平成25年全日本学生柔道優勝大会が6月22・23の両日、東京・日本武道館で開催された。1日目は男子の1回戦と女子の1回戦から決勝までが行われた。12年連続12回目出場の女子は、順当に決勝に勝ち進み、昨年初優勝を許した岡山の環太平洋大と3年連続対決した。結果は2−3の惜敗、あと一歩の所で連覇を許し準優勝、2年ぶりの優勝旗奪還はならなかった。一方、17年連続17回目出場の男子は、1日目の1回戦で徳山大、2日目の2回戦で札幌大を下し3回戦に進出した。対戦相手は関西の名門天理大、3勝3敗1分けと大接戦を演じたが内容差で惜敗、2年連続のベスト16となった。今回の優勝大会には、一般学生を募って行われる「山梨学院大学カレッジスポーツ観戦ツア ー」が始めて実施され、大勢の学生が日本武道館のスタンドから、母校の選手に大声援を送った。
女子は5人制の部と3人制の部の2部制、山学大は強豪校が集う5人制の部に出場。初戦の仙台大戦はやや硬くなり3−1としたが、2回戦日本大4−0、準々決勝福岡大5−0、準決勝東海大4−0と尻上がりに調子を上げ決勝に進出した。対戦相手の環太平洋大学(IPU)は新興チームながら、バルセロナオリンピック金メダリストの古賀稔彦氏が総監督を務める急速に力をつけて来たチーム。大会史上初の3連覇を狙った昨年は、代表戦の末にIPUに初優勝を許した。
全日本学生柔道優勝大会・女子5人制の部決勝(6/22)於 日本武道館
≪山梨学院大vs環太平洋大≫
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先鋒 |
次鋒 |
中堅 |
副将 |
大将 |
山学大 |
連 |
塚田 |
馬場 |
佐野 |
井上 |
|
○
技あり |
●
技あり |
●
一本 |
●
一本 |
○
一本 |
環太平洋大 |
谷本 |
黒木 |
ヌンイラ |
高橋 |
梅木 |
山学大2勝3敗 準優勝
先鋒の主将連珍羚(れん つぇんりん 57s 4年 台北錦和)は、グランドスラム東京準優勝の谷本和を小外刈りの技ありで下し勝利。次峰の塚田紗矢(57s 3年 國學院栃木)は、講道館杯52s級優勝の黒木美晴に、序盤で技ありを取られそのまま押さえ込まれたが、10秒で懸命に振りほどいた。そのあとは、果敢に攻めたがポイントを奪えず敗れた。中堅の馬場菜津美(70kg 4年 埼玉栄)は変則柔道に磨きが掛かり、ガーナ人の父親を持つ強敵のヌンイラ華蓮から指導1を奪うなど、常に先に先に攻めて引分け寸前だったが、最後の攻防の残り14秒に投げを喫し一本を取られた。副将の佐野賀世子(63kg 2年 高岡龍谷)は、1階級上の70kg級の高橋ルイを積極果敢に攻めたが、体がもつれた一瞬の大外刈りで一本負けした。大将の井上愛美(78超級 3年 愛媛・新田)は、開始わずか14秒で一本勝ち。惜敗の2勝3敗で 惜しくも優勝を逃した。連珍羚主将は「いいテンションで決勝に進んだが、勝てなかったので悔しい。体重別団体戦では絶対優勝する」。山部伸敏監督は「選手はよく頑張ったが、踏ん張りきれなかった。2位では満足できない。団体戦の悔しさは団体戦で晴らす」。主将と監督は揃って11月の体重別団体戦での雪辱を誓った。女子の成績は、5人制の部、優勝環太平洋大、準優勝山梨学院大、3位帝京大・東海大。3人制の部、優勝東京学芸大、準優勝創価大、3位鹿屋体大・道都大の順となった。
全日本学生柔道優勝大会・男子3回戦(6/23)於 日本武道館
≪山梨学院大vs天理大≫
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先鋒 |
次鋒 |
五将 |
中堅 |
三将 |
副将 |
大将 |
山学大 |
白石 |
飯田 |
藤木 |
鈴木 |
中村 |
大町 |
前原 |
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●
一本
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引分け |
●
一本 |
○
一本 |
●
一本 |
○
技あり |
○
一本 |
天理大 |
村上 |
石内 |
安田 |
辻本 |
大野 |
西田 |
丸山 |
山学大3勝3敗1分け 内容差で敗退
男子はすべて7人制、柔道本来のスタイルである無差別級で戦われる。山学男子は、一昨年に西の名門関西第1代表の強敵天理大を下し2年連続となる3位を獲得したが、昨年は天理大に敗れベスト16だった。22日の1回戦で徳山大を6−1、23日の2回戦で札幌大を7−0(全員一本勝ち)と圧倒して3回戦に進出した。相手は3連連続となる天理大、リベンジを胸に強豪に立ち向かった。先鋒の白石公康(81s 2年 作陽)は開始早々に押さえ込まれたが残り1秒で振りほどき、懸命に攻め返した。しかし、終盤に技ありを取られ合わせ一本で敗れた。次峰の飯田健伍(107kg、2年 東京・崇徳)は奥襟を取ろうとするが組み勝てず引き分け。五将藤木暢志(81kg 4年 汎愛)は善戦したが、残り4秒に投げられ一本負け。中堅の鈴木誉広(140kg 3年 弘前実業)は小外掛けで豪快に一本勝ちした。三将の主将中村旭(100kg 4年 宮古)は、序盤に場外際での背負い投げで技あ りを奪いリードしていたが終盤の一瞬の間に逆転の一本負けを喫した。副将の大町隆雄(90kg 1年 大牟田)は先に有効を奪われたが、有効を奪い返して指導を取り、合わせ技ありの逆転勝ち。大将の前原慎也(110s 2年 足立学園)は開始わずか4秒に内股を決めて一本勝ちした。結果は3勝3敗1分けだが、一本を多く取った天理大が内容差で勝利者となった。4年の藤木暢志選手は「後輩たちが頑張ってくれたのに、自分ら4年が情けない戦いをしてしまった、申し訳ない。個人戦では、一人でも多く全国に出て入賞出来るよう、全員で稽古に打ち込みたい。そのあとの団体戦では巻き返したい」と雪辱を誓った。西田孝宏総監督は「4年生に尽きる。最後の大会で意地を見せてほしかった。昨年は天理大と自力に差があったが、今年はうちの方が自力は勝っていた。4年があとにつながる試合をしていたら・・・残念」と唇を噛んだ。男子の大会成績は、優勝東海大、準優勝日本大、3位天理大・国士舘大の順となった。
今年の優勝大会には、一般学生を募って行われる「第1回山梨学院大学カレッジスポーツ観戦ツアー」が22日の日曜日に実施された。バスツアーに応募した43人の学生が、日本武道館のスタンドで母校代表選手の戦いを見守った。法学部1年の金丸泰之さんは「父は柔道をやっていたが、大学の試合を生で見るのは初めて、是非優勝してほしい」と話し、経営情報学部3年の金澤圭祐さんは「柔道部が全国の大学の中で、こんなに強いんだということを初めて知りました、大会の迫力はすごい」と目を輝かせ、経営情報学部3年の篠原薫さんは「テレビからは伝わってこない会場の熱気が体に伝わってきて、同じ大学の仲間たちが戦う姿に感動しました」と感想を述べた。写真左から金丸泰之さん・金澤圭祐さん・篠原薫さんの3人ら参加した学生たちは、聖地日本武道館の観客席で、柔道部の部員たちと一緒に山梨学院の小旗を振り、「ヤマガク、行けよ〜」と、同じキャンパスで学ぶ選手たちに大声援を送った。
柔道は本当に一瞬の勝負だ、一瞬で試合がガラッと変わる、
スポーツにもしもあの時という言葉は、存在しないのだが、
あの一瞬がなかったら、環太平洋にも天理にも勝っていた、
山梨学院は、女子も男子も決して負けてなんかいなかった、
なんと過酷でなんという非情な時が過ぎる競技なんだろう、
素人の目には一瞬の間合いが、勝負の時を分けたと映った、
山梨学院大の柔道部には、一期一瞬起行という言葉がある、
チャンスは一瞬、その時行動を起こしたものだけが勝てる、
言葉の意味とその奥深さを日本武道館でズシンと体感した、
どんな人生の、どんな時も、決して二度と帰ってはこない、
選手は悔しさから立ち上がり、明日の自分を高めるために、
今日という"一瞬"を大切にして、心と体を鍛えてほしい、
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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アルバム女子2 |
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応援風景 |