
平成25年度「男子第62回、女子第35回全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)」は10月22日、埼玉・飯能市の阿須ホッケー場で男女の準決勝が行われた。山学大男子は、前日の準々決勝で天理大に敗れたが、女子は準決勝に進み、関西最強の立命館大と対戦した。試合は、序盤から山学大が優勢にゲームを進め、前半25分に近藤理美がPSを決めて先制した。後半19分にパッサーの高田結菜がパスの後ゴール前に走りこみ、タッチシュートを決めて2−0とリードした。終了5分前に立命館大に1点を返され詰め寄られたが、そのあとも落ち着いて押し切り、決勝に進出した。明日23日に、もう一方の関西のライバル天理大と、インカレ2連覇をかけて対戦する。
山学女子は昨年のチャンピオンで、6月の全日本大学王座決定戦でも優勝しており、この秋はインカレ2連覇と、王座と合わせた2冠獲得に挑む。19日の初戦で早稲田大を5−0、21日の準々決勝で関西学院大を9−0で下し、事実上の決勝戦と下馬評で謳われた関西最強の立命館大との準決勝戦に臨んだ。
平成25年度全日本学生ホッケー選手権 女子準決勝
≪山梨学院大vs立命館大≫(10/22)於 飯能市・阿須ホッケー場 |
○ 山梨学院大 2 |
前半 1−0
後半 1−1 |
1 立命館大 ● |
得点 近藤理美・高田結菜(山学)、畑野ひかる(立命) |
山学女子は開始1分に3連続PCを得た。シュートがゴールポストに当たるなどして得点は奪えなかったが、序盤からいい形を作って攻め上がった。待望の先制点は前半25分に生まれた。昨年は腰痛で練習も出来ずに苦しんだ7番FW山田明季(3年 大阪・羽衣学園)が、サークル内で相手の反則を誘う頭脳プレーでPC(ペナルティー・コーナー)を獲得、パッサーからのボールをストッパーがわずかにそらしたことが逆に幸いした。こぼれたボールに4番FB近藤理美(3年 福井・丹生)が素早く反応、近藤が放ったシュートを相手DFがGKの後ろで止める反則を犯し、貴重なPS(ペナルティー・ストローク)を得た。これを近藤が自ら決めて先制、前半を1−0で折り返した。
ハーフタイムで、ジョン・シアン監督は「どんなゲームでもミスは起こる。その時ハッとするな、ミスを強い心で乗り越えるチームが強いチームだ、強いハートで戦え」と選手を鼓舞した。後半のスタートメンバーは自陣中央で円陣を組み、スティックを天に向けて掲げ、心をひとつにして後半のフィールドに散った。
後半開始1分に大ピンチが来た。カウンター攻撃を受け、立命FWにフリーでゴール前に持ち込まれた。その時、3番GK勝部奈穂(4年 島根・横田)が思い切って前に出る好判断で、一対一の局面で体を張り阻止した。勝部は昨年まで名キーパー永山衿香(今春卒業)の陰に隠れ、公式戦には一度も出場できなかった。優勝した今年6月の王座は、新人の笹木美里(1年 滋賀・伊吹)に正キーパーのポジションを取られた。佐々木の負傷で、4年目の秋にやっと出場の機会を得た。その最初で最後の大会で、渾身のプレーでチームの大ピンチを救った。そして、攻撃陣は後半19分にPCを獲得した。ショートコーナーからパスを出す役のパッサー2番FB高田結菜(3年 島根・横田)が、パスを出したあと、ゴール前に走り込み、ヒッターの1番MF田中泉樹(3年 岩手・不来方)から絶妙のパス、高田がタッチシュートで合わせて追加点を奪い2−0として勝利に近づいた。終了5分前に、逆襲のカウンターから立命館の畑野ひかるにリバースヒットシュートを決められ1点差に迫られたが、そのあとのゲームを落ち着いて支配し続け、決勝進出を勝ち取った。
先制点を決めた近藤理美選手は「ぺナストは、泉樹か美沙が担当なんですけど、その時間帯に2人ともいなかったので、自分が行きました。打つ瞬間、絶対決めてやると思い切り打ちました、明日も頑張ります」と顔をほころばせた。ピンチを好判断で救ったGK勝部奈穂選手は「みんなが良く戦ってくれて、攻められることはほとんどなかったんですが、あの時は、打たれると思った瞬間に前に出ました。4年目にやっと試合に出れて、やれることを精一杯やるだけだと思って、フィールドに立ちました。明日も精一杯ゴールを守ります」と語った。何度も心が挫けそうになったであろうに、腐らずに努力を重ねた選手が、4年最後の秋にチームの勝利に貢献し、ベンチに入れない他のチームメートに勇気と希望を与えた。松瀬有里主将は「立ち上がりから、みんなが前に、前にという意識を持って、攻めの姿勢でしっかり戦えたと思います。ここまで来るまでに本当に色々なことがあったんですが、決勝に出るためでなく、決勝で勝つためにやって来たので、明日は全力で70分間戦います」。負傷した右膝をテーピングでぐるぐる巻きにして強行出場しているキャプテンは、チームのために気迫で決勝戦に立ち向かう。試合後、昨シーズンで現役を引退し今春山梨に戻ったOGの三澤美香コーチは「厳しい時間帯もあったけどしっかり粘った。修正する部分はしっかり修正して、明日のゲームは今日よりもっといいゲームが出来るよう頑張っていきましょう」と選手全員を励ました。
もう一つの準決勝は、天理大が聖泉大を2−1で下し決勝に進出した。決勝戦は明日23日、阿須ホッケー場午後1時20分開始予定で行われる。山学大女子は、2008年以来5年ぶりの2冠2連覇に挑む。
文(M.T) カメラ(平川大雪)
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