2013年関甲新学生野球秋季リーグ戦(第4節1戦目)は9月28日、山梨県の山梨学院大学川田球場で2試合を行った。第2試合は山梨学院大と平成国際大戦が行われ、山梨学院が2対0で平成国際に勝ち先勝した。今季、第4節で初のホーム球場での一戦となった山梨学院大は、プロ注目のエース右腕・高梨裕稔(4年)が4回裏、安打と四球で二死満塁とするも、7番打者を1ー2と追い込んでのフォークボールで空振り三振に切って取る好投。山梨学院は7回表一死後、平成国際のエース左腕から9番・角田元気(2年)が四球を選び出塁。1番・渡辺晶也(4年)の犠打で二死二塁。続く2番・酒井雄史(3年)の四球で二死一二塁とチャンスを広げると、3番主将・平井慎也(4年)が2ー1からのストレートを中越え二塁打し、角田と酒井を生還させ2対0。主将・平井の一打は緊迫する投手戦にくさびを打ち込むとともに、平成国際のエース左腕を降板させた。9回裏、山梨学院のエース・高梨が先頭の5番打者を二塁ゴロに、6番打者を三塁ゴロに、7番打者をフォークボールで見逃し三振に切ってとる。今日の高梨はフォークボールを上手く使うクレバーな投球で、平成国際の猛打線を4安打10奪三振と完封。高梨自身4勝目を挙げるとともに、チームを勝利に導いた。山梨学院は平成国際と明日、10時00分から同球場で2戦目を戦い、2連勝して関東大会出場と優勝を目指す。
□今季、第4節で初のホーム球場での一戦となった暫定3位の山梨学院大。対戦相手は暫定5位の平成国際大。昨秋季、両エースが譲らず延長15回の死闘の末、高梨が投げ勝ち山梨学院が1対0で薄氷を踏む勝利を収めた因縁の試合。スターティングメンバー用紙に山梨学院は右腕・高梨裕稔(4年・土気高)、平成国際は左腕・佐野泰雄(3年・和光高)と両雄の名が踊る。第4節は暫定1位同士の上武大と白鴎大の直接対決。山梨学院は平成国際戦に2連勝し勝ち点を挙げれば、関東大会出場圏内に浮上する大事な一戦。秋空に川田球場に掲げられた大会旗が時折微かにたなびく穏やかな日和。主審の右手が秋空を突き上げた。
●関甲新学生野球秋季リーグ戦(第4節1戦目)【 山梨学院大学 対 平成国際大学 】
山梨学院大学川田球場
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●【山梨学院】
●[投手]高梨裕稔(勝ち4勝1敗) 投球回数9回、打者34、打数30、投球数138、安打4、犠打1、四球3、三振10
●[捕手]田中貴也
●[長打]〈二塁打 平井慎也〉
●【気象状況】天気(晴れ)気温(23度)湿度(38%)降水量(0mm/h)風向(南)風速(2m/s)
◆先攻の山梨学院打線は、第3節1戦目で猛打上武打線を8回コールドを2安打に抑えた実力派の平成国際・エース左腕と対峙。1回表、右飛に、見逃し三振、3番・主将・平井慎也(4年・富士学苑高)が死球で出塁するが、後続が左飛に倒れる。
◆1回裏、山梨学院エース・高梨裕稔(4年・土気高)がいきなり1番打者に四球を与え、2番打者の犠打で一死二塁とするが、続く3番打者を空振り三振に、4番打者を遊ゴロに仕留めるまずまずの立ち上がり。
◆2回表、先頭の5番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)が四球を選び出塁。一死後、7番・田中貴也(3年・八重山商工高)の犠打で二死二塁とするも後続が倒れチャンスを潰す。
◆3回表、先頭の9番・角田元気(2年・埼玉栄高)が左前安打で出塁。1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の犠打で一死二塁とするが後続が打ち取られ好機を逃す。
◆4回裏、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の2番打者に中前安打、3番打者の犠打を1ー6の二塁封殺。4番打者を遊ゴロで一死二塁。5番打者に四球を与え二死満塁とするも、7番打者を追い込んでからフォークボールで空振り三振に切って取る。
◆5回表、7番・田中貴也(3年)が四球を選び出塁。8番・大丸浩平(3年・甲府商業高)の犠打と9番・角田元気(2年・埼玉栄高)の内野飛失策で一死一二塁としたが後続が倒れる。
◆6回表、先頭の3番・主将・平井慎也(4年)が左前安打で出塁。一死後、5番・加賀美祐樹(3年)の犠打で二死二塁。続く6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)の内野安打で二死一三塁と攻め立てたが後続が倒れ絶好のチャンスを逸する。
◆7回表一死後、9番・角田元気(2年)が四球を選び出塁。1番・渡辺晶也(4年)の犠打で二死二塁。2番・酒井雄史(3年・木更津総合高)が四球を選び二死一二塁とチャンスを広げると、3番・主将・平井慎也(4年)が2ー1からの4球目のストレートを振り抜き中越え二塁打を放ち、角田と酒井を生還させ2対0とし、エースを降板させる。
◆7回裏、エース・高梨裕稔(4年)が6番打者を見逃し三振、左飛、空振り三振に切って取る。
◆8回表、先頭の5番・加賀美祐樹(3年)が中前安打で出塁。6番DH・中村圭輔(3年)の4球目を盗塁。さらに中村の右邪飛でタッチアップし一死三塁としたが後続が打ち取られる。
◆9回裏、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の5番打者を二塁ゴロに、6番打者を三塁ゴロに、7番打者をフォークボールで見逃し三振に切って取る。高梨は一本調子の投球でなく、フォークボールを上手く使うクレバーな投球でチームを勝ちに導くとともに4勝目を挙げた。
□完封で早くも4勝目を挙げた
エース・高梨裕稔(4年・土気高)は「今日は、調子が悪いなりに、0点に抑えられ、自分なりに好投で来た」と振り返り、「次に繋がると思う」と小さく頷く。「今日はフォークを中心に投げていた。捕手の田中が確り止めてくれていたので、安心して投球できた」と女房役に感謝した。「調子の良いときは、ストレートで抑えられるが、今日は、田中とのサインプレーで、フォークも決め球として投げた」と口元が緩む。意外に「4年間のホーム球場で初めての勝利」とはにかむ。明日の試合で登板機会があれば「前節の白鴎戦のリリーフで、気持ちが入り過ぎて周りが見えなくなり、点を取られているので、冷静に落ち着いて一球一球投げていきたい」と抱負を述べた。
□自ら決勝打を放った
主将・平井慎也(4年・富士学苑)はチームは今季「ホームでの初試合で、応援団が多い中、ワクワク感と緊張感で試合に臨んだ」と苦笑い。7回表、「展開は0対0と硬直化した状況でチャンスの打席が回ってきたので、『高梨を楽にさせてあげたい、一本出せたらな』と気楽な気持ちで打席に立てた」。「相手投手はストレートが良いのでストレートを待っていた」。「甘い高めのストレーを上手く振り抜けた」と思わず笑みがこぼれる。明日は「攻撃で、チームは出るランナーが出て、形が作れているが、あと一打でチャンスを潰している。2戦目はチームが強い気持ちを持って、あと一本を出せるように、集中して挑みたい」と述べた。
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伊藤彰コーチは、「高梨は大人の投球をしてくれた」と頷く。「勝負球でのフォーク、カウント球でのフォークと、勢いだけでない、レベルの高い投球をした」と目を細めた。「これで、ストレートが、もどってきたら、高梨本来のピッチングになる」と微笑む。攻めては「平井が勝負所で、二死から良く打ってくれた」。ただチームとして「もっと、もっと、相手にプレーシャーをかけられるところがあった」と敢えて苦言を呈した。「明日は送りバント失敗と走塁ミスをなどを修正して、平成国際戦2戦目の戦いに挑みたい」と球場を後にした。
文(H.K)、カメラ(佐藤正明)
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