山梨学院短期大学は7月4日、山梨学院メモリアルホールで平成25年度オペレッタ発表会を行った。オペレッタはイタリア語で「小さなオペラ」を意味するセリフと踊りのあるオーケストラ付き歌劇。発表会は保育科2年生が必修科目「保育内容 総合表現授業」の一環として取組む山梨学院短大伝統の授業。保育科2年生の166人は「脚本・演出」「キャスト」「造形表現」「音楽表現」「身体表現」「運営」の6部門に分かれ、上演作品の選定から、大道具、照明、音楽などすべてを全員で分担、今年はイギリスの昔話より「3びきのこぶた」を公演することにした。この一週間は通し稽古を繰り返して本番に臨んだ。公演は午前と午後の2回行われ、招待された山梨県内の幼稚園と保育園の園児約10 00人が小さな手で大きな拍手を送った。
保育科2年生伝統の授業「オペレッタ発表会」は、何もないところからすべて学生が準備する保育士とための特訓授業、毎年2月ごろから準備に取り掛かり、4月からは本番に向けて役割ごとに準備を本格化させる。一つの舞台を作り上げる過程で、チームワーク力、問題解決能力、コミュニケーション能力を養い、自分の体で自分の表現力を体験学習する舞台。
今年の公演演目は、イギリスの昔話より「3びきのこぶた」が選ばれた。学生たちはこの1ヶ月間は本番準備作業に追われた。背景の大道具・小道具を用意する美術造形担当や、出演者の舞台衣装を制作する衣装担当は本番に間に合わせることが一番の使命、毎日遅くまで学校に残り、大道具は暖炉の火が燃えているように見せる仕掛けの製作などに励み、衣装担当は3匹のこぶたや出演者の衣装をすべて手作りで仕上げた。脚本・演出担当はキャストと話し合い、試行錯誤を繰り返して脚本を制作。キャストと身体表現のメンバーは、各自の演技と踊りの表現を皆で話し合い工夫。音楽表現の吹奏楽と合唱隊は、それぞれの立場から意見を出し合い作曲・編曲。本番直前のこの一週間は、全員が集結して本番の メモリアルホールを使っての通し稽古に取り組んだ。向かえた本番当日、運営は各団体の受入れと場内整理に奮闘。誰もが創意と工夫と努力で舞台の表と裏を支えた。
公演時間は休憩時間なしの約1時間だったが、公演は、午前も午後も園児たちの歓声に包まれた。3びきのこぶたの熱演やオオカミの迫力ある演技に喝采の拍手が湧き起った。裏方に徹した者も舞台に上がり最後の挨拶をした学生に、子どもたちは拍手と笑顔で応え、通路で見送る学生たちに手を振り、興奮した表情でそれぞれの園に帰って行った。
園児を引率して来場した甲府・友愛保育園の保育士小林裕樹さんは「オオカミの迫力に驚いた子もいたが、普段からなじんでいる昔話だったので、すぐに理解して楽しんでくれた。学生が自分たちのために一生懸命演じてくれた熱意は子どもたちによく伝わったと思います」と感想を述べた。子どもたちが入場する場面から退場するまでを撮影していた今泉沙恵さんは「始まりから終わりまでを約1時間のDVDにまとめるために撮影しています。私たちは運営が担当で、園児バスの迎えや避難誘導、それに会場装飾などが任務です」と飛び回っていた。公演後、全員での記念撮影を終えたあと脚本リーダーの荒井麻希さんは仲間たちに向かい「頼りない脚本リーダーにみんな付いて来てくれてありがとう、2カ月間全力で活動したことは自信になりました、私だけでなく一人一人みんなの自信になると思います、みんな、先生方ありがとうございました」と感謝の気持ちを涙を浮かべて表した。オオカミ役を名演した田中伶奈さんは「みんなが応援してくれたことが力になりました。完全燃焼していない部分があったので、卒業までに完全燃焼したい、いつでもオオカミやります」とカメラに向かって吠えた。音楽隊の指揮を務めた芹澤康帆さんは「自分が指揮でいいのかと戸惑いましたが、子どもたちが自分たちの作った曲に合わせて手を叩いてくれたり、体でリズムを取ってくれて、このためにやってたんだなと思って涙が出るほど嬉しくなりました」と振り返った。舞台に立った者も、裏方に徹した者も、全員が自分の役割を精一杯務めて作り上げた手作りのオペレッタ、全員の嬉し涙で幕が下りた。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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