2013年関甲新学生野球秋季リーグ戦(第2節2戦目)は9月17日、栃木県の小山市運動公園野球場で2試合を行った。第2試合は先勝の山梨学院大と常磐大が対戦。山梨学院が10回延長3対2でサヨナラ勝ちし、常磐大に2勝し勝ち点を挙げた。山梨学院は3回表、右腕・桃原博巳(3年)が一死一三塁で3番打者を二塁ゴロに打ち取るが、その間に三塁ランナーがホームインし1対0と先制点を許した。4回裏の攻撃、先頭の3番・酒井雄史(3年)が、中前安打で出塁し4番・菊池紳弥(4年)の1ー2からランエンドヒットを仕掛ける。これに菊池が反応して左前に運び無死一三塁とすると、続く5番・加賀美祐樹(3年)が右前適時打し酒井を生還させ1対1の同点とする。さらに一死満塁、8番・大丸浩平(3年)が右前適時打を放ち2対1と逆転。6回表に桃原から満を持して中2日でマウンドに上がったエース・高梨裕稔(4年)は7回表、内野失策に内野安打と犠打で一死二三塁とされると、中犠飛を打たれ2対2の同点とされる。山梨学院は延長10回裏の一死後、4番・菊池紳弥(4年)が四球を選び出塁。5番・加賀美祐樹(3年)の犠打で二死二塁とすると、ここで6番DH・中村圭輔(3年)がベンチの期待に応え、2ー2からのスライダーを見事にとらえ左越えのサヨナラ打を放った。山梨学院は『第3節』9月21日(土)11時30分から上武大学野球場(群馬県)で、昨秋の覇者・白鴎大学と激突する。
□山梨学院大は初陣の常磐大戦を7回コールド10対0で先勝。プロ注目エース右腕・高梨裕稔(4年・土気高)が「最近では一番悪い調子だった。バックにも助けられ、悪いながらも抑えることができた」と不調ながらも3安打ピッチングで7回を無失点に抑える好投。バックも無失策のうえに随所で好プレイを見せる堅守を披露した。「前回(春季)、上武にコールドで勝ちし、2戦目・3戦目を落とした苦い経験がある」と主将・平井慎也(4年・富士学苑高)が気を引き締める。台風18号の影響で雨天順延となり、平成国際大学野球場(埼玉県)から小山市運動公園野球場(栃木県)へと変更になっての第2戦目、球場は台風一過の晴天となった。
●関甲新学生野球秋季リーグ戦(第2節2戦目)【 山梨学院大学 対 常磐大学 】小山市運動公園野球場
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●【山梨学院】
●[投手]桃原博巳(勝ち0勝0敗) 投球回数5回、打者20、打数18、投球数64、安打5、犠打1、四球1、失点1、自責点1
●[投手]高梨裕稔(勝ち2勝0敗) 投球回数5回、打者20、打数16、投球数68、安打1、犠打1、犠飛1、四球1、死球1、三振4、失点1、自責点0
●[捕手]田中貴也
●[長打]〈二塁打 平井慎也〉
●【気象状況(午後10時00分)】天気(晴れ)気温(27度)湿度(44%)降水量(0mm/h)風向(東)風速(1m/s)
◆後攻の山梨学院はマウンドに右腕・桃原博巳(3年・久米島高)が上がった。桃原は1番打者を遊ライナー、2番打者を三塁ゴロに仕留めるが、続く3番打者に右前安打、4番打者に中前安打と連打され二死一二塁と攻められる。桃原は動揺することなく5番打者を左飛に打ち取り難を逃れる。
◆3回表、右腕・桃原博巳(3年)が先頭の9番打者に右前安打。続く1番打者の犠打で一死二塁。さらに2番打者に中前安打され一死一三塁。桃原は3番打者を二塁ゴロに打ち取るが、その間に三塁ランナーがホームインし1対0と先制点を許す。
◆4回裏、山梨学院は先頭の3番・酒井雄史(3年・木更津総合高)が中前安打で出塁し、4番・菊池紳弥(4年・学法石川高)の1ー2からランエンドヒットを仕掛けると、これに菊池が反応して左前に運び無死一三塁。すると5番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)が右前適時打し酒井を生還させ1対1の同点とする。無死一二塁、6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)のバントを投手が三塁へフィールダースチョイスし、無死満塁。一死満塁後、8番・大丸浩平(3年・甲府商業高)の右前適時打で菊池が生還し2対1と勝ち越し。
◆6回表、桃原から満を持してマウンドに中2日のエース・高梨裕稔(4年・土気高)が上がる。高梨は先頭の3番打者に内野失策で出塁されるものの、4番打者を空振り三振に、5番打者を三塁邪飛に、6番打者を空振り三振に切って取る。
◆7回表、エース・高梨裕稔(4年)が7番打者に内野失策で出塁され、8番打者の内野安打で無死一二塁。9番打者の犠打で一死二三塁。1番打者の中犠飛で2対2の同点とされる。
◆7回裏一死後、9番・主将・平井慎也(4年・富士学苑高)が左中間を破る二塁打で出塁。1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の内野安打で一死一二塁。2番代打・那須大(1年・東稜高)の内野ゴロで二死一三塁としたが後続が倒れ勝ち越しのチャンスを逸する。
◆9回裏、先頭の7番・田中貴也(3年・八重山商工高)が右前安打で出塁。8番・大丸浩平(3年)の犠打で一死二塁。二死後、1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の内野安打で二死一三塁としたが後続が倒れサヨナラのチャンスを逃す。
◆延長10回表、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の2番打者を遊ゴロ、3番打者を見逃し三振、4番打者を遊飛に打ち取る。
◆延長10回裏一死後、山梨学院は4番・菊池紳弥(4年)が四球を選び出塁。5番・加賀美祐樹(3年)の犠打で二死二塁。6番DH・中村圭輔(3年)がベンチの期待に見事に応え2ー2からのスライダーをとらえ左越えのサヨナラ打を放つ。先勝している山梨学院は、3対2で常磐にサヨナラ勝ちし、2勝を奪い勝ち点を挙げた。
□延長10回裏ベンチの期待に見事に応え左越えにサヨナラ打を放った6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)は、はにかみながら「とても緊張しました」と照れ笑い。すぐ真顔に戻り「伊藤コーチに『積極的にいくように』」と促され、気負い立つ。「4打席目からは積極的打って出た」と「結果はセンターフライだったが納得のスイングだった」と気持ちを切り替え手応えを感じていた。5打席目「前の打者が、犠打で二死二塁と得点圏にランナーを進めてくれたので、『絶対にランナーを還す』と積極的に打ってでた」。「2ー2からのスライダー、芯に当てることだけを考えて振り抜いた」。「やや泳いだが、抜ける感触はあった」と左翼手の頭上を越えるサヨナラ打となった。中村は5打席目でDHの貫禄を見せつけた。今後も「チームワー ク良く、積極的に自分の役割を果たしたい」と笑顔で結んだ。
□先発という大役を任された右腕・桃原博巳(3年・久米島高)は、秋季初先発「緊張しました」と紅潮した顔に笑みがこぼれる。「高梨さんを温存しようという気概で、マウンドに向かった」。いざ、トップバッターと対峙したら「手が振れなかった」と苦笑い。それでも「2番バッターからは落ち着いて投球できた」と、「スライダー、カーブ、フォーク、ストレート」を巧みに投げわけ、「ランナーを出しても慌てない」クレバーな投球で5回1失点でエース・高梨にスイッチ。「土曜には白鴎戦。『高梨さんに申し訳ない』という気持ちで、、、」と言葉を呑んだ。春季より「自分の思う投球はできた。コンディションは凄く良いので、次に投げるチャンスが来たら、、、」と、一息ついて「『自分が抑えてやる』という気概をもって、完投を目指したい」と顔がさらに紅潮した。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑高)は「今日は自分たちの流れではなかった」とため息を吐いた。「失策が多くて、攻守でのサインミスも目立った」と下を向いた。「それが、後手、後手の試合運びとなり、良いリズムで戦えなかった要因」と試合を振り返る。「最後粘って勝てたことは、次の試合に繋がるがので良かったが」と天空を見つめ、「勝負には勝ち切ることはできたが、次には内容でも勝ち切れる試合をしたい」とより高い段階を目指す。白鴎戦は「今日のような試合をしたら勝つことはできない。守備からリズムをつくって、一つ一つ大切にプレーしていけば勝てると思うので、焦らず自分たちらしく戦いたい」と決意を述べた。
□伊藤彰コーチは「よく、接戦のゲームをサヨナラ勝ちしてくれた」と開口一番。先発・桃原は「リーグ戦は5節あるので、高梨だけでは優勝することはできないので起用した。粘りのピッチングで、ゲームをつくってくれた」と合格点。リリーフした高梨は「7回、先頭打者に野手のエラーから出塁されての失点(自責点ゼロ)で致し方ない。前回より球が走っていたし球のキレも良かった」と目を細める。延長10回裏の攻撃は「四球で出て、犠打で進塁し、それを中村が追い込まれてから、綺麗なホームでなくて、ランナーを還すんだと、何とか食らい付いての執念で打った一打。昨秋から取り組んできた結果なので」と声が弾んだ。週末から3強の白鴎戦「ここが序盤の大きな山」と深く頷く。「守りをもう一度、確りつくり直して、アウトを一つ一つとり、自分たちのリズムで試合をすすめ、今日のような一本を効果的に出せるようにしたい。是が非でも勝ち点を取って、次に駒を進めたい」と述べ球場を後にした。
文(H.K)、カメラ(平川大雪)
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