡詩・短歌・川柳・エッセイなどいろいろな賞に応募している。問いの片歌を見た時に、戦後多くの困難を経験し今は車椅子生活を送る92歳の母のことが頭に浮かんだ、施設の同年代の方々と陽だまりでお茶を飲む姿から「兎でも亀でもいいじゃないか!人生は諦めないで最後まで歩き続けることが大切なんだ」と思った。今まで経験したことがない言葉と心のキャッチボールにワクワクしながら歌を作った。一方的な主張ではなく、相手を受けとめた上で言葉を選ぶ連歌 のコミュニケーション力は現代人に必要。酒折を発信基地にしてもっともっと世の中に拡がっていってほしい」と話す。

☆アルテア賞最優秀☆
渡辺雄大さん

渡辺雄大(わたなべ たけひろ)さん、平成6年10月8日生まれ、18歳、早稲田大学高等学院3年、東京都調布市在住、身長170cm、A型、家族は父・母・姉。学校が毎年酒折連歌賞に団体応募。硬式野球部に所属していた3年最後の夏直前、80人の部員の中でベンチに入れるのは20人、レギュラーを獲りたいと練習に明け暮れながらも監督にアピール出来ず、心が折れかけている時に浮かんだ一句。自分を立ち直らせて、真っ直ぐ目標に向かうという気持ちをこめて作った。自分が「これだ!」と決めたことに対しては最後まで全力で取り組めるのは長所かなと思うが、逆に、あまり好きじゃないと思うことは作業が手抜きになりがちなのが短所だと思っている。授業の一環で作った句でまさかの受賞、こ の時の気持ちを忘れずに目標に真っ直ぐ向かい、賞に恥じない生き方をしたい」と若者はさわやかに語った。

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