平成25年度「第56回関東大学空手道選手権大会」が10月14日、東京・日本武道館で開催された。大会は各大学対抗の団体戦、形の部は男女ともに3人制、組手の部男子は5人制、組手の部女子は3人制で実施された。山梨学院大空手道部は、以前は形の部だけだったが、近年は組手の部にも出場できるようになり、今回はフルエントリーした。伝統校である形の部は、男女ともに実力を十分に発揮した。男子は、白井鷹哉・戸口大輝・富田渓介の3人。女子は、高橋茉里・柄澤愛・中西夏輝の3人で臨んだ。男女ともに決勝で帝京大に敗れ、男子は2年連続、女子は5年連続の準優勝となった。組手は男女ともベスト16に入った。この結果、11月の全日本大学選手権には、創部初となる男女 全種目出場が実現した。
形の部は午前中に採点方式による予選が行われ、男女ともに14大学が出場した。採点の結果、男子は1位帝京大、2位山学大、3位拓大、4位駒大の4校。女子は1位帝京大、2位山学大、3位国士舘大、4位早大の4校が決勝トーナメントに進出した。決勝トーナメント初戦の準決勝で、山学男子は拓大、山学女子は国士舘大を下し揃って決勝に進出、ともに帝京大と対戦した。
≪ 女子団体形 決勝、山学大VS帝京大 ≫
山学大の布陣は、真ん中に小柄な高橋茉里(3年 岐阜・池田)、右に柄澤愛(2年 東京・帝京)、左に中西夏輝(1年 兵庫・夙川学院)の3人。決勝の形は、スピードと技の切れで勝負する「チャタンヤラークーシャンク―」を選んだ。抜群の切れ味を発揮し、決勝でしか演じられない形の「分解」も、素晴らしい演武をした。身びいきな空手素人の目には、優勝した帝京大よりもずっと良かったと見えた。試合後の3人は涙をぬぐって話した。高橋茉里選手「下級生の2人を引っ張って行けるか不安でしたが、先輩や同期に支えてもらい、決勝は楽しんでやれました。全日本では、絶対山梨学院の勝ちだと思わせるようにしたい」。柄澤愛選手「選考会で選ばれて出場できました。課題を克服して全日本では帝京に勝ちたい」。中西夏輝選手「初戦からすごく緊張しましたが、先輩方に練習中から励ましてもらいました。全国で勝てるように力を伸ばしたい」。3人は、心を研ぎ澄まして、自分たちの技に磨きをかける。
≪ 男子団体形 決勝、山学大VS帝京大 ≫
山学男子は3年生トリオ、決勝は真ん中に白井鷹哉(3年 山口・宇部鴻城)、右に戸口大輝(3年 埼玉栄)、左に富田渓介(3年 山梨学院)の布陣で臨んだ。選んだ形は、ダイナミックで力強い大きな動きの形「アーナン」。気迫に満ちたスケールの大きい迫真の演武で観衆を魅了した。特に「分解」の部分では、3人が空中で交差するアクロバットのような技も披露、会場の誰もが一瞬ハッと息をのみ、直後にワァーと大歓声が沸き起こった。身びいきな素人の目には最高の演武に見えた。残念ながら優勝は帝京大で、山学大は2位となった。試合後の男子3人は悔しさをこらえて語った。戸口大輝選手「2年連続の決勝の舞台で、今年こそ優勝という気持でやって来たが、まだ力が足りなかった。誰が見ても凄いという形と分解をやらないといけない、もっと力をつけて全日本に臨みます」。白井鷹哉選手「監督は応援の差だと励ましてくれましたが、自分たちより帝京の力の方が上だと感じました、まだまだです、もっと励みます」。富田渓介選手「結果は5対0、悔しさをばねにして3人の力を合わせ、来月の全日本と来年に向けて頑張って行きます」。3年生トリオは、精進と雪辱を心に誓った。
組手男子は、飯村修市(3年 佐世保北)、太田廉(3年 日大明誠)、堀部雅也(3年 柳ヶ浦)、室井大勢(3年 山口鴻城)、飛田祐樹(2年 埼玉栄)の5人で臨み、1回戦で東京大を下し2回戦に進出した。2回戦で準優勝した強敵の国士舘大に敗れ、ベスト16となった。女子組手は、松本めぐみ(2年 九州学院)、栗原さおり(1年 進修館)、永井綾夏(1年 帝京 1回戦、)、今野桃(1年 天童 2回戦)の4人で臨んだ。1回戦で東京学芸大に勝利し、2回戦で大会5連覇中だった帝京大と対戦した。結果的には0−3で敗れベスト16となった。常勝軍団に敗れたが、中堅の松本が1−2で惜敗するなど善戦した。ベスト16以上のチームには、全日本大学選手権の出場権 が与えられることから、山学大は形、組手ともに、男女揃って全国に出場することになった。
片田貴士監督は「男子団体形、女子団体形、男子団体組手、女子団体組手の全てで、全日本大学選手権に出場するのは創部初で大きな収穫でした。男子団体形については、男子的な見せ場の部分はあったが、トータル的な力強さや迫力は帝京大学の方が上だったと思う、もっと迫力のある分解をして行かないと勝てない。女子団体形については、予選、準決勝は良かったが、決勝の分解ではスピードが落ちたかなと思う、もっとスタミナをつけて行かなければいけない。男子組手は伸び盛り、技だけでなく精神的な部分も成長させるようにして行きたい。女子組手は1、2年生の若いチームだが、王者帝京を相手にいい戦いをした。これからの精進を期待したい」とそれぞれの戦いを分析した。
大学日本一を決める全日本大学空手道選手権は11月17日に大阪府・東大阪アリーナで開催される。山学大空手道部は、心に雪辱を期し、その胸を熱く燃やして全国の舞台に挑む。
文(M.T)カメラ(今村佳正)
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