山梨学院大学硬式野球部は3月29日、神奈川県の読売ジャイアンツ球場で巨人第2二軍「フューチャーズ」とプロ・アマ交流戦に挑んだ。山梨学院はプロ・アマ交流戦が解禁となった2011年の夏から、高橋一三監督のV9時代の古巣、巨人軍の第2二軍との交流戦を行い、今回で3年目3回の交流戦が実現。交流戦は、エース・高梨裕稔(土気)が、プロを前に「緊張した」と先頭打者に四球を与えたものの、予定イニングの5回を伸びのあるストレートとキレのあるカーブ、フォークで毎回三振を奪う好投。5回裏には内野手失策のランナーを二塁に置いて、プロを向こうに回す3者連続空振りの奪三振ショーは圧巻だった。守ってはエース・高梨が投球回数5回、打者17、投球数69、安打0、四球1、三振8で外野への飛球なしとエースの風格を披露。6回裏からは3投手の継投で安打4、四球4、失点2の内容。攻めては2回表、5番・菊池紳弥(学法石川)が一塁線を破る二塁打で出塁すると、6番・加賀美祐樹(東海大甲府)がそつなく犠打を決め一死三塁、7番・田中貴也(八重山商工)のやや浅い中飛球、菊池の好走もあり犠飛で先取点をあげた。高橋監督は「1対2と接戦で緊迫した良い試合だったが、6回から攻守でリズムを崩され、勝てた試合を落とした。投手・野手で多くの選手を出場させ経験させた。試合に出場出来ない選手はスタンドから観戦し、それぞれがプロから多くのことを学び取ったと思う。また、プロと交流し見えなかったチームの好不調があらわになった。春季リーグ戦へ向けて残り2 週間でチームを調整し、この経験を神宮へと繋げたい」と巨人第2二軍に感謝して球場を後にした。
●プロ・アマ交流戦〈 山梨学院大 対 フューチャーズ(巨人第2二軍) 読売ジャイアンツ球場〉
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☆[投 手]高梨裕稔(右)、諸見里尚(右)、土屋直之(右)、角張建(右) [捕 手]田中貴也
■エース・高梨裕稔(新4年・土気)は、1回裏「プロを前に緊張し、うわずる」と先頭打者をストレートの四球を与える。続く2番打者の3球目に「ストライクが入り落ち着いた」と空振り三振を奪い、2番打者を内野ゴロ、4番打者を見逃しの三振に切って取った。2回裏以降は「自分を取り戻し、自分のリズムで投球できた」と、3回裏、4回裏と毎回空振り三振と内野手への凡打に打ち取る。5回裏、内野失策で無死二塁の場面「慌てることなく、落ち着いて投球できた」と6番・7番・8番打者を「ストレートとフォーク」で空振りの三振に切って取った。汗を拭いながら「たまに抜けた球もあったので、そこは修正したい」と反省し、「監督さんが言われているとおり『今年は神宮に初出場する 勝負の年』。まずは春季リーグをエースの自覚を持って臨みたい」と述べた。常に「真っ直ぐの質を求めている」エース・高梨の万全な調整ぶりに裏打ちされた言葉は重い。
■捕手の田中貴也(新3年・八重山商工)は、エース・高梨について「巨人を相手にしても、ストレートは伸びていて球威があった。この冬越えて打者の手元でライズするようになった」と白い歯を覗かせ、「変化球はカーブの円弧、フォークの落ち、ともにキレがあって良かった」と絶賛した。後に登板した3選手について「プロと対峙して意気んで空回りしたところがあったが、平常心で臨めば大丈夫」と語気を強める。春季リーグ戦に向けて「バッテリーの調整を怠らず、神宮を目指したい」と頷く。「今日、登板しなかった新4年生の山田(祐也)さんを始め、まだまだ期待出来る投手は多い。バッテリーを中心とした守りをしっかり履行したい」と女房役が優しく笑顔見せた。
■11月、キャプテンに就任した平井慎也(新4年・富士学苑)は「チームのまとまりを第1に考えて、キャプテンを務めている」と口元を引き締めた。プロとの交流戦を終えて「プロとは『心』『技』『体』、どれをとっても違った。プロのプレーは素晴らしく、凄く勉強になった」と目を輝かせた。「今日の体験を生かして、明日のオープン戦の青山学院、4月に入っての城西戦に臨み、春季リーグ戦に備えたい」と頷く。いよいよ4月中旬に関甲新春季リーグ戦、「ここのところ2位止まり。何としてでも、優勝して神宮に行くことが目標なので、チームの特徴である『守備は高梨を始めとする投手を軸に守り抜き、打線は秀でる選手はいないので繋がりを持って戦う』ことに、チーム一丸となって全力を尽く したい」とキャプテンシーをあらわにし語った。
■高橋一三監督はプロとの交流戦について「選手にとって『プロは雲の上の存在』だった初回が、2回目はプロが身近な存在となり、これを契機により高い課題を見出し、普段の練習に生かされレベルアップとボトムアップができた。今回3回目も、我々指導者が教えられない課題などを、選手がプロ選手に『接して』、『見て』、『感じて』習得してもらいたいと部員全員参加で臨んだ」とチーム作りにとって重要視している。今日の交流戦は「1対2と接戦で緊迫した良い試合だった」と総括した。その上で「投手陣はエース・高梨が自分なりの投球ができた反面、普段制球力のある投手が一球もストライクが入らない。また、攻撃では大事なところのバントを決められないなど、プロ・アマ交流戦ならではの大きな収穫もあれば多くの課題も見つかった貴重な経験を、我々はさせてもらった」と巨人軍に感謝の念。4月13日初戦の「春季リーグ戦は神宮出場への近道。何としても調整を図って、うちの持ち味の『守りから少ないチャンスをものにする野球』を心掛けて、悲願を達成したい」と神宮を見定める。二本目の柱、山田祐也投手について「怪我や調子が悪くて起用しなかったのではなくて、ローテーションを逆算しての起用なので、山田を始め出場できなった投手がいる」と笑い。「こうした出場できなかった他の選手たちもプロ・アマ交流戦を見て、それぞれが感じ取り貴重な時間を過ごしてくれたと思う。この経験を神宮へと繋げたい」と語った。
文(H.K) カメラ(平川大雪・小池裕太)
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