
新潟県長岡市で開催されてきた世界水泳選手権・ユニバーシアード代表選考を兼ねた第89回日本選手権水泳競技大会競泳競技は4月14日、最終日の6種目を行い4日間の戦いを閉じた。注目を集めた史上初の6冠を目指した萩野公介(東洋大)と入江陵介(イトマン東進)との200m背泳ぎ対決は、ロンドン五輪メダリストの意地を見せた入江陵介に軍配が上がった。山梨学院勢は、3日目に男子の新星江原騎士が400自由形で決勝進出を果たし6位入賞、最終日に女子の新星山下安輝が200m背泳ぎファイナリストとなり5位を獲得した。シドニー記念水泳場で練習に励みリオ五輪を目指すカレッジスポーツセンター研究員(ミキハウス山梨)の鈴木聡美・酒井志穂だけでなく、出場したチーム山梨学院の全選手が、自分の力と泳ぎをステップアップさせる手応えを確かにつかんだ。
≪女子200m背泳ぎ 決勝 山下安輝≫
山下安輝(やました あき 2年 山口・豊浦)は200m背泳ぎが得意種目。午前中に行われた予選を8位で通過し、夕方からの決勝レースに臨んだ。50mの通過タイムは31秒50で6位、100mの折り返しは1分05秒08で7位に下がった。しかし、後半型の山下にとってはここからが勝負、150mのターンは1分39秒09で6位に上がり、ラスト50mで追い上げ2分12秒35でゴール、最終順位を5位に引き上げた。山下は高校時代に沖縄インターハイ200m3位の実績を持つ。山学大入学直後の昨年の日本選手権の成績は2分15秒02の20位だった。1年間でタイムを2秒半縮める努力を重ねてファイナリストとなった。
山下安輝選手は「山学大に入って、練習量が高校時代の2倍になりました。練習はとても厳しく、親任せだった食生活や生活面も自己管理になり大変(笑い)です。人間的に成長して、ただ決勝に出るだけでなく1位・2位を争う選手になるよう頑張りたい」と自身の成長を誓った。
この他の山学勢、平泳ぎ三冠に挑んだ鈴木聡美は、ロンドンのタイ記録で並んだ日本記録保持者の金籐理絵(Jaked)に次ぐ2位となり全種目制覇はならなかったが、短期間の練習で臨んだ五輪後初の公式戦で強さを見せつけ、7月にスペイン・バルセロナで開かれる世界選手権日本代表に選ばれた。200m平泳ぎの大林稜典(3年 山口・下関南)は19位、50m自由形の本間あかり(1年 岩手・羽黒)26位、200m平泳ぎの重森俊二(4年 鹿児島情報)49位となった。
山梨学院勢 最終日の成績 |
名前
|
学年 |
種目 |
記録 |
備考 |
鈴木聡美 |
研究員 |
200平泳 |
2分24秒80 |
2位 |
山下安輝 |
2年 |
200背泳 |
2分12秒35 |
5位 |
大林稜典 |
3年 |
200平泳 |
2分14秒08 |
19位 |
本間あかり |
1年 |
50自由 |
26秒83 |
26位 |
重森俊二 |
4年 |
200平泳 |
2分17秒64 |
49位 |
大会の会場となった新潟・長岡市のダイエープロビスフェニックスプールには、招待された地元長岡市内の中学生を始め、新潟県内外から連日2000人もの観客が訪れ、2つの日本新と5冠を獲得してニューヒーローとなった萩野公介を始め、鈴木聡美・加藤ゆか・入江陵介・北島康介・寺川綾らロンドン五輪のメダリストを中心に繰り広げられた4日間の「日本一決定戦」に熱い声援を送った。そして、山梨学院勢は、現役勢も大いに気を吐いた。3日目の400m自由形で江原騎士が3週間前に右足肉離れを起こし練習再開は大会4日前という状態ながら決勝に進み、6位入賞を果たした。また、最終日の200m背泳ぎで山下安輝も決勝に進出し5位を獲得した。地道に努力を重ねて来た青木健紘が4 00mと200mの個人メドレー2種目でB決勝に進出、200m自由形の金田有加も実力を飛躍させてB決勝に進出した。鈴木聡美の背中を追って泳ぎ込んでいる柴山鈴加が50m平泳ぎで自己ベストを更新するなど、出場した全選手が自身の力と技と泳ぎを成長させた。山学大水泳部にとっては、チームの目標である9月のインカレに向けて、自信と課題と収穫を得た日本選手権となった。
文(M.T) カメラ(平川大雪)