明治杯平成25年度全日本選抜レスリング選手権大会が6月15・16の両日、東京・代々木第2体育館で開催された。明治杯は、選抜された各階級の全日本ランキング上位選手によって競われる。この大会から、新国際ルールが適用され1ピリオド(P)3分間、2Pのトータルポイント(7点差でテクニカルフォール)で勝敗が決まる。山梨学院大学からは、フリースタイル7人、グレコローマンスタイル2人、OB4人が選ばれた。大会初日のフリー55kg級高橋侑希が準決勝でライバルの森下史崇と戦い、1Pで0−6とされ、あと1点で敗退の崖っぷちから這い上がり、2Pで同点に追いつき、大逆襲勝利した。決勝で敗れたが、全日本レベルの大会で初の準優勝を獲得した。この他、グレコ60s級の雨宮隆二が3位の表彰台に上り、フリー60kg級鴨居正和が5位に入った。
国際レスリング連盟は、オリンピック存続に向けてルール改正を行い、試合をスピーディーでスリリングにするために、1ピリオド(P)3分間、2Pのトータルポイント(7点差でテクニカルフォール)で勝敗を決める方式に改め、ボールピックアップの運に左右される要素をなくした。この全日本選抜から新ルールが適用された。また、大会2日目に、選手や役員と会場の観客全員で「Save Olinpic Wrestling oh」とシュプレヒコールをあげてレスリング競技のオリンピック存続を訴えた。
≪フリー55kg級 高橋侑希≫
高橋侑希(たかはし ゆうき 2年 三重・いなべ総合)は、高校時代にインターハイを3連覇して山学大に入学。昨年のこの大会は5位になり、国体で優勝した。3月に自転車に乗っていて事故に会い、世界ジュニア代表を逃したが、5月の東日本学生リーグではチームを5年ぶりの優勝に導く立役者となった。2回戦から登場、初戦で社会人の強敵守田泰弘(和歌山県教育長)を破り、準決勝で高校時代からの2学年上のライバル森下史崇(日体大)と宿命の対決をした。1Pに場外に2回押し出され、攻めに行ったところを返され0−6と大ピンチに立たされた。しかし、この瀬戸際から逆襲に転じた。2Pに入りすぐに3点のビックポイント技で3−6とし、徐々に追い上げ、残り20秒に8−8の同点に追いつき試合終了、ビッグポイント差で逆転勝ちした。森下との対戦成績はこれまで劣勢だったが、5月の東日本リーグに続き2連勝した。決勝の相手稲葉泰弘(警視庁)は、ロンドン五輪出場を最後まで争った2010年世界選手権3位の実力者で、力が一枚上だった。1Pに片足タックルに行ったところを返されてローリングされ0−7となり、あっけなくテクニカルフォール負けした。高橋侑希選手は「決勝は、申し訳ないくらい簡単に負けてしまったが、こういう大会で入賞したのは初めてなので、この経験を次に活かして行きたい。もっと追いついて、追い越せるようにしたい」とさらなる成長を誓った。
≪グレコ60s級 雨宮隆二≫
グレコ60s級の雨宮隆二(2年 韮崎工)は、1年で臨んだこの大会は初戦敗退で終ったが、全日本学生レスリング選手権3位、天皇杯5位、JOC杯優勝と実績を伸ばし選抜された。1回戦で中村勇太(自衛隊)を3−2で下し、2回戦では佐々木孝(自衛隊)を4−0で圧倒した。準決勝で実力者の峯村亮(神奈川大職員)に0−7のテクニカルフォールで敗れたが、社会人に一歩も引かず対等に戦い3位の表彰台を獲得した。雨宮隆二選手は「今年も初戦からベテランとの対戦で、新ルールでもありどこまでやれるかなと思いました。1回戦・2回戦勝てて、準決勝も勝つつもりで行きました。峯村さんは学生とはうまさが違い経験の差を感じました。自分としては社会人2人に勝てたことで自信をつけた大会になりました」と確かな手応えをつかんだ。
その他の現役勢は、フリー60s級鴨居正和(3年 香川中央))がベスト8に進み5位となった。フリー66kg級濱本豊(4年 山口・鴻城))らは初戦を突破できなかった。フリー84s級亀山晃寛(3年 群馬・大泉))は腰を痛め棄権した。OB勢では、グレコ60s級の倉本一真(自衛隊)が天皇杯に続き連続優勝、世界選手権代表を勝ち取った。倉本一真選手は「自分がレスリングをやれているのは、山学大で下田先生、高田先生、小幡コーチに導いて頂いたおかげです。世界選手権でメダルを取って恩返しをしたい」と母校への感謝を述べた。グレコ96s級の山本雄資(警視庁)が準優勝、グレコ96s級の有園拓真(ALSOK)が3位に入った。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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