山梨学院パブリシティセンター
酒折連歌講座2013
〜第一回講座「古典の連句と酒折連歌」〜
〜今年は国文祭の関連事業として開催〜

山梨学院生涯学習センターは5月11日、酒折連歌講座2013を開講させた。この講座は今年で6回目を数え、今年度は、酒折連歌が山梨県で開催中の第28回国民文化祭・やまなし2013の甲府市主催事業『「酒折連歌」祭』として実施されるため、その中の事業として開講される。5・7・9・11の各月に各1回開催され、第1回となる11日は、和光大学表現学部教授で副学長の深沢眞二氏が講師を務め、「古典の連句と酒折連歌」と題し講演した。国民文化祭の関連事業とあり、山梨県内外から国文学や短詩型文学に興味がある80人を超える市民が申し込み、会場に詰め掛けた。深沢氏は日本の「韻文」の歴史を紐解き、問答形式の文芸である短連歌や長連歌の変遷について分かりやすく解説。さらに、酒折連歌を文芸の側面から、過去の入賞作品などを紹介しながら解説し、参加者らは時折メモを取りながら「連歌」に対する理解を深めた。


酒折連歌講座は、山梨学院大と酒折連歌賞実行委員会が主催する「酒折連歌賞」が創設10周年を迎えた2008年に記念事業として実施され、その後も山梨県内への「酒折連歌」の普及・啓発、文学の振興、文化の創造に寄与するため毎年開講し、今年で6回目の開催となる。今年度は、1月12日から第28回国民文化祭・やまなし2013が山梨県内で開催されており、甲府市が酒折連歌を市町村主催事業『「酒折連歌」祭』として実施し、酒折連歌賞、酒折連歌講座、酒折連歌の歴史展の3部門が行われる。講座は5・7・9・11の各月に1回ずつ計4回開講され、第1回目となった5月11日は、和光大学表現学部教授で副学長の深沢眞二氏が講師を務め、「古典の連句と酒折連歌」と題し講演した。国民文化祭の関連事業とあり、この講座には、県内外から80人を超える申し込みがあり、連歌発祥の地での連歌に関する学術講座への興味・関心の高さが伺えた。

講演に先立ち、この講座のコーディネーターを務めた「酒折連歌」祭企画委員会の川手千興委員長が講座の主旨説明と講師紹介を行った。講師の深沢眞二氏は1960年山梨県甲府市生まれ、京都大学大学院文学研究科修了で文学博士(京都大学2005年)。1993年に和光大学教員に着任し、現在、和光大学表現学部教授、副学長を務める。専門は日本中世・近世文学、とくに連歌俳諧研究。第一回から十回の酒折連歌賞の選考委員を務めた。

深沢氏は、講座の冒頭で日本の「韻文」(文芸)について「付ける」文芸(問答形式)と「作る」文芸(問答形式でない)に分類。その上で、「付ける」文芸の成り立ちとして、最も古い短連歌に触れ、甲斐国の酒折宮における日本武尊の逸話を紹介。その後、時代を経て変遷していく短連歌や長連歌を歴史書や和歌集に収録されている歌を例に挙げ、解説を行った。また、江戸時代に発展した「前句付」や「川柳」をユーモアを交えながら解説し、参加者から時折、笑い声があがる場面もあった。さらに、過去の酒折連歌の入賞作品の一部を読み説き、酒折連歌創作のポイントなどを紹介した。講座の結びで深沢氏は「付ける文芸の流れは、日本の文学的表現の中で清流のようにあり、歴史の中で何度も顔を出してきた。酒折連歌も付ける文芸の流れを汲んでおり、付ける思考を酒折連歌でもきっちり評価して欲しい」と語った。
 
酒折連歌講座の第2回目は7月13日に歌人で山梨県立文学館館長の三枝昂之氏が「酒折連歌を楽しむ」と題し講演。第3回目は9月14日に俳人で現代俳句協会特別顧問の宇多喜代子氏が「俳句と酒折連歌」、最終回の第4回目は国民文化祭記念特別講座として11月2日に国立歴史民族博物館館長で山梨県立博物館館長の平川南氏が「酒折宮と古代甲斐国」と題し講演を行う。
 
国文祭では、酒折連歌賞の作品も募集している。酒折連歌は五・七・七の問いの片歌に、答えの片歌を五・七・七で返す二句一連の片歌問答。俳句などと違い、作歌上の約束事は五・七・七で返すことのみ。問いの片歌に続く答えの片歌を作者の感性で自由に発想し、老若男女を問わず詠むことができる歌遊び。酒折連歌賞は2月1日から募集を開始しており、応募の締め切りは9月20日。最優秀作品には、大賞と文部科学大臣賞が贈られる。また、11月1日から10日まで甲府市酒折3丁目の酒折宮で地理的・歴史的背景、伝統芸能などについて紹介し、酒折連歌に関する資料を展示する「酒折連歌の歴史展」も開催される。

第28回国民文化祭甲府市実行委員会
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文・カメラ(Y.Y)

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