新学期が始まった山梨学院小学校で、子どもたちが自分たちで種や苗を植えて植物や昆虫の成長を観察する授業がスタートした。学習の場となるのは、オクトーバー運動場西側に設けられた「自然観察園」。観察園には、作物栽培スペースや自然の草花ゾーン、メダカが泳ぐ池などが設けられている。自然領域・生活領域の授業で、学年ごとに栽培や観察を行い、年間を通して園を活用して行く。4月には4年生がヘチマの種まきを行い、3年生が観察スケッチに取り組み始めた。山梨学院小は、科学を好きな子どもを育てる教育に熱心な学校に贈られるソニー子ども教育プログラムで2年連続優秀校に選ばれたばかり。教育方針は、「教える」教育ではなく、「学ぶ」心を育てる教育。自然観察園は科学する心 を育てる体験学習園として、心の成長を見守る場となっている。
学習の舞台「自然観察園」は、オクトーバー運動場の完成に合わせて運動場西側に昨年設置された。縦5m×横30mの150㎡のスペースには、種から花や実を育てる栽培スペースと自然のままの草花ゾーン、それに水生昆虫やメダカが泳ぐ池が設けられている。自然領域・生活領域の体験学習園として年間を通して様々な試みが行なわれる。開園2年目の今年は、4月16日に5年生がマルチを張って「キュウリ」を植えたのに続き、18日には4年生が「ヘチマ」の種まきを行った。種をまくために土を掘り起こすと、土の中から2匹の幼虫が出現、「これはいったい何だ」と大騒ぎに、図鑑で調べた結果、カナブンの幼虫と判明、「かわいそうだから、帰してあげよう」と土に戻す場面も見られた。新学 期から自然領域を学び始めたばかりの3年生が、観察スケッチに初挑戦するなど、様々な形で活用されている。
山梨学院小は、子どもたちに「もっと学びたい」と思わせる環境作りに力を注いでいる。自然領域・生活領域の授業では、自然界に関する理解を深めるための理科実験・野外実習を行い、子どもたちの知的好奇心をかきたてる取り組みを試みている。学校には、以前から幼稚園子育て支援センター西隣に「アルテア子どもファーム」があり、ここで作物を栽培しているが、少し離れているため、子どもたちがファームに足を運ぶのは、年に数回程度。自然観察園は学校の敷地内にあるため、授業の一環に活用されるだけでなく、休み時間に、花と蝶や水生昆虫を観察したい児童や、心を癒したい子どもが草花との会話を楽しむ場にもなっている。
指導に当たる市川寛教諭は「子どもたちが学ぶことが楽しい、知ることが楽しいと感じる授業を心がけています。目標・課題設定はするが、中の活動は子ども主体で、評価をきちんと行うようにしています。自然観察園は、子どもたちが本当の自然と触れ合う時の物差しになればと考えています。比較する材料を持つことで、自然への関心と興味が高まることを期待しています。学校は創立10年目を迎えましたが、先輩たちが作ってきた伝統が出来てきています。低学年の子どもたちが、自分たちも早く上級生のようにやりたいと、プロジェクトを中心とする課題探求型授業への関心がより高まっていることを実感しています」と話している。
山梨学院小の初等教育理念は、自律的な学習者としての基礎を作る教育の場としており、本物に触れ、異文化を体験し、知を創造し、仲間と触れ合う教育に他ならないとしている。子どもたちの「もっと学びたい」を刺激する自然観察園は、科学する心を育てる学習園として、子どもたちの心の成長を見守っている。
文・カメラ(M.I)
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