水の都広島・広島市総合屋内プール(広島ビッグウエーブ)で開催されてきた「第89回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)競泳競技」は9月8日、3日目の戦いが繰り広げられた。最終日最初の決勝レース女子800m自由形決勝に、予選7位でファイナリストとなった1年の浅山美貴が登場、予選よりも順位を上げて6位入賞した。山学勢もう一人のファイナリスト100m背泳ぎの2年竹迫麻澄は、昨年に続く2年連続の決勝進出、昨年は7位だったが、今年はあと一歩で表彰台の4位と飛躍した。このほか4年ラストスイムの福田真大が400m個人メドレーでB決勝7位(全体15位)に入るなど、4人がB決勝に進んだ。今年の山学大女子は、ロンドン五輪出場の鈴木聡美と加藤和ら力のある選手が大挙卒業、選手層が一気に薄くなり苦しい戦いを余儀なくされたが、出場した全選手が自分の限界に挑み全員が健 闘した。学校対抗最終成績は男子が10位に躍進し、女子は13位となった。
≪女子800m自由形決勝 浅山美貴≫
浅山美貴(あさやま みき 1年 静岡・磐田農高)は、高3だった昨年のインターハイ800m自由形でチャンピオンになった。インカレデビューの決勝レースは、落ち着いた表情でスタート台に上がり、作戦通り冷静に泳いだ。前半を抑え気味に入り、最初の100mは8位、そこから徐々に順位を上げた。200mで7位、300mで6位に上がり650mまで6位キープ、700mで一旦7位に下がったが、ラスト50mでラストスパート、最後は8分51秒56の6位でゴールした。浅山美貴選手は「予選より順位を上げれたことは嬉しいけれど、タイムを落としたし、最低限の目標だった日本選手権のタイムを切れなかったので悔しい気持ちと、強くなりたい気持ちの両方が強くなりました。高校の時も全国大会の決勝を経験しましたが、インカレってすごいんだなと実感しました。来年からは、800mとオープンウォーターの両方で日本代表になれるように頑張って行きたい」と抱負を述べた。
≪女子100m背泳ぎ決勝 竹迫麻澄≫
竹迫麻澄(たかば ますみ 2年 愛知・中京大中京高)は、昨年もこの種目で決勝に進み7位となっている。しかし、順調に再びの舞台に立ったのではない。秋山夏希女子主将によると、この夏はタイムが伸びなくてずっと悩んでいたという。結果を残そうと懸命に練習を重ねて決勝レースに挑んだ。その結果は、自己ベスト更新の1分02秒32、大躍進の4位でゴールした。竹迫麻澄選手は「私はスピードが持ち味で、コーチから29秒台で入るように云われたんですけど30秒かかってしまった。そこをもっと早く入れたらもっと早くなると思います。ただ、今の実力では、ベストパフォーマンスだったと思います。去年よりタイムが上がりベストが出たので満足です」と努力でつかんだ4位のレースを振り返り、「3位とはまだ差があるので、少しでも近づけるよう、また1年頑張って、来年は表彰台に上がれるようにしたい」と自分の心に精進を誓った。
このほかの山学勢は、4人がB決勝に進出した。400m個人メドレーの福田真大(4年 栃木・白鴎大足利高)は、最後のレースでB決勝7位(全体15位)に入った。福田は「どん底まで落ちて、やめようと思ったが、綿谷コーチや仲間から、途中でやめたら後悔すると言われて踏みとどまり、最後にB決勝だけど決勝レースを泳ぐことが出来た、続けてよかった。4歳から始めたので、水泳は日常の一部でした。今日で終わりだと思うとやはり寂しい」と率直に心情を述べた。100m背泳ぎの山下安輝(2年 山口・豊浦高)はB決勝2位(全体10位)となった。山下は「成績は去年に劣りましたが、今年の方が得るものが多かったなと思います」と6レース泳いだ大会を振り返った。男子100m自由形の原田郁弥(3年 大分・別府羽室台高)は横一線の激しい戦いの中で3位(全体11位)となった。男子200m平泳ぎの大林稜典(3年 山口・下関南高)は4位(全体12位)となった。大林は「悔しい結果に終わった、来年は今まで以上に練習していい結果を出したい」と語った。また男子800mリレーの4人(江原騎士・原田郁弥・永尾裕也・青木賢)がB決勝に進み4位(全体12位)となった。第1泳者江原「インカレ最後のレース、ちょっと力んだが全力を出し切れたと思います」。第2泳者原田「3日間チームのためにと思って戦い、永尾先輩と泳げてよかった」。第3泳者の永尾裕也男子主将はこれがラストスイム「選手生活最後のレース、このメンバーと泳げて本当に楽しかった、悔いはないです」。アンカー青木「自分はインカレ初出場、お兄さんのような存在の永尾先輩に恩返し出来るよう頑張りました」。4人は精一杯の泳ぎで4つの心をつないだ。
今年のインカレは、遠隔地の広島市で開催されたが、一緒にシドニー記念水泳場で練習している山梨学院カレッジスポーツセンター研究員の鈴木聡美・酒井志穂(ともにミキハウス山梨)の2人が3日間サポート役に徹して選手を励ましたほか、昨年の男子主将須藤勝也さん、女子主将の村上優海さん、加藤和さん、高崎有紀子元マネージャーなど、たくさんの先輩が遠路駆けつけて後輩たちを激励した。そして、選手として入部したもののタイムが伸びず、3年からはマネージャーとなり、常に笑顔を絶やさずに選手をサポートする努力をした秋山夏希女子主将ら、チームを支えたメンバーも、心をひとつにして声援を送った。青春のインカレが終わった。すべてのレース終了後、神田忠彦監督は選手を集め「選手層が薄くなった中で、出場した各選手は良く頑張ってくれた。4年生は、4年間本当にご苦労様でした。それぞれいろいろな方向に進路が向いていますが、いまからの人生の方が大事なので、この4年間が有意義な経験になるようにしっかりとやっていってもらいたい」と話し、3年生以下には「臥薪嘗胆を忘れずに、少しでもステップアップするように。急ぐことはない、何年かかけて、女子は元の位置に戻れるように、男子はシード校になれるように」と話して今年のチームを解散させた。
山学大勢最終日の全成績
文(M.T) カメラ(平川大雪)
| アルバム浅山瀬選手 |
アルバム竹迫選手 |