2013年関甲新学生野球秋季リーグ戦(第7節3戦目)は10月22日、群馬県の上武大学野球場で山梨学院大 対 上武大の試合を行った。勝って2位を確定し関東大会出場権獲得と、白鴎との優勝決定戦に持ち込みたい山梨学院。3季ぶり12回目の優勝を目指す上武。ともに負けられない試合、山梨学院はプロ注目の高梨裕稔(4年)を、上武は春季防御率0.74で1傑のエース左腕・横田哲(4年)を擁立。後攻の山梨学院は3回表、エース・高梨裕稔(4年)が四球と犠打と左中間への適時打などで先取得点を許すと、4回表一死二塁から5番打者に中前適時打され0対2。その4回裏、山梨学院は3番主将・平井慎也(4)の中前安打、4番・菊池紳弥(4年)の内野安打、続く5番・加賀美祐樹(3年)の犠打、それに6番DH・中村圭輔(3年)の四球で一死満塁としたが、遊ゴロ併殺で絶好のチャンスを逸する。すると8回表に2点追加され、9回表には右ポールを巻き込むソロホームランで0対5と試合を決められた。高梨は負け投手となり6勝2敗でハーラートップも消滅した。優勝の女神が3強(白鴎・山学・上武)に行ったり来たりしたものの結果、優勝は上武大学(3季ぶり12回目)、2位は白鴎大学、3位は山梨学院大学となった。神宮大会に通じる関東大会出場は上武と白鴎に決定した。
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●関甲新学生野球秋季リーグ戦(第7節3戦目)【 山梨学院大学 対 上武大学 】上武大学野球場
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●【山梨学院】
●[投手]高梨裕稔(負け6勝2敗)投球回数9回、打者37、打数33、投球数145、安打9、本塁打1、犠打1、四球2、三振4、失点5、自責点5
●[捕手]田中貴也
●【気象状況】天気(曇り)気温(17度)湿度(78%)降水量(0mm/h)風向(南南東)風速(1m/s)
□山梨学院は上武戦の第1戦目、プロ注目の高梨裕稔(4年・土気高)が完投し2対1、第2戦目は前節にノーヒットノーランを達成した右腕・山田祐也(4年)が延長12回1/3で降板し1対2でサヨナラを喫した。迎えた第3戦目、勝って2位を確定し関東大会出場権獲得と、白鴎との優勝決定戦に持ち込みたい山梨学院。3季ぶり12回目の優勝を目指す上武。ともに負けられない試合、山梨学院はエース右腕・高梨を、上武は春季防御率0.74で1傑のエース左腕・横田哲(4年)を擁立。両校の野球部員の応援合戦も熱気を帯びる。いよいよ天王山の戦いの幕が切って落とされた。
◆1回表、後攻の山梨学院はエース・高梨裕稔(4年・土気高)がマウンドに向かう。高梨は1番打者を二塁ゴロ、2番打者を二塁ゴロに、2番打者を3―2からストレートで見逃し三振に、3番打者を捕手邪飛に仕留める落ち着いた立ち上がり。
◆1回裏、山梨学院は1番・渡辺晶也(4年・山梨学院高)がストレートの四球を選び出塁し、2番・酒井雄史(3年・木更津総合高)の犠打で一死二塁とするが後続が倒れる。
◆2回表、エース・高梨裕稔(4年)が4番打者を二塁ゴロ、5番打者に四球を与えるがランナーの飛び出しで一二塁間に挟みタッチアウト。高梨は続く6番打者を見逃し三振に切って取る。
◆2回裏、先頭の5番・加賀美祐樹(3年・東海大甲府高)が死球で出塁、続く6番DH・中村圭輔(3年・熊本国府高)の内野ゴロで一死二塁、7番・田中貴也(3年・八重山商工高)内野ゴロで二死三塁としたが後続が倒れチャンスを逸する。
◆3回表、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の7番DHに四球を与え、8番打者の犠打で一死二塁。9番打者の内野ゴロで二死三塁とし、1番打者に左中間への適時打を許し0対1と先取得点を許す。
◆4回表、エース・高梨裕稔(4年)が先頭の3番打者を内野安打で出塁されると、4番打者の犠打で一死二塁、5番打者に中前適時打を与え0対2とする。
◆4回裏、先頭の3番主将・平井慎也(4・富士学苑高)が中前安打で出塁、4番・菊池紳弥(4年・学法石川高)の内野安打で無死一二塁、続く5番・加賀美祐樹(3年)の犠打で一死二三塁とし、続く6番DH・中村圭輔(3年)がストレートの四球で一死満塁としたが、遊ゴロ併殺(6―4―3)で絶好のチャンスを逸する。
◆6回裏、先頭の2番・酒井雄史(3年)が四球を選び出塁、3番主将・平井慎也(4)の内野ゴロで一死二塁と攻めるが後続が倒れる。
◆7回裏、先頭の6番DH・中村圭輔(3年)の内野ゴロが相手野手の失策を誘い出塁、7番・田中貴也(3年)の犠打で一死二塁とし代打を立てたが打ち取られる。
◆8回表一死後、9番打者に中前安打、続く1番打者にセンターフェンスに当たる適時三塁打で0対3、2番打者に左中間への適時二塁打で0対4とする。
◆8回裏二死後、3番主将・平井慎也(4)が左前安打で出塁するも後続が倒れる。
◆9回表、先頭の6番打者に右ポールを巻き込むソロホームランで0対5とする。
◆9回裏、上武のエース左腕に3者凡退に打ち取られる。山梨学院は勝ち切ることができずに秋季3位となった。
□6勝2敗でシーズンを終えたエース・高梨裕稔(4年・土気高)は「自分が勝ち切れなかったのが、チームが優勝できなかった原因」と神妙にこたえる。「自分のできることは、全てやっての結果」と健気に頷き微笑んだ。投手リーダーの山田が「高梨は第1戦で投げ、第2戦はいつでも行ける態勢をつくって、第3戦で高梨が投げる。高梨の負担をなくさなければチームは勝ち切れないし、高梨のリズムも狂う」と気遣っていた。それでも、高梨は「これが今の自分の力」と爽やかに述べ、「『これが実力だ』と正面から受け止めたい」と小刻みに頷く。「上でやるにあたって、この負けを心に刻んで、精進したい」と目を輝かせた。明後日、ドラフト会議が行われる。高梨にとって特別の日になってほしい。「『4年間、本当にお世話になりました』と見守ってくれ た方々に感謝したい」とエースが衷心から頭を下げた。
□投手リーダー右腕・山田祐也(4年)は目にうっすら涙を浮かべ「このシーズンは、チームも自分も思っていた以上の力を発揮できた」と胸を張った。ホーム球場での平成国際大戦完封勝ち。作新学院大戦ノーヒットノーランを達成。昨日の上武戦は延長12回1/3を投げた。「自分にとっても、チームにとっても素晴らしいシーズンだった」と回想。「今まで、好きな野球をさせてくれた両親に感謝するとともに支えてくれた方々に感謝したい」と言葉を詰まらせる。「野球は大学で終わるが、これまで培ってきたことを生かし社会人として成長していきたい」と新天地での活躍を誓う。「後輩には、今日はとことん悔やんで、明日からは気持ちを切り替えて、練習に励んでもらい、結果を残してほしい」と結んだ。
□主将・平井慎也(4年・富士学苑)は「『チームは強い』と実感できた」と笑顔でこたえる。「応援部隊がいなかったら、ここまでできなかった」と心から感謝する。「夜遅くまで練習し、レギュラー組を支えてくれた部員に『ありがとう』といいたいし、ともに戦った実感がある」と声が弾む。そのおかげで「チームは実力をつけてきた」と頬がほころぶ。「1年から4年生まで必死で取り組んだ」結果。「下級生の練習に4年生が必死に食らいついていった」と思いめぐらす。「背中を見せられたかなと思う」と照れ笑い。実力がついても「勝負の世界は結果が全て」と勝負師の目に。自分たちには達成できなかったが「後輩にはさらに切磋琢磨して、頑張ってもらい、てっぺんを目指してもらいたい」とエールを送った。
□伊藤彰コーチは、「結果は、優勝へも、関東大会へも届かなかったが、それ以上の価値があった」と声を絞り出した。「選手もチームも、執念で底力を、毎試合見せてくれ、大きく成長した」と称えた。伊藤コーチは学生の前で「9月14日常磐戦の前に、平成国際大学のロッカールームで監督さんに勝利の報告ができるかと問いただすと、力強く『はい』とこたえてくれた。これで安心して采配ができた。皆に感謝したい」と感慨深い面持ち。「今シーズンは、勝負に負けはあったが、負けゲームはなかった。山梨学院の執念を見せつけ戦えたナイスゲームだった」と鼓舞する。「4年生の頑張りでチームは強くなった。来年の春、ここにいる4年生を、勝負で勝って皆で神宮球場に連れて行こう」と労をねぎらうとともに、春季の目標を暗示した。
文(H.K)、カメラ(今村佳正)
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