2013年関甲新学生野球秋季リーグ戦(第2節1戦目)は9月14日、埼玉県の平成国際大学野球場で2試合を行った。第1試合は山梨学院大と常磐大が対戦。初陣の山梨学院が10対0で7回コールドで先勝。攻めては1回表の一死後、2番・鈴木悠介(3年)が右前安打で出塁すると、3番・酒井雄史(3年)の右前安打、4番・菊池紳弥(4年)の中前安打で一死満塁とし、5番が倒れた後のDH6番・中村圭輔(3年)が2ー1からのインコースの真っ直ぐを、中前に弾き返し2者を生還させ2対0と先制。これで勢いづいた打線は、3回に3点、5回に1点と追加し、6回には打者一巡で4得点を奪う猛攻。山梨学院は毎回安打の15安打に四球4、犠打1、犠飛2を絡める繋ぐ野球を披露。守ってはプロ注目のエース右腕・高梨裕稔(4年)が「最近では一番悪い調子だった。バックにも助けられ、悪いながらも抑えることができた」と、不調ながらも3安打ピッチングで7回を無失点に抑える好投。バックも無失策のうえに随所で好プレイを見せる堅守を披露。山梨学院は攻守に渡って常磐を圧倒した。山梨学院は明日の第2試(12時30分)、同カードで勝ち点を奪う戦いに挑む。
□関甲新学生野球秋季リーグ戦1部は、6校総当たりによる2戦先勝方式の勝ち点制で、関東地区大学選手権大会出場権2枠を目指して争われる。秋季リーグ戦は春季優勝し全日本大学野球選手権大会を制した上武大学(昨秋季3位)、春季と昨秋季準優勝の山梨学院大学、昨秋季優勝の白鴎大学(春季3位)の三つ巴と目される。先に9月7日の開幕戦で上武と白鴎がともに2連勝し勝ち点を挙げる好スタートを切った。残る山梨学院は、第2節から春季5位の常磐大学(昨秋季2部優勝)戦からの登場となった。ここ平成国際大学野球場には、秋になっても衰えない日差しとバックネット裏に詰めかけた観客の熱気で満ち溢れている。試合開始のアナウンスが球場に響いた。
●関甲新学生野球秋季リーグ戦(第2節1戦目)【 山梨学院大学 対 常磐大学 】平成国際大学野球場
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常 磐 |
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(大会規定により7回コールド)
●【山梨学院】
●[投手]高梨裕稔(勝ち 1勝0敗) 投球回数7回、打者26、打数22、投球数100、安打3、犠打1、四球2、死球1、三振5
●[捕手]田中貴也〈盗塁刺 1〉
●[長打]〈二塁打 平井慎也〉
●【気象状況(午後10時00分)】天気(晴れ)、気温(27度)、湿度(80%)、降水量(0mm/h)風向(東1m/s)
◆先攻の山梨学院は1回表一死後、2番・鈴木悠介(3年・山梨学院高)が右前安打で出塁。続く3番・酒井雄史(3年・木更津総合高)の右前安打で一死一二塁とし、4番・菊池紳弥(4年・学法石川高)の中前安打で一死満塁。二死後、6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)が2ー1からのインコースの真っ直ぐを中前に弾き返し2者を生還させ2対0と先制した。
◆山梨学院は1回裏、プロ注目のエース・高梨裕稔(4年・土気高)が先発。先頭の1番打者と2番打者を二塁ゴロに仕留める。続く3番打者を四球で出塁させ二死一塁。高梨の4番打者への0ー1からの2球目、二塁への盗塁を仕掛けたランナーを捕手の田中貴也(3年・八重山商工高)が遊撃手の渡辺晶也(4年・山梨学院高)に矢のような球を送り刺し、難無く3者で切り取る。
◆2回表、この回先頭の9番・主将・平井慎也(4年・富士学苑高)が野手失策で出塁。さらに1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の犠打が投手の失策を誘い無死一二塁。2番・鈴木悠介の犠打で三塁封殺で一死一二塁。3番・酒井雄史の左安打で一死満塁とし、続く4番・菊池紳弥の遊撃手ゴロの併殺崩れの間に、渡辺が生還して3対0。二死一三塁、5番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)の中前適時打で鈴木が生還し4対0。二死一二塁、6番DH・中村圭輔の中前安打で菊池が一気に本塁を突き捕手のタッチをかいくぐり5対0とする。
◆4回表一死後、4番・菊池紳弥が内野強襲安打で出塁。5番・加賀美祐樹の犠打で二死二塁。6番DH・中村圭輔の敬遠気味の四球で二死一二塁としたが後続が倒れる。
◆5回表一死後、9番・主将・平井慎也が右二塁安打を放ち出塁。1番・渡辺晶也へのワイルドピッチで三塁に進塁。渡辺のセンターへの特大な犠牲フライで平井が生還し6対0とする。
◆6回表一死後、4番・菊池紳弥が中前安打で出塁。5番・加賀美祐樹の左前安打で一死一二塁。6番DH・中村圭輔の敬遠気味のストレートの四球で一死満塁。7番・田中貴也の右前適時打で菊池が生還し7対0。一死満塁、8番・大丸浩平(3年・甲府商業高)の左への大きな犠牲フライで加賀美が生還し8対0。二死一二塁、9番・主将・平井慎也のセンターへの当たりが野手の失策を誘い、二塁から中村が生還し9対0。二死一三塁、1番・渡辺晶也の二塁への鋭い当たりが野手失策となり三塁から田中が生還し10対0とする。
◆7回裏、エース・高梨裕稔がこの回先頭の6番打者を遊撃ライナー、7番打者を一塁ゴロに、8番打者を中飛に打ち取り、山梨学院は大会規定により10対0で7回コールド勝ちをおさめた。
□山梨学院の秋季開幕投手、プロ注目のエース・高梨裕稔(4年・土気高)は「リーグ戦の初戦はチームにとって大事な試合なので、『絶対に勝とう』と一球一球投げた」。気持ちとは裏腹に「ストレートも変化球も最近では一番悪い調子だった。(早い回から)チームが点を取ってくれたので、調子が悪いながらも如何に抑えるかを考えながら、少しずつ修正して、5回から自分のピッチングができた」。投げた球は「ストレート、フォーク、カーブの3種類」。「悪いときこそ、抑えなければいけない中で、ゼロ点に抑えられたので良かったと思う」と総括。プロに注目されているが「ドラフト、ドラフトと考えて試合に臨んだら『力んで』自分のピッチングができないと思う、それよりチームが勝って神宮に行くということが目標なので、このことに集中して一球一球投げていきたい」と述べた。
□1回表の二死満塁で先取得点となる中前2点適時打を放った、6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)は「チームのために」と打席に向かった。「1ー0からの2球目ど真ん中、手がでなかった」と顔を歪めた。「次のストライクは見逃さない。絶対打つ」と気合いを入れた。「2ー1からのインコースの真っ直ぐを弾き返し、『落ちてくれ』と願った」球は中前に落ち、2者が生還し2対0とした。二死一二塁の2打席目は「2ー2からの外のストレートを完璧に弾き返せた」と中前適時打を放ち、今日3打点目を奪った。3打席4打席と敬遠気味の四球。これからも「ストライクゾーンにこない球には、手を出さずに四球で出塁して、チームの繋げる野球に徹する」と目を輝かせた。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑高)は「良い緊張感の中で、初戦を迎えられた」と汗を拭った。選手たちの「細かいプレー、その一つ一つのプレーが大差で勝てた要因だと思う」と大きく頷く。「一つ一つのプレーを大事にして、流れを掴んでいきたい」。「前回(春季)、上武にコールド勝ちし、2戦目・3戦を落とした苦い経験がある」と気を引き締める。とにかく「春は勝ちきれなかった」と唇を噛む。「秋は『一戦も落とせない』という自分たちにプレッシャーを掛けて『全勝優勝するんだ』という気概で、明日の2戦目も初戦と同じように良い緊張感で戦えるようにしたい。今季はトーナメントと同じように、全員で集中し一戦一戦闘っていく」と笑顔で述べた。
□伊藤彰コーチは「繋ぐ野球ができた」と開口一番。「初戦、選手は緊張して硬くなることも予測されたが、序盤から積極的な攻撃ができた」と大きく頷いた。「高梨は本来の調子ではなかったが、粘りながら試合中に修正できていたので全く心配はなかった。むしろ、成長していると実感した」とエースに全幅の信頼を置く。野手は「春の反省を生かし、ワンプレーを確実にできるように練習して来た。今日は(失策ゼロで)随所に好プレイが見られた」と堅守を称える。「選手たちは集中して、初戦を戦ってくれた」と微笑み、「明日、負けてしまえば元の木阿弥。一戦一戦、勝ちを積み上げ優勝に向けて進んでいきたい」と凝視して力強く述べた。
文(H.K)、カメラ(平川大雪)
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