来春のセンバツ甲子園につながる「第66回秋季関東高校野球山梨県大会」は9月21日、甲府・小瀬球場と富士吉田・富士北麓球場で大会6日目の5試合が行われた。初戦の2回戦で農林高をコールドで下し3回戦に進出した山梨学院高は、富士北麓球場第1試合で地元の吉田高と対戦した。山学の先発メンバーは全員が2年生、マウンドには、県大会初登板の左腕山口大輔が上がった。山口はストライク先行の制球力のあるピッチングをした。2回にワイルドピッチで1点を失ったが、失点はこの1点のみ、最終回はエースナンバーをつけた右腕の上原進に交代したが、8回まで投げて5被安打、10奪三振と好投した。一方、攻撃には課題が残った。1回裏に2点を奪ったまでは良かったが、次の右前安打の時に3塁コーチャーの判断ミスで2塁ランナーを無理な本塁に走らせて挟殺。3回には2塁ランナーがアウトカウントを間違える凡ミス。4回にはスリーバンド失敗など、自分たちが目指しているつなぐ野球が出来ていなかった。きめ細かい野球には程遠い課題浮き彫りの3回戦突破となった。次戦は28日、都留高と対戦する。
秋季関東高校野球山梨大会≪山梨学院高vs吉田高≫(9/21)富士北麓球場
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吉田高 |
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山梨学院高 |
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× |
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バッテリー 山口・上原−笠原(山学)、古屋・坂本・渡邉(健)−樋口(吉田)
2塁打 山口・金城(山学)、奥脇・柏木(吉田)
安打 山学7・吉田6 失策 山学0・農林0
山梨学院は1回裏に鮮やかに先制した。1死後、2番田中滉起が左前安打で出塁、4番に入った新主将菊池海斗が2死から中前打を放ち先制、5番山口大輔の右越え適時2塁打で2点目を奪った。ここまでは最高だったのだが、その後がいけなかった。上原四球後、7番渡邉拓夢がライト前にヒットを放った。強い当たりだったが3塁コーチャーは手を回し本塁突入を指示、ランナーは三本間に挟まれ大量得点のチャンスをつぶした。山学のバッテリー山口大輔と笠原雅矢は、ともに夏の大会までは外野手だった。中学時代に投手経験のある山口は制球力をかわれ、笠原は強肩をかわれてコンバートされた。急造バッテリーの弱点が2回表に出た。山口が1死3塁で投げた変化球がワンバウンドになり、笠原が止められずに後逸、3塁ランナーの生還を許した。結果的には、失点はこの1点のみ、山口は時に力んで手投げになり、制球が乱れることはあったが、大半はバランスのいいフォームで腕を振り、ストライクを先行させて好投した。笠原は捕球に課題が残ったが、不慣れなポジションで山口を良くリードした。攻撃面では、3塁コーチャーの判断ミス、2塁ランナーがアウトカウントを間違えるミス、難しくない球だったスリーバンドをファウルにしたミスなど、自分たちが目指しているつなぐ野球が出来ていなかった。試合後、菊池徹コーチは「こんなにミスをしては上にはいけない。練習より試合の方が楽と言えるよう、練習の時から集中力を高めて取り組まなければだめだ。一人一人が自分を高める努力をしなければ、チームは高みにいけない」と選手を叱った。8回裏に相手投手のワイルドピッチと犠牲フライで2点を追加し、4−1で勝利したが、攻撃での判断力、集中力に課題を残したほろにが勝利だった。
山口大輔投手は「中学の時は外野手兼投手でしたが、高校に入ってからは投げていませんでした。関東大会の時にちょっと投げて、県大会の公式戦は初登板でした。緊張しましたが、ストライクを先行させるピッチングがある程度出来たと思います。ただ、腕をきちんと振れた時と、力んで制球が乱れた時がありました、そこが課外です。低め中心に投げて、ほしい時に三振が取れるピッチャーになりたい」と県大会初登板を振り返った。菊池海斗主将は「先制できたのは良かったが、走塁ミスや残塁が多くて苦しい戦いになりました。自分たちの持ち味を出せないと勝てない、ミスをなくす練習を重ねて、次からは自分たちが目指すしっかりつなぐ野球をしたい」と戦いを振り返った。吉田洸二監督は「今日は負けてもおかしくない試合でした。判断ミス、走塁ミス、練習試合でもこんなひどいことはなかった。バッテリーは2か月前に始めたばかり、2人とも外野手でした。山口に経験を積ませようと先発させて3回か4回のつもりでしたが、予想以上に踏ん張ってくれた。バッターは予想以上に打てなかった。厳しい試合でした」と8回に追加点を奪うまで、ずっと1点差で推移したゲームを振り返った。
次戦は準々決勝、9月28日(土)小瀬球場第1試合(午前10時開始)で、都留高とベスト4を賭けて対戦する。
文(M.T)、カメラ(小池裕太)
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