第95回全国高等学校野球選手権山梨大会の開会式が7月13日、甲府・小瀬スポーツ公園野球場で行われた。参加38校のベンチ入りメンバー742名が夢舞台甲子園への出場を目指し結集した。午前8時45分、山梨学院高吹奏楽部85人と東海大甲府高吹奏楽部65人の合計150人が演奏する「栄冠は君に輝く」に乗って入場行進が始まった。今年の甲府盆地は梅雨明けと同時に猛暑に突入、前日まで5日連続39度前後の日本一暑い夏であったが、13日は暑さが和らぎ、穏やかな朝陽の下での開会式となった。大会第1シードの山梨学院高は3番目に入場、校旗を掲げる大下拓馬主将を先頭に、力強く堂々と行進した。桂高の石井幹人主将が「全国で一番熱く、輝く夏にします」と落ち着いた素晴ら しい選手宣誓を行い、いよいよ球児の夏が始まった。山梨学院高は明日14日午前9時、小瀬球場第1試合で韮崎高と対戦する。
開会式の先導役を今年は甲斐清和高校バトントワリング部が務めた。華やかなステップとともに入場行進が始まった。大会プラカード、各校の女子マネージャー代表が掲げる国旗・県旗・大会旗に続いて、前年度優勝校の東海大甲府高を先頭に選手団が入場して来た。2番目は前年度準優勝校の甲府工、そして、3番目に春季大会を制し大会第1シードとなった山梨学院高が入って来た。プラカードを持つのは3年生マネージャーの吉田優希乃さん、先頭は校旗を掲げる大下拓馬主将、第1列左は184cmの結城大輔(3年)、中に179cmの大城鉄平(2年)、右に178cmの菊池海斗(2年)、昨夏を経験した者も、今年初めてベンチ入りした者も、実に堂々と爽やかに力強く行進した。山梨県高野連の佐久間豊人会長は「高校野球は常にフェアプレー。相手チームへの敬意と、自分を育ててくれた人への感謝を胸に戦ってください。2013年君たちの夏の始まりです」と選手を励ました。希望抽選で選手宣誓を引き当てた桂高校石井幹人主将が一つ一つの言葉を大切にした、実に落ち着いた素晴らしい選手宣誓をした。「我が桂高校は、谷村工業高校とともに統合制高校として生まれ変わります。今まで両校を応援して下さったたくさんの方々に感謝してプレーするとともに、38校の選手一人一人が、高校野球を愛するすべての人に感謝の気持ちを込めて、最後まで諦めず正々堂々と戦い、全国で一番熱く、耀く夏にします」と宣誓した。出場する38校の全てのチームが優勝を争う力を持っているわけではない。廃校となる大月短大付属高校は、最後の夏、ベンチ入りは20人まで許されるのだが、10人で入場行進した。甲陵高校の入場行進は12人だった。各校の実力には差がある、しかし、心に差はない。すべて の球児はその胸を熱く燃やしている。勝つことだけを求めてここに来たのではない。昨日の自分を越えるために戦いの場に来た。明日の自分に打ち勝つ力を蓄えるためにここに来た。心を鍛えるために来た、12日間の熱闘の夏が幕を開けた。
大下拓馬主将は「いよいよ始まるとわくわくしました。暑さに負けない練習をして来ているので、暑さには負けません。目の前の一戦一戦に集中して戦い、気付いたら優勝していた夏にしたい」と述べた。プラカードを持って入場行進した吉田優希乃マネージャーは「選手が自分たちの力を発揮できるように、積極的に声をかけて励ましたいと思っています。マネージャーとして全力でみんなを支えたい」と必勝うちわを振った。合同演奏で開会式を盛り上げた吹奏楽部前島政道部長は「東海さんとは前日に音合わせをしただけでしたが、選手のみんなが凛々しく行進していたので、頑張ってという思いが届くように、両校の吹奏楽部全員の力を合わせました。音が選手の胸に届いていたら嬉しい」と150人の合同演奏を振り返った。
今年の優勝争いは、2年ぶり6度目の甲子園を目指す春の県大会優勝の第1シード山梨学院、2年連続の甲子園を狙う東海大甲府、昨秋県大会優勝の日川などシード校が一歩リードしているとみられるが、力を備えたノーシード校も多く、各チームの戦力は拮抗しており優勝争いは混戦模様。どのチームにも甲子園出場のチャンスがあると予想される。日程が順調に消化されれば、23、24日に準々決勝、26日に準決勝、27日午後1時から決勝戦がいずれも小瀬球場で行われる。山学ナインは、遠くは見ない。一戦一勝、明日14日午前9時プレーボールの韮崎高戦に心と体を研ぎ澄ませて挑む。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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