2013年プロ野球新人選手選択(ドラフト)会議は24日、東京都のグランドプリンスホテル新高輪で行われた。12球団が高校生・大学生・社会人のプロ志望選手を入札し、新人選手76人と新人育成選手13人を指名し交渉権を獲得した。関甲新学生野球連盟にプロ野球志望届を提出した山梨学院大学のエース右腕・高梨裕稔選手(4年・土気高)は北海道日本ハムファイターズから4位で指名された。指名後、山梨学院大学広報スタジオで下田正二郎カレッジスポーツセンター長、日高昭夫野球部部長、伊藤彰コーチと両親ともに合同取材に臨んだ。伊藤彰コーチから「6時42分、北海道日本ハムファイターズの川名慎一スカウトから『高梨投手を4位で指名さていただきました』と電話連絡がありました」と指名報告。高梨投手は「プロ野球の世界に入ることは小さい頃からの夢だったので素直にうれしい。指名していただいた日本ハムファイターズに感謝いたします。また指導していただいた高橋一三監督・伊藤彰コーチや野球部の仲間に出会えたことにも感謝したいです」と述べた。高梨投手は正門に駆け付けた野球部員約70名に胴上げで祝福されたあと、仲間の騎馬の上で右腕を天空に突き上げプロ野球での活躍を誓った。
山梨学院広報スタジオには4時過ぎに報道記者が来始める。スタジオの50V型6面マルチビジョンにテレビ山梨(TBS系列全国ネット放送)で生中継されている『プロ野球ドラフト会議』が映しだされる。1巡目、12球団が希望選手を提出。単独指名球団は交渉権獲得し、重複球団は抽選で指名選手を決定していく。テレビ中継終了後、マルチビジョンをパソコン画面に切り替える。2巡目以降はウエーバー方式で行われていく。4巡目に北海道日本ハムファイターズが山梨学院大学のエース右腕・高梨裕稔投手(4年・土気高)を指名、マルチ画面に高梨の名前が浮かび上がる。カレッジスポーツセンターで連絡待ちしていた高梨投手が関係者とともに広報スタジオに到着。鎌田将司野球部マネージャーが下田正二郎カレッジスポーツセンター長、日高昭夫野球部部長、伊藤彰コーチ、高梨裕稔投手、両親(父・賀夫、母・早苗)をエスコートし合同取材が開始された。伊藤コーチからの指名報告が行われ、その後、質疑応答、フォトセッション、フリー取材が行われた。
□北海道日本ハムファイターズから4位指名された高梨裕稔投手(4年・土気高)は「高橋監督、伊藤コーチ、それに先輩・同級生・後輩に出会えたことで、今の自分があるので感謝しています」と、それに今まで好きな野球を続けさせてくれた両親に一番感謝したい」と謝意を表す。高橋監督には「未熟だった自分をここまで成長させてくださった監督さんなので、素直に『やりました』、『ドラフト、選ばれました』と率直に伝えたい」と感慨深げ。「土気高校時代の友達の下條春希君が卒業生や先生や在校生に声をかけてくれて『ドラフトを見る』という会を開いてくれ、母校の図書館に約60名が集まりテレビ(スカイ・A)を囲み見守っていた。その友達がテレビ電話で放送を見せてくれて初めて知りました」と会心の笑顔を見せる。「指名の巡の回数が上がるにしたがって、手に汗を握るハラハラドキドキだった」と苦笑い。プロを意識したのは、「勝ち星をあげることができた2年生の秋」。指導者の印象に残ったことは「監督さんはピッチングフォームとプロでの話。伊藤コーチは一年生から付き切りで体づくりのトレーニングをしていただいたこと」と頷いた。プロに入って「今のままでは一軍で試合に出場することは難しいと思うので、もっともっと練習して、自分のセールスポイントである『球持ちがいいこと』と、『ストレート(最速147キロ)とフォーク』を伸ばし、早く一軍に行けるように頑張りたい」と研鑽を誓う。憧れの選手は右腕から大きく曲がるカーブを武器とする先発人の柱「埼玉西武ライオンズの岸孝之選手」と頷く。早く「関甲新で一緒に戦った、ロッテの加藤翔平さん(上武大)、楽天の岡島豪郎さん(白鴎大)と対戦してみたい」。そして「最終的には日本ハムの投手の柱になりたい」と抱負を述べた。
□慈しみ育てた両親、父・賀夫さんは「息子の小さい頃からの夢がやっと叶い、うれしさと緊張で一杯です。山梨学院に来て監督さんと伊藤さんに指導をいただいたことが一番大きい。ようやくスタートラインに立てたので、早く一軍に上がり一勝してもらいたい」と、母・早苗さんは「監督さんや伊藤コーチに、そして同級生や後輩と先輩など、いろんな方に感謝の気持ちを持って、早くプロで活躍できるようにしてもらいたい」と、親の心境と感謝の気持ちを述べた。
□高梨を発掘し監督とともに育成した伊藤彰コーチは「高梨を初めて見たとき、手足の長さと腕のしなりがある良い選手だった」と回想する。大学で「高梨は、なによりもひたむきに、練習してきた結果」と言い切る。日本ハム球団の指名に「高梨の球持ちがいいことと、なにより高梨の伸び代に期待して、指名してくださったと思う」と推察するとともに感謝する。その恩に報いるためにも「プロという厳しい世界で活躍するためには、球のスピードと切れ、それにコントロールのレベルを2レベル、3レベルアップさせなければいけない」と敢えて苦言を呈す。それには「球団の指導者や先輩から多くを学び取ることが必要」と、「ひたむきな高梨なら必ずやれるはず」と結び教え子の雄姿に目を細めた。
□公式戦ではともにベンチに入り高梨を見つめてきた日高昭夫野球部長は「高梨を指名してくださった北海道日本ハムファイターズに、そしてここまで育てていただいた両親に感謝したい」と満面の笑み。高梨投手に「高梨は、体は勿論のこと、柔軟な頭を持っていて、伸び代が大きくある選手。高校から大学に来て、その伸び代が飛躍的に伸びた。プロに行って、さらにその伸び代を大きく成長させられる可能性があるので、大いに頑張ってもらいたい」と餞(はなむけ)の言葉を贈った。
文(H.K)、カメラ(平川大雪)
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