水の都広島市・広島市総合屋内プール(広島ビッグウエーブ)を舞台に開幕した第89回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)競泳競技2日目は、男女5種目の予選・決勝と女子800m自由形、男子1500m自由形予選が行われた。山梨学院大勢は、男子200m自由形に前日の400m自由形で準優勝した江原騎士ら3人が出場したのを始め、予選・決勝レースに男子8人、女子2人が出場した。また女子800m自由形予選と男子1500m自由形予選に女子2人、男子3人が出場した。このうち江原騎士は、予選2位で決勝に進出したが、決勝レースは力みから後半失速し不本意な8位に終わった。一方、女子800m予選に出場した浅山美貴がインカレデビュー戦でいきなり決勝進出を果たした。浅山は7月のオープンウォータースイミング(遠泳)ワールドカップ国内予選会で優勝したばかり、長距離に新星が現われた。
≪男子200m自由形決勝 江原騎士≫
江原騎士(えはら ないと 2年 山学高)は午前中の予選を1分49秒72のまずまずのタイムで泳ぎ、予選2位で決勝に進出した。しかし、決勝レースはスタートする前から落ち着きがなかった。笛を待つまでの間の動作がいつもと違った。あわただしく体に水をかけ、両手で体をたたく仕草に落ち着きがなかった。0,58の一番早い反応で入水したのはよかったのだが、最初から飛ばしてしまった。50mでいきなりトップに立ったが、いつもの泳ぎではなかった。神田監督が「水の抵抗を極力受けない泳ぎができる新しいタイプのスイマー」と表現するしなやかな泳ぎができなかった。力んだ泳ぎで我武者羅に突っ込んでしまい、後半失速した。不本意な1分50秒79のタイムでゴールし8位に沈んだ。江原騎士選手は「心の準備・レース展開すべてにおいて失敗レースでした。明日の800mリレーで、もう一度2フリ(200mフリー)を泳ぐので、明日はしっかり泳ぎたい」とリレーでの巻き返しを誓った。
≪女子800m自由形予選 浅山美貴≫
浅山美貴(あさやま みき 1年 静岡・磐田農高)は、体格に恵まれたスイマーではない。水泳選手としては小柄といっていいであろう160cmだが、抜群の足腰を持っている。長距離でもキックを落とさないで泳ぐ力がある。天性の素質を見抜いたのは中学の顧問の先生だった。他の種目をやっていたのだが「長距離をやれば全中に行ける」と言われ、取り組んでみたらその通りになった。生まれ育ったのは浜名湖の湖西市。磐田農高で食品を学び、食生活の重要性を知ってからは、練習だけでなく、栄養管理・体重管理にも気を使うようになった。7月に行われたオープンウォータースイミング(遠泳)(ロンドン五輪から正式種目)のワールドカップ国内予選会で、女子10kmで2位に3分以上の大差をつける独泳の2時間16分14秒で優勝、ワールドカップ日本代表入りが濃厚になっている。インカレでは800mが女子の最長距離、予選3組で泳ぎ8分51秒43でゴール、全体の7位で明日の決勝進出を決めた。浅山美貴選手は「明日の決勝では、前半をやや抑えて、後半にキック力を活かした泳ぎをして巻き返したい」と上位を狙っている。
この他の山学大勢は、男子200m個人メドレーの青木健紘(3年 香川・高松工芸高)と、男子400mメドレーリレー(篠田大夢・重森俊二・川津久志・江原騎士)がB決勝に進出。青木6位(全体14位)、メドレーリレー7位(全体15位)となった。青木健紘選手は「去年よりタイムを落としたが、神田コーチ・綿谷さん・先輩・後輩に支えてもらってここまでやってこれた」と振り返った。男子400mメドレーリレーの4人の内、重森以外は「重森先輩と一緒に泳ぐのはこれが最後なので感謝の思いをこめて泳ぎました」と話し、重森は「大学生活最後のインカレ、ちょっと力んだけど全部の力を出して全力で泳ぎました。楽しかった」。後輩たちの思いは重森の心に届いていた。
山学大勢2日目の全成績
文(M.Ⅰ)、カメラ(平川大雪)
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