山梨学院生涯学習センターは7月13日、酒折連歌講座2013の第2回目の講座を開催した。今年の酒折連歌講座は、国民文化祭の関連事業として5・7・9・11の各月に各1回開催され、第2回となる13日には「酒折連歌を楽しむ」をテーマに、歌人で山梨県立文学館館長や宮中歌会始選者などを務める三枝昂之氏を講師に迎え開催。山梨県内外から国文学や短詩型文学などに興味がある100人近い市民が申し込み、会場に詰め掛けた。三枝氏は講座の冒頭部分で、日本の定型詩の基礎的な特徴を説明。その上で、日本の定型詩は片歌による問答形式が礎となっているとし、「親句」と「疎句」という上の句と下の句の関係性を解説。さらに、過去の酒折連歌賞の作品から「親句」と「疎句」の実例を紹介した。その後、参加者は講座の内容を踏まえ、酒折連歌の実作を行った。三枝氏は、参加者から寄せられた作品に目を通し、それぞれの作品を講評した。最後に、過去の入賞作品を示しながら、良い答えの条件を詳説し、参加者はメモを取りながら三枝氏の話に聞き入っていた。
酒折連歌講座は、山梨学院大と酒折連歌賞実行委員会が主催する「酒折連歌賞」が創設10周年を迎えた2008年に記念事業として実施され、その後も山梨県内への「酒折連歌」の普及・啓発、文学の振興、文化の創造に寄与するため毎年開講し、今年で6回目の開催となる。今年度は、1月12日から第28回国民文化祭・やまなし2013が山梨県内で開催されており、甲府市が酒折連歌を市町村主催事業『「酒折連歌」祭』として実施し、酒折連歌賞、酒折連歌講座、酒折連歌の歴史展の3部門が行われる。講座は5・7・9・11の各月に1回ずつ計4回開講され、第2回目となった7月13日は、歌人で歌誌『りとむ』発行人、山梨県立文館館長の三枝昂之氏が講師を務め、「酒折連歌を楽しむ」と題し講演した。国民文化祭の関連事業とあり、この講座には、県内外から100人近い申し込みがあり、連歌発祥の地での連歌に関する学術講座への興味・関心が伺えた。
講演に先立ち、この講座のコーディネーターを務めた「酒折連歌」祭企画委員会の廣瀬孝嘉副委員長が講座の主旨説明と講師紹介を行った。講師の三枝昂之氏は1944年山梨県甲府市生まれ、早稲田大学卒業。2005年度から2年間NHK教育テレビの「NHK短歌」を担当。第14回やまなし文学賞、第17回齋藤茂吉短歌文学賞、第56回芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞。2011年度には春の紫綬褒章を受章。宮内庁の宮中歌会始の選者などを務め、酒折連歌賞は第四回から選考委員を務めている。
三枝氏は、講座の冒頭で、日本の短歌や俳句などの定型詩の基礎的な特徴を説明。その上で、日本の定型詩は片歌による問答形式が礎となっているとし、「親句(しんく)」と「疎句(そく)」という上の句と下の句との関係性を解説。過去の酒折連歌賞の作品を実例に「親句」と「疎句」の具体的な解説を加えた。三枝氏は「親句」は上の句と下の句の距離が近く、問答がまとまりやすく安全性が高い一方で、平凡な問答に終わる危険性があるとし、「疎句」は距離が通く、冒険型で失敗の可能性も高いが、うまくいくと斬新な展開になると語った。その後、参加者らは講座の内容を踏まえ、酒折連歌の実作を行った。三枝氏は、参加者から寄せられた作品に目を通し、それぞれの作品に講評を加えた。また、参加者自身が選考委員になったつもりで第十四回の作品を鑑賞し、三枝氏が作歌のポイントなどを説明。最後に過去の入賞作品を示しながら良い答えの条件を詳説。三枝氏は良い答えの条件とし、①答えに具体があること、②答えに個性があること、③人生的な共感を呼ぶ答えの3点を強調した。参加者は限られた時間の中で、講義・実作・鑑賞を体験し、今後の創作活動に生かすべく、時折メモを取りながら三枝氏の話に聞き入っていた。
酒折連歌講座の第3回目は9月14日に俳人で現代俳句協会特別顧問の宇多喜代子氏が「俳句と酒折連歌」と題し講演。最終回の第4回目は国民文化祭記念特別講座として11月2日に国立歴史民族博物館館長で山梨県立博物館館長の平川南氏が「酒折宮と古代甲斐国」と題し講演を行う。
国文祭では、酒折連歌賞の作品も募集している。酒折連歌は五・七・七の問いの片歌に、答えの片歌を五・七・七で返す二句一連の片歌問答。俳句などと違い、作歌上の約束事は五・七・七で返すことのみ。問いの片歌に続く答えの片歌を作者の感性で自由に発想し、老若男女を問わず詠むことができる歌遊び。酒折連歌賞は2月1日から募集を開始しており、応募の締め切りは9月20日。また、11月1日から10日まで甲府市酒折3丁目の酒折宮で地理的・歴史的背景、伝統芸能などについて紹介し、酒折連歌に関する資料を展示する「酒折連歌の歴史展」も開催される。
第28回国民文化祭甲府市実行委員会
(酒折連歌祭ホームページ)
(酒折連歌賞ホームページ)
文・カメラ(Y.Y)
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