競泳のジャパンオープン2013(50m)は5月26日、神奈川・さがみはらグリーンプール(相模原市立総合水泳場)で最終日のレースが行なわれた。初日の男子200m自由形で3位に入り、2日目の400m自由形では2位と大活躍した江原騎士は、最終日の50m自由形にも出場、このレースでも自己新をマークした。3日連続3種目自己ベスト更新という離れ業を演じ、10月に中国・天津で開催される東アジア大会日本代表に選ばれた。また、男子200m個人メドレーの青木健紘と男子200m平泳ぎの大林稜典の2人がB決勝に進出し青木が4位(全体12位)、大林が6位(全体14位)となった。その他の山梨学院大勢は上位進出こそならなかったが、多くの選手が自己新をマークした。9月のインカレに向けて好感触を得たジャパンオープンとなった。
高校時代の江原騎士(えはら ないと 2年 山梨学院高)を知る筆者からすると、脆弱な体だった生徒が、わずか1年で逞しい心と体を持った学生に成長したと映る。2月の日本短水路選手権で1500m3位に入り頭角を現し、4月の日本選手権は肉離れで振るわなかったが、体調万全で臨んだこのジャパンオープンでは200m自由形3位、400m自由形2位と大躍進した。スピード力を競う最終日50m自由形の江原騎士はさすがに上位進出はならなかった(31位)が、23秒69は自己ベスト。50mから1500mまですべての種目に出場する選手なんて聞いたことがない。本人は「スピード力をつけるために50mにも取り組んでいる。持久力をもっとつけるために1500mにも取り組んでいる。200mと400mが中心的だが、今はまだ種目を絞りたくない。スピード力も持久力も、もっともっと伸ばしたい」と貪欲に自身の成長を探っている。すごい選手になったものだ。
≪男子200m個人メドレーB決勝 青木健紘≫
青木健紘(あおき たけひろ 3年 香川・高松工芸)は、予選11位でB決勝に進んだ。最初のバタフライは5位で通過、背泳ぎで7位に下がったが、得意の平泳ぎで一気にトップに躍り出た。最後のクロールが粘れず2分02秒75の4位(全体12位)でゴールした。青木健紘選手は「肩はまだ痛いが、A決勝が目標だったので悔しい。気持ちを切り替えてB決勝に臨み、平泳ぎでトップに出たところは良かったが、クロールを伸ばせなかった。インカレまでに苦手な背泳ぎを克服し、支えてくれているマネージャーや監督・コーチに恩返しがしたい」と物静かに語った。
≪男子200m平泳ぎB決勝 大林稜典≫
大林稜典(おおばやし りょうすけ 3年 山口・下関南)は、予選16位でB決勝に進んだ。50mは7位、100mで8位に下がり、150mも8位だったが、ラスト50mが伸びて2分14秒37の6位(全体14位)でゴールした。大林稜典選手は「周りは早くなっているのに、自分は去年のままで成長していない。問題点は判っているので、インカレまでに問題点をしっかり直して行きたい」と課題の克服を誓っていた。
この他の山梨学院勢
世界選手権に出場するOG鈴木聡美(チームジャパン)は、体調不良で200m平泳ぎは26位で予選落ちし2年連続の3冠はならなかった。女子50m背泳ぎの竹迫麻澄(2年 愛知・中京大中京)17位(自己新)、女子50m自由形本間あかり(2年 山形・羽黒)21位、小野川旭(1年 埼玉・正智深谷)29位(自己新)、黒部蒔子(高2 山梨学院高)34位、男子200m平泳ぎ重森俊二(4年 鹿児島情報)56位(自己新)など、多数が自己ベストを更新させた。
今年の山学大水泳部は、ロンドン五輪に出場した鈴木聡美・加藤和や下中千明・中坊彩・村上優海ら頼りになる先輩が多数卒業し弱体化が懸念されたが、そんなことを心配する必要はなかった。江原騎士を始め、若い力がしっかりと台頭して来ている。今回は振るわなかった200m背泳ぎの山下安輝(2年 山口・豊浦)も日本トップクラスの力を持っている。山下は悔しさをばねにして、次は巻き返してくれるだろう。2種目ともB決勝に進んだ個人メドレーの青木健紘。200m平泳ぎの大林稜典。2日目の200m背泳ぎで自己新をマークした篠田大夢(3年 新潟・長岡大手)。初日の800mと2日目の400mで健闘した自由形長距離の浅山美貴(1年 静岡・磐田農)ら下級生が実力を伸ばしている。そして、決して強いとは言えないが、4年間黙々と努力を重ねて来た平泳ぎの重森俊二は、最終学年のジャパンオープンで、50m・100m・200mの3種目とも自己ベストを更新させた。山学大水泳部の選手と学生マネージャーは、自分と真摯に向き合い、自分を向上させるために努力を重ねている。チーム最大の目標は9月のインカレ、今年は広島で開かれる。秋の広島の陣に向け、心を一つにして、全員が努力を重ねる。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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