山梨学院パブリシティセンター
全日本大学ホッケー王座決定戦 決勝
〜山学大女子が真っ赤に燃えた、女王の座奪還〜
〜全員の心を一つにして2年ぶり4度目の優勝〜

平成25年度第32回全日本大学ホッケー王座決定戦は6月25日、岐阜・各務原市の岐阜県グリーンスタジアムで男女の決勝戦と3位決定戦が行われた。午前中に行われた男子の3位決定戦で、山学男子は天理大に敗れ4位に終ったが、午後1時過ぎからの女子決勝戦で、山学女子は昨年の優勝校を相手に、男子の悔しさをも晴らす素晴らしい戦いをした。地元各務原市に大学がある東海学院大のファーストジャージがネイビーブルーのため、山学女子はめったに着用しない赤に近いワインレッドのセカンドジャージで決勝戦に臨んだ。そして、火の如く真っ赤に燃えた。PSで先取点を奪われたが、ロンドン五輪出場の田中泉樹がPCから豪快に同点弾を放ち、後半終了1分前にPCからのこぼれ球を 西永優衣がチーム全員の願いをかなえる決勝ゴールを押し込み優勝した。2年ぶり4度目の女王の座を奪還した選手たちは、監督・コーチ・4年生を次々に胴上げし、歓喜の渦を作った。


平成25年度全日本大学ホッケー王座決定戦 女子決勝
≪山梨学院大vs東海学院大≫(6/25)於 岐阜県グリーンスタジアム

○ 山梨学院大 2
前半 1−1
後半 1−0
1 東海学院大 ●
得点 田中泉樹・西永優衣(山学)、吉浦絵吏子(東海)

試合は前半26分に動いた。カウンター攻撃を受け、サークル内で相手のスティックを叩いた反則でペナルティストローク(PS)を与えて東海学院に先制された。前日の立命館戦同様に追う展開となったが、前半終了3分前に20番藤井美沙(2年 大阪・羽衣学園)が右サイドを突破してサークル内で相手の反則を誘いペナルティコーナー(PC)を獲得した。このチャンスにロンドン五輪出場の1番田中泉樹(3年 岩手・不来方)がゴール右下に強烈なフリックシュートを決め1−1で前半を折り返した。後半は山学のボール支配率が一段と高まった。時折カウンター攻撃から東海学院にPCを与える場面もあったが、GK笹木美里(1年 滋賀・伊吹)とDF陣が体を張って防ぎ切った。攻撃では、田中らが再三再四東海サークル内にボールを持ち込み、何度も何度もPCを得たが、東海のGK清水香代のファインセーブに何度も何度も阻まれた。このまま延長戦かと思われた後半32分、後半だけて10本目、前半の4本を含めると実に14本目のPCを得た。ラストチャンスで藤井美沙が放ったシュートはGKに弾き返されたが、ゴール前に詰めた西永優衣(2年 富山・石動)が目の前に弾き返って来たボールを、まるで拝んでいるような形でゴールに押し込んだ。最後まで決して諦めない思いで70分間戦って来た選手と、スタンドから大声援を送り続けたベンチに入れなかった部員たちの、チーム全員の願いが届いた祈りにも似た決勝ゴール が生まれた。そのわずか1分後に、試合終了のホーンが鳴った。その瞬間、戦場は歓喜の舞台に変わった。スタンドで応援していた者までフィールドになだれ込み、ジョン・シアン監督、三澤美香コーチ、松瀬有里主将ら4年生を次々に胴上げした。誰もが抱き合い、泣き合い、歓喜の渦を作った。カメラの放列に最高の笑顔を向けた。2年ぶり4度目の優勝だ。この瞬間のために苦しい練習に耐えて来たのだから喜ぶがいい、勝利に酔いしれるがいい。そして、インカレでもう一度歓喜できるように、明日からまた励めばいい。よかった〜、おめでとう。

松瀬有里主将「最初に失点したが、前半だったので逆転できると仲間を信じて戦いました。後輩たちもすごく頑張ってくれた。最後まで諦めずにプレーしたから、最後の1点が入って優勝できたんだと思います」。決勝点を決めた西永優衣選手「PCが打っても、打っても入らなかったので、リバウンドで決めようとゴール前に詰めたら、目の前にボールが来て夢中で押し込みました。決勝ゴールなんて初めて、一生忘れないと思います」。何度もPCを奪い同点弾を決めた田中泉樹選手「昨日まで体調が悪かったが、今日は体調が戻り、落ち着いていいプレーが出来たかなと思います、やっとチームに貢献できました」。決勝点を導くシュートを放った藤井美沙選手「PCをあの手この手と打ったが、GKにことごとく弾き返された。最後に違う形のシュートを打って、味方が押し込んでくれた、やっと責任を果たせました」。1年間腰痛に苦しみ、戦列に復帰して鮮烈に貢献した山田明季選手「復帰の天理戦で点が取れて自信がつき、自分が出来ることを精一杯やろうと走りました」。4年の中込夏未選手「最初に自分のミスから失点したので、負けたら自分の責任だと思って戦っていました。後輩たちが点を奪い返してくれて優勝、涙が止まらないほど嬉しい」。ナイスセーブを連発してゴールを守った1年生GK笹木美里選手「DFの先輩に引っ張って頂き、勝部先輩にメンタル面でサポートして頂いて、守りきることが出来ました」。選手を諦めマネージャーとしてチームを支えている4年の大場史帆マネージャーは「ここに来るまでに、みんなの心がバラバラになりかけた時もありました。苦しい時を乗り越えて、みんなが心を一つにしたから優勝できたのだと思います」。それぞれが喜びの気持を言葉にした。そして、ジョン・シアン監督は「天理・立命・東海と3日間とも一つも気を抜くことが出来ないハードな戦いだった。決勝はなかなか点が取れなかったが、気持ちを切らさずに点を取ってくれた。内容的にも、決勝が一番いいゲームだった。秋のインカレで連覇が出来るように、結果を糧にして練習に励んで行きたい」と激闘を振り返った。寺本祐治総監督は選手に対し「孝行娘が親不孝な息子の分を取り返してくれた。一昨日より、昨日より、ずっと良かった、精神的に強かった。これでインカレに向けて弾みがついた。男子も女子も、普段の練習を自分から主体的に取り組むようにして、精神的にも、もっともっと強くなって、秋はアベック優勝しよう」と健闘を称えた。

大会最終成績は、男子優勝立命館大(3年ぶり4度目)、準優勝朝日大、3位天理大、4位山学大。女子優勝山学大(2年ぶり4度目)、準優勝東海学院大、3位立命館大、4位駿河台大となった。女子最優秀選手に山学大松瀬有里主将が選ばれた。

今年のチームは、最初から一つにまとまっていたわけではない。全員の心を一つにするために、みんなで話し合い「FOR THE TEAM〜one for all,all foa one〜」をスローガンに掲げ、「王座奪還」を合言葉にして、厳しい練習に励んできた。1−1の同点で後半に入る時、ベンチの控え選手と、ベンチに入れなかったスタンドの選手全員が立ち上がり、全員で手を振り、「♪きみに伝えたいことがある〜、がんばって、がんばって・・・」と大合唱して後半のフィールドに向かう選手を送り出した。表彰式には、FOR THE TEAMの文字を入れた茶色いTシャツを着て臨んだ。みんなの心を一つにしてつかみとった優勝カップを手に、何度も記念撮影を行い、カップを岐阜県グリーンスタジアムの空に向かって高々と掲げた。

文(M.T) カメラ(平川大雪)
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