2013年関甲新学生野球秋季リーグ戦(第7節1戦目)は10月19日、群馬県の上武大学野球場で2試合を行った。第1試合は暫定2位の山梨学院大と暫定1位の上武大戦が行われ、山梨学院が2対1で先勝。後攻の山梨学院は、プロ注目のエース・高梨裕稔(4年)が初回から気合のこもった投球で飛ばす。すると、エースの気迫のピッチングに触発された打線が2回裏、先頭の5番・加賀美祐樹(3年)が中前安打、6番・中村圭輔(3年)の四球。続く7番・田中貴也(3年)の犠打で一死二三塁とチャンスをつくると、8番・大丸浩平(3年)のスクイズで加賀美が生還し先制。さらに、捕手パスボールで、中村が勝ち越しホームインし2対0とリード。その3回表、エース・高梨が一死後、1番打者に三塁打を許すと、犠飛を与え2対1と詰め寄られる。山梨学院は高梨がランナーをだすものの要所を抑え追随を許さない。9回表には7番代打を空振り三振に、2安打の8番打者を見逃し三振に仕留め、9番代打を左飛に打ち取る。高梨が気迫と賢さを織り交ぜ5安打ピッチングで、みずからハーラートップに躍り出る6勝目をあげるとともに、山梨学院の初優勝に王手をかけた。山梨学院は明日の正午から同球場において、上武大と戦い初優勝を目指す。
□山梨学院は第6節 作新学院戦の第1戦目でプロ注目のエース・高梨裕稔(4年・土気高)が完投し、第2戦目では投手リーダー・山田祐也(4年・山梨学院高)がノーヒットノーランを達成し勝ち点を挙げ、暫定2位に浮上した。勢いづく山梨学院は、暫定1位の上武との直接対決で連勝し一気に優勝を勝ち取りたい。ここ上武大学野球場には両校の応援団が詰めかけ、応援合戦が早くも熱気を帯びてきた。先発は、山梨学院大がプロ注目のエース右腕・高梨裕稔(4年)、上武大が春季防御率0.74で1傑のエース左腕・横田哲(4年)。間もなく両雄が相まみえる。選手がベンチから勇んで出て整列。審判のプレーボールで決戦の火ぶたが切って落とされた。
●関甲新学生野球秋季リーグ戦(第7節1戦目)【 山梨学院大学 対 上武大学 】上武大学野球場
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●【山梨学院】
●[投手]高梨裕稔(勝ち6勝1敗)投球回数9回、打者36、打数29、投球数137、安打5、犠打2、犠飛1、四球4、三振5、失点1、自責点1
●[捕手]田中貴也(許盗塁1)
●[長打]〈二塁打 鈴木悠介〉
●【気象状況】天気(曇り)気温(16度)湿度(60%)降水量(0mm/h)風向(西北西)風速(1m/s)
◆1回表、エース・高梨裕稔(4年・土気高)が気合のこもった一投でストライクを取ると1番打者を二塁ゴロ。2番打者に四球を与えるも、3番打者を三塁飛、4番打者を右飛に打ち取る気迫の立ち上がり。
◆1回裏二死後、3番主将・平井慎也(4年・富士学苑高)、が3―1から左前安打で出塁するも後続が倒れる。
◆2回表、エース・高梨裕稔(4年)が、先頭の5番DHを3―2から四球、6番打者の犠打で一死二塁とするが、続く7番打者を左邪飛に、8番打者を見逃し三振に切って取る。
◆2回裏、先頭の5番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)が2―2から中前安打で出塁、6番・中村圭輔(3年・熊本国府高)の四球で無死一二塁。続く7番・田中貴也(3年・八重山商工高)の犠打で一死二三塁とし、8番・大丸浩平(3年・甲府商業高)のスクイズで先取点。さらに、9番・鈴木悠介(3年・山梨学院高)の初球を捕手パスボールで、中村が生還し2対0とする。
◆3回表一死後、エース・高梨裕稔(4年)が、1番打者にセンターへの三塁打を許すと、2番打者に犠飛を与え2対1とされる。
◆4回裏、先頭の5番・加賀美祐樹(3年)、が中前安打で出塁するも遊ゴロで6―4の封殺。続く7番・田中貴也(3年)の犠打で二死二塁としたものの後続が倒れる。
◆5回表、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の8番打者に左前安打を許し、9番打者の犠打で一死二塁。1番打者を三塁犠飛に打ち取り二死二塁。続く、2番打者に四球を与えるが、3番打者を一塁邪飛に打ち取る。
◆5回裏、先頭の9番・鈴木悠介(3年)が中前安打で出塁すると、1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)の犠打で一死二塁。二死後、3番・平井慎也(4年)がストレートの四球を選び二死一二塁としたが後続が倒れチャンスを逸する。
◆7回表、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の7番打者を空振り三振、8番打者に中前安打を許し盗塁で一死二塁とすると、9番打者に四球を与え一死一二塁。続く1番打者の一塁ゴロで二死二三塁とピンチ。高梨は落ち着いて、続く2番打者を3―2から左飛に打ち取る。
◆7回裏一死後、9番・鈴木悠介(3年)が右線への二塁安打で出塁し、1番・渡辺晶也(4年)の二塁ゴロで二死三塁。続く2番・酒井雄史(3年・木更津総合高)が四球を選び二死一三塁。続く3番主将・平井慎也(4年)も四球を選び二死満塁と攻め立てたが後続が倒れ、絶好の追加得点のチャンスを潰す。
◆8回表、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の3打者を二塁ゴロに、4番打者を右飛に、5番DHに中前打を許すも、6番打者を左飛に打ち取る。
◆8回裏一死後、6番・中村圭輔(3年)が右前安打で出塁するも6―4―3の併殺で倒れる。
◆9回表、エース・高梨裕稔(4年)が、7番代打を空振り三振に、2安打の8番打者を見逃し三振に仕留め、9番代打を左飛に打ち取り、みずからハーラートップに躍り出る6勝目をあげるとともに山梨学院の初優勝に王手をかけた。
□完投で今季6勝目を挙げたエース右腕・高梨裕稔(4年・土気高)は「調子は悪くなかった」と穏やかに口を開く。「春に負けて特別の思いがある上武戦、最後なので入りから集中して気合を入れて投げた」と力を込める。「1・2回は飛ばし、中盤からは要所・要所で飛ばし、後半は気持ちで立ち向かった」と頷く。高梨は「後半、粘り強い上武打線をいかに抑えられるかが、ポイントと思い試合に臨んだ」と、立ち上がりと締めは強い気持ちで挑んだ。今日の高梨は「最初はストレートで押して抑え、3回に点をとられてからはフォークを混ぜて抑えた」と気迫と賢さを織り交ぜた。「明日は山田が絶対抑えてくれると信じているが、いつでも行ける準備だけはしておきたい」と目を輝かせた。
□2回裏の一死二三塁スクイズで先取点を奪った8番・大丸浩平(3年・甲府商業高)は「ランナーを還すことだけに集中」して打席に向かった。スタメンから外れ「レギュラーの座を後輩に渡した」と絶句し、「その悔しさから練習してのスタメンの機会、どうしても、ものにしたかった」。「チェンジアップを見逃し、チェンジアップをファール」して、2ストライクと追い込まれから「伊藤コーチからスクイズのサインがでた」。「信頼してくれてのサイン」、レギュラー定着のためにもと「上武大の芝は長いので打球は必ず死ぬ、確実に投手前に転がせば」と集中。「ボールのチェンジアップを、計算通り転がした」と、絶妙なスクイズに投手がグラブトスしてきたが加賀美のホームインに反応できなかった。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑)はスクイズで「先制できたのが大きかった」と大きく息を吐き、「よく守り抜いた。しびれる試合だった」と満面の笑み。「高梨は今日、気持ちのこもった一球一球で、エンジン全開だった。『今日は一味違う』と誰もが感じとれた。それが打者に乗り移った」と振り返る。そして2回の攻撃、「2ストライク、右(大丸) 対 左(相手左腕)、てっきり右打ちかと思ったが、スクイズだった」と、主将にしてサインが読めなかったプレッシャーのかかる場面「低めのチェンジアップをよく転がしてくれた」と感心。しばらくして「明日、勝ち切らなければ、意味がない。どんな形でもよいので、相手より1点多くとって、勝ち切りたい」と述べた。
□伊藤彰コーチは、「緊張のゲーム、よく投げて、よく守った」と開口一番。「高梨は初回から球が伸びていた」とエースの力投を称え、また「なんとか1点ほしいところで、よく大丸が期待に応えてスクイズを決めてくれた」と巧みを称えた。それにしても「大丸の(2ストライクからの)スクイズは、相手バッテリーの動揺を誘い」2点目をパスボールで労せずして奪えた。今日は、山梨から朝6時に「須田(善照)コーチが控えの選手を引率して、球場に駆け付けてくれた」。有らん限りの力をふり絞り「一生懸命、応援をしてくれた。選手たちが出場選手の背中を押してくれた」と感謝の念。「明日も山梨学院大野球部の総力戦は続く」と真顔に戻り球場を後にした。
文(H.K)、カメラ(今村佳正)
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