2013年関甲新学生野球秋季リーグ戦(第7節2戦目)は10月21日、群馬県の上武大学野球場で雨天順延となった2試合を行った。第2試合は初優勝に王手をかけた山梨学院大と全日本を制し3季ぶりの優勝を狙う上武大戦が行われ、山梨学院が延長12回1対2でサヨナラを喫した。先攻の山梨学院は、前節ノーヒットノーランの投手リーダー・山田祐也(4年)が先発。7回までの投手戦の均衡を破ったのは山梨学院。8回表、先頭6番DH・中村圭輔(3年)の中前安打と、続く7番・田中貴也(3年)の左中間を深々と破る二塁打で1対0と先制。さらに犠打で一死三塁とし、果敢にスクイズを仕掛けるが失敗。その8回裏、投手リーダー・山田が中前安打と犠打、そして中前適時打で1対1の同点とされる。山梨学院は9回と10回表に得点圏にランナーを進めるがもう一本がでず勝ち越せない。延長12回の裏、好投していた山田が一死後、3番打者に内野安打され牽制悪送球で一死三塁、続く4番打者に四球を与え一死二三塁とし、エース・高梨裕稔(4年・土気高)に継投。高梨が5番打者を二塁ゴロに打ち取るも、三塁ランナーがホームに突っ込み、捕手のタッチとクロスプレー、主審の手が横に開き熱戦に終止符が打たれた。山梨学院大は明日の正午、上武大学野球場で上武大との第3戦目、関東大会出場と優勝に望みを繋ぐ天王山の戦いに挑む。
□山梨学院は上武戦の第1戦目を、プロ注目の高梨裕稔(4年・土気高)が1失点の完投、攻めては春季防御率0.74で1傑の上武大エース左腕・横田哲(4年)から2点をもぎ取り、2対1で先勝した。山梨学院は第2戦目、前節にノーヒットノーランを達成した投手リーダー・山田祐也(4年)を擁立。連勝して一気に勝ち切り、初優勝と関東大会出場を決めたい。ゲーム前の両校の応援団の応援合戦が大一番を盛り上げる。山梨学院が勝てば優勝、負ければ勝ち点をかけてもう一戦となる。バッターボックスへ1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)が向かう。両校の声援が球場全体に響き渡る。主審の手が上空に静かに上がった。
●関甲新学生野球秋季リーグ戦(第7節2戦目)【 山梨学院大学 対 上武大学 】上武大学野球場
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●【山梨学院】
●[投手]山田祐也(負け2勝2敗)投球回数11 1/3回、打者40、打数37、投球数170、安打5、犠打1、四球2、三振8、失点2、自責点2
●[投手]高梨裕稔(6勝1敗)投球回数0/3回、打者1、打数1、投球数5
●[捕手]田中貴也(許盗塁1)
●[長打]〈二塁打 田中貴也〉
●【気象状況】天気(晴れ)気温(21度)湿度(46%)降水量(0mm/h)風向(南南西)風速(1m/s)
◆1回表、山梨学院は1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)が右前安打で出塁し、2番・酒井雄史(3年・木更津総合高)の犠打で一死二塁。続く3番主将・平井慎也(4・富士学苑高)が3―2のフルカウントから四球を選び一死一二塁としたが併殺(4―6―3)でチャンスを潰す。
◆1回裏、前節でノーヒットノーランを達成した投手リーダー右腕・山田祐也(4年)が先発。山田が1番打者に四球を与え、2番打者の犠打で一死二塁とするが、3番打者を左飛に、4番打者を空振り三振に打ち取る立ち上がり。
◆2回裏、投手リーダー・山田祐也(4年)が先頭の5番打者を3球で見逃し三振に仕留める。続く6DHに2―1からの3球目を左前に運ばれるものの、7番打者と8番打者を左飛に打ち取る力投。
◆8回表、先頭の6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)が1―1からの3球目を中前安打し出塁。続く7番・田中貴也(3年・八重山商工高)が3―2からの7球目を叩き左中間を深々と破る先制の適時二塁打で中村を生還させ1対0。さらに8番・大丸浩平(3年・甲府商業高)の犠打で一死三塁。ここで果敢にスクイズを仕掛けるが失敗しチャンスを逸する。
◆8回裏、投手リーダー・山田祐也(4年)が先頭の7番打者に中前安打を許し、8番打者の遊ゴロで一死二塁とし、9番打者に中前適時打され1対1の同点とされる。
◆9回表一死後、2番・酒井雄史(3年)が継投した右腕投手から中前安打し出塁、続く3番主将・平井慎也(4年)の犠打で二死二塁としたが、リリーフしたエース左腕・横田哲(4年)に後続が打ち取られる。
◆9回裏、投手リーダー・山田祐也(4年)が2番打者を遊ゴロに、3番打者を空振り三振、4番打者も空振り三振に切って取る好投。
◆延長10回表一死後、6番DH・中村圭輔(3年)が左前安打で出塁、続く7番・田中貴也(3年)の犠打で二死二塁としたが後続が倒れる。
◆12回の裏、投手リーダー・山田祐也(4年)が2番打者を見逃し三振に、3番打者に内野安打され牽制悪送球で一死三塁、続く4番打者に四球を与え一死二三塁とし、エース・高梨裕稔(4年・土気高)高梨に継投。高梨が5番打者を内野ゴロに打ち取るも三塁ランナーがホームに突っ込み、捕手のタッチとクロスプレー、審判委の手が横に開きサヨナラ負けした。山梨学院は1勝1敗とし、明日関東大会出場と優勝に望みを繋ぐ。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑)は「守備の面では山田が低めに制球してよく投げ、渡辺(遊撃手)が好プレーを連発し、よく粘ってくれた」と頷き、「攻撃の面ではもう一打がでずに、次の1点が取れなかった」と語気を強める。「皆、集中力が切れたわけではなく、ただ攻撃で上武を上回る強い気持ちが足りなかった」と頭の片隅から絞りだす。「上武もそう簡単には勝たせてくれない」と強く頷き、明日は「この2連戦、先攻、先攻できているので、もう一押し、気持ちを切り替えて挑みたい」と決意を新たにした。
□伊藤彰コーチは、山田は「もう最高のピッチングだった。これ以上のピッチングはない」と小刻みに何回も頷く。延長12回の幕切れについて「高梨もあの場面で最高のボールを投げた。セカンドの鈴木も最高のタッチボールを投げた。キャッチャーの田中も最高のタッチプレーをした。全員が最善を尽くした」と勇士を称え、「ただ、勝ちに結び付けることができなかった。それだけ」と言葉を選んだ。今日、「山田や渡辺、平井など、選手たちは執念をもって戦った」と言い切り、ただ「執念のプレーを続け、9回の終わったところで相手より1点でも多くとれるかどうか」が課題と語気に力が入る。明日は「『執念のプレー』で勝ち切りたい」と球場を後にした。
文(H.K)、カメラ(今村佳正)
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