
2013年関甲新学生野球春季リーグ戦(第3節1戦目)は4月20日、栃木県の宇都宮清原野球場で3試合を行った。第2試合目は、2勝0敗勝ち点1で暫定1位同士の山梨学院大と上武大戦が激突。試合は山梨学院が、5人の投手から8安打・四死球7・相手失策3と繋ぐ野球で、上武に8回コールド勝ちし先勝した。先攻の山梨学院は4回表、先頭打者の中村圭輔(3年)が四球などで二死三塁とチャンスをつくると、6番・加賀美祐樹(3年)が中前に均衡を破る先制適時打を放ち1対0。再び6回表、先頭打者の3番・中村が昨秋ベストナインに輝いた4人目投手から目の覚めるような左への二塁打などでチャンスをつくり無死満塁とすると、6番・加賀美が5人目投手から技ありの一二塁間を抜 く右前適時打で2対0と上武を崩しにかかる。8回表には、犠打・安打・相手失策を絡め、5番・菊池紳弥(4年)の右を襲う2点適時三塁打などで、打者一巡する卓越した繋ぐ野球炸裂で5点を奪い11対0と試合を決めた。守っては、エース右腕・高梨裕稔(4年)が、8回を上武の猛攻打線28人と対戦し122球で2安打完封した。山梨学院は明日、午前9時から行われる第1試合で連勝を目指し勝ち点を奪いに行く。
□首位攻防戦、山梨学院は4月から就任した須田喜照コーチがレギュラー以外の野球部員全員を山梨からバスで引き連れ応援に乗り込んで来た。清原球場の電光掲示板にスターティングメンバーが浮かび上がり場内アナウンスが響き渡る。先発投手は、山梨学院はエース右腕・高梨裕稔(4年・土気)。上武は、昨秋ベストナインに輝いた右腕・池谷大樹(4年・藤枝明誠)ではなく、左腕・穂坂豪(4年・桐生第一)と告げられた。第3節1戦目、1暫定1位同士の激突とあつて、バックネット裏には多くの観客が詰めかけ、曇り気温9度南風4m/sと底冷えする球場に熱気が漂う。バックネットを挟み、両サイドに陣取る両校の応援合戦もヒートアップしてきた。
●関甲新学生野球春季リーグ戦(第3節1戦目)【 山梨学院大学 対 上武大学 】宇都宮清原野球場
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上 武 |
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※ 大会規定により8回コールドゲーム
●【山梨学院】
●[投手]高梨裕稔(勝ち投手 3勝0敗) 投球回数8回、打者28、打数26、投球数122、安打2、四球2、三振3、失点0
●[捕手]田中貴也
●[長打]〈二塁打 中村圭輔〉〈三塁打 菊池紳弥〉
●【気象状況(正午)】天気(曇り)、気温(9度)、湿度(34%)、降水量(0mm/h)風向(南4m/s)
◆先攻の山梨学院は1回表一死後、2番・渡辺晶也(4年・山梨学院)が内野安打で出塁。3番・中村圭輔(3年・熊本国府)の内野ゴロで二死二塁としたが後続が倒れチャンスを逸する。
◆1回裏、山梨学院エース右腕・高梨裕稔(4年・土気)が、1番打者を左飛、2番打者を中飛、3番打者を空振り三振に打ち取る立ち上がり。
◆2回表、先頭打者の5番・菊池紳弥(4年・学法石川)が死球で出塁すると、6番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府)の犠打で一死二塁とし、7番・田中貴也(3年・八重山商工)の一塁ゴロで二死三塁としたが、あと一本が出ず好機を潰す。
◆4回表、先頭打者の中村圭輔(3年・熊本国府)が四球を選び出塁。一死後、5番・菊池紳弥(4年・学法石川)の初球、中村が盗塁し、菊池の二塁ゴロで二死三塁とした。このチャンスに6番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府)がチェンジアップを中前に運ぶ先制適時打で1対0と均衡を破る。
◆5回表、先頭の8番・大丸浩平(3年・甲府商業)が、この回から登板した2人目右腕投手から四球で出塁し、9番・酒井雄史(3年・木更津総合)の犠打で一死二塁とする。主将1番・平井慎也(4年・富士学苑)のところで、上武が3人目として左腕投手を登板させる。主将・平井が一塁ゴロを打ち二死三塁。追加点を嫌がる上武は、ここで昨秋ベストナインに輝いた右腕・池谷大樹(4年・藤枝明誠)を4人目として投入。すると山梨学院の後続が池谷投手に抑えられ追加点できない。
◆6回表、先頭打者の3番・中村圭輔(3年・熊本国府)が右腕・池谷大樹(4年・藤枝明誠)から、目の覚めるような左への二塁打。続く4番DH・中西峻也(2年・甲府城西)の四球、5番・菊池紳弥(4年・学法石川)の死球で無死満塁とした。上武はたまらず、池谷から5人目となる投手交代。先制打を放っている6番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府)が、この右腕投手のストレートを振り抜く一二塁間を抜く右前適時打で追加得点を奪い2対0と上武を崩しにかかる。さらに7番・田中貴也(3年・八重山商工)の右翼手への犠飛で3対0。一死一三塁、8番・大丸浩平(3年・甲府商業)の初球スクイズで駄目押しの1点を加点し4対0とする。
◆7回表、先頭打者の主将1番・平井慎也(4年・富士学苑)が死球で出塁。続く2番・渡辺晶也(4年・山梨学院)の内野手の2失策を誘う内野ゴロで一転、無死二三塁とした。一死後、4番DH・中西峻也(2年・甲府城西)が左前適時打を放ち5対0。一死一三塁、5番・菊池紳弥(4年・学法石川)の二塁ゴロの間に渡辺が生還し6対0と点差を広げる。
◆8回表、先頭打者の7番・田中貴也(3年・八重山商工)が右前安打で出塁、8番・大丸浩平(3年・甲府商業)の犠打で一死二塁。9番・酒井雄史(3年・木更津総合)の中前安打で一死一三塁。主将1番・平井慎也(4年・富士学苑)の内野ゴロで、ホームを狙った田中が三塁手と捕手に挟まれたが捕手の三塁手への暴投を誘い、ホームインすると同時に一死二三塁とチャンスを大きく広げた。さらに2番・渡辺晶也(4年・山梨学院)の内野ゴロが内野手のフィールダースチョイスを誘い8対0。一死一三塁、3番・中村圭輔(3年・熊本国府)の遊ゴロで9対0。二死二塁、4番DH・中西峻也(2年・甲府城西)の死球で二死一二塁、5番・菊池紳弥(4年・学法石川)の右を襲う2点適時三塁打で1 1対0と、打者一巡する卓越した繋ぐ野球炸裂で試合を決めた。
◆8回裏、エース・高梨がDH6番打者と7番代打に四球を与え無死一二塁としたものの、8番代打を中飛に、9番代打を遊ゴロに、1番打者を二ゴロと打ち取り、上武に8回コールドで先勝した。
山梨学院は明日、午前9時から行われる第1試合で連勝を目指し勝ち点を奪いに行く。
□4回表・均衡を破る先制適時打、6回表・追加点を奪った殊勲賞の6番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府)は「4回表、二死三塁、絶対先取点が欲しかったので、『とにかく大きいのはいらない、ヒットで1点を取りに行く』」と自分に言い聞かせ打席に立った。「チェンジアップで崩されそうになったが、高め真ん中、内よりの球に食らい付いていった」と中前に運ぶ技ありので1対0とした。堰を切ったように「6回表の無死満塁、伊藤彰コーチに『ここで、振れれば流れも来る。当てに行ってゲッツー(併殺)なるより、三振でも良いから思い切って振って行けと』言われ、振り切ることだけを考えて打席に立った。外より低めのストレートを思い切り振り抜いた。チームに貢献できて嬉しい」と一気 に述べた。
□2安打完封で3勝目をあげたエース・高梨裕稔(4年・土気)は「初回から球が走りストライクが先行していたので、自分の持ち味のストレートで押して行った」とテンポ良く清々しく述べる。上武戦に心掛けたことは「味方が先制点を取るまでは、点を取られないようにすることに心掛けた」と頷く。なかなか先制点があげられなかったが「自分のピッチングに徹すれば、絶対に点を取られないと自分を信じ、いつか仲間が点取ってくれると信じて、一球一球気持ちを込めて投球した」と目を輝かせた。猛打の「上武打線に8回2安打完封は自信になった」と笑みを浮かべ、明日は「いつでも投げられるよう準備したい」と臨戦態勢で臨む決意を新たにした。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑)は、上武戦「いつもよりリラックスして、試合に臨めた」と汗を拭った。「試合中も気負うことなく、四死球や相手失策のあとに犠打や安打などで繋ぐ野球ができ、良い形で戦えた」と淡々と述べる。上武に完勝したがの問いに「今日勝っても、明日勝てなければ、意味がない」と切り返し、明日は「とにかく、点差の付いた試合のあとだけに、驕ることなくリラックスして集中して戦いたい」と冷静沈着に述べた。
□高橋一三監督は「最高のゲームだった」と開口一番。一息ついて「まさか、上武を相手にコールドゲームで勝つとは思わなかった」と満悦。攻めては「今まで、伊藤彰コーチがサインプレーだとか細かく指導してきた『繋げる野球』がゲームで実践できた」と、「打者は四死球、相手の失策を確実に、得点に繋げることができた」と重ねて語り大きく頷く。守っては「高梨は計算できる」と信頼を寄せる。今日も「しっかり2安打完封してくれて、言うことはない」とエースを称えた。「一人一人が自分の持ち味を出せた試合だった」と絶賛。明日も「常に、自分のできること、日頃やってきたことを100%出せるように心掛けて、試合に臨むよう選手に告げたい」と語尾を強め、「1ゲーム1ゲームを確 実に戦って行く」と気を引き締め球場を後にした。
文(H.K)、カメラ(平川大雪)
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