
女子第25回全国高校駅伝大会山梨県予選が11月2日、富士河口湖町の西湖湖畔周回コース(女子 21.0975キロ)5区間で昨年より2校多い13校が参加して、都大路の出場1枠と関東大会出場6枠を目指して健脚を競い合った。山梨学院は1列目の左から1番目。1区・青葉愛(3年)が午前10時40分の号砲とともにスタート。青葉はすぐ先頭を奪うと独走。2位の韮崎を1分22秒引き離して、2区・高橋真以(2年)に襷リレー。すると、高橋、3区・三浦祐美香(1年)、4区・畠山実弓(2年)が、それぞれ区間新・区間賞と快走。山梨学院は2位の韮崎に3分58秒の差をつけて、アンカー5区・齋藤暁(2年)へ。勢いそのまま齋藤も区間新・区間賞で2位の韮崎を5分25秒引き離す快走 。山梨学院は齋藤がチームタイム1時間9分30秒で2年ぶりの大会新記録と全区間区間賞(区間新4人)でゴールテープを切り、5年連続13度目の優勝を果たした。山梨学院は12月22日(日)に京都で行われる第25回全国大会(都大路)と第22回関東高校駅伝に山梨県を代表して出場する。なお、男子も3年連続13度目の優勝を果たし、9度目のアベック優勝となった。
山梨学院は昨年、2区・高橋真以(1年)が記録アクシデントで区間記録なしとなり一昨年に続く全区間区間賞とはならなかった以外、全区間で区間賞の走りで4連覇を達成した。関東では自らの山梨県最高順位3位と最高記録1時間11分22秒を48秒更新(1時間8分57秒)の2位。全国大会の都大路で、目指した入賞は逃したものの県最高順位12位を記録。萩倉史郎監督が「スピードに磨きをかけるなど、試合の流れをつくれるチームに育てたい」と競技場を後にした。山梨学院は、1区・青葉愛(3年)、2区・高橋真以(2年)、3区・三浦祐美香(1年)、4区・畠山実弓(2年)、5区・齋藤暁(2年)のオーダー。1区・2区・5区が昨年と同じ、残りの3区と4区は未経験者の1年生 と2年生を起用。スタート時点の概ねの気象状況は、天気「晴れ」、気温「10 度」、降水量「0mm」、湿度「67%」、風向「東」、風速「1m/s」。西湖レストハウス前に参加13校の選手が整列。午前10時40分の号砲とともに5年連続13度目の優勝を目指し、青葉が1列目の右1番目から一斉スタート。
1区 【西湖レストハウス前〜麦わら帽子自動販売機前】 |
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◇1区[6,000m]
青葉愛(3年)
1位 〈20'09〉
区間賞
チーム1位《20'09》 |
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1区・青葉は「去年、ペースメーカーにされてしまった。今年は最初から離していこうと思った」と、号砲とともにトップに立ち飛ばす。上って下るコース、入り1キロは設定タイムを上回るペースで快走。2•5キロ走ると湖面にでた。強風が青葉を襲う。「風のせいにはしたくない」と一生懸命走る。青葉の独走が続く、「競り合いのレースと違い、追い込む走りができない」と己に叱咤激励するが、ペースダウンで設定タイムを下回る走り。青葉は「昨年は後ろとの差をつけられずに襷を渡した」と悔しさを思い出し、自分を叱咤激励する。中盤の3キロを「今年は、レースの流れをつくる走りで真以に渡したい」とさらに力走する。20分9秒の区間賞で、2位の韮崎を1分22秒引き離し「後ろとの差を開けチームの流れをつくる」という課題を克服する好走。しかし、青葉は「一人で走っていても、目標タイムをクリアできる走りを身につけたい」と新たな課題を抱えつつ、1区中継所の麦わら帽子自動販売機前で待つ高橋真以(2年)に襷を繋いだ。 |
2区 【麦わら帽子自動販売機前〜民宿ふるさと前】 |
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◇2区[4,0975m]
高橋真以(2年)
1位〈13'31〉
区間新・区間賞
チーム1位《33'40》 |
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2区・高橋は、昨年2位との差がないとスタートで動揺したが、今年は「区間新をだせる自信がある」と凄く落ち着いている。青葉が見えると「オー、きたなと『自分がこれから走ってやるぞ』」と笑顔で襷をもらいスタート。昨年は平常心を知らず知らずのうちに欠いていった西湖独特の蛇行するコースも、今年は「自分の持っている力を全て発揮しょう」と快走する。2キロ過ぎ容赦なく吹きつける横風も「気にならない」と力走するが、「タイムが思うようにあがらない」。歯を食いしばる走行が続く。「あと、ラスト500メートルしかない。次は1年生が走る」と思ったとたん、昨年の不安な自分が脳裏にうかぶ。「1年生のためにも走るしかない」と自分に鞭打ち快走する。残り50メートルの上りの コースも「自分が走らなければ、誰が走るんだ」と爆走。高橋は昨年のタイム計測のアクシデントで個人順位と賞が幻と化したが、そのもやもやを吹き飛ばす13分31秒の区間新・区間賞でチームタイム33分40秒、2位の韮崎に2分10秒とし、2区中継所民宿ふるさと前の三浦祐美香(1年)に襷を手渡した。 |
3区 【民宿ふるさと前〜西湖漁業組合駐車場前】 |
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◇3区[3,000m]
三浦祐美香(1年)
1位〈9'41〉
区間新・区間賞
チーム1位《43'21》 |
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3区・三浦は代表に選ばれるかどうかのボーダーにいた。「自分を信じて練習を続けてきたので、ノミネートされたときは嬉しかった」と走れる喜びで緊張はない。「真以先輩の必死な姿を見て、これはやるしかない」と襷を受け取り走る。監督の「『敵は記録』」と胸に刻み走る。1キロ地点を通過、「タイムは設定通り」で軽快に飛ばす。最も重要なタフな中盤からの上り、三浦は「苦しいところで粘ることができない」。長く続く上り坂で「敵は記録」と幾度か唱え、一途に走る。さらに残り1キロメートルの下りを懸命に走る。残り300メートル西湖にでて軽快に飛ばす。最後のカーブを曲がると、残り200メートル平らなコース。有りっ丈の力を振り絞り激走。三浦は1年生ながら9分41秒と区間 新・区間賞の走りにも「目標タイムを11秒オーバーする『不本意な走り』と自分を戒めつつ、チームタイム43分21秒、2位の韮崎に2分48秒とし3区中継所・西湖漁業組合駐車場前で待つ畠山実弓(2年)に襷を託した。 |
4区 【西湖漁業組合駐車場前〜森下キャンプ場バス停】 |
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◇4区[3,000m]
畠山実弓(2年)
1位〈9'30〉
区間新・区間賞
チーム1位《52'51》 |
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4区・主将の畠山実弓(2年)は、9月に主将に就いた。「秋口に入り調子が上向いていたので、初めての大会だが落ち着いて」スタート。襷をかけるとキャプテンシーにスイッチが入り「自然に気持ちが入った」と1キロを約3分10秒と快走。1•5キロで「父方の祖母の姿と『実弓がんばれ』という声援が聞こえた」。孫の大会を楽しみにしていてくれた「祖父が1ヶ月前に他界。祖父のことを思い出し胸が熱くなった」と、祖父が背中を押す。畠山は拍車がかかり、2キロ地点を通過し想定より5秒早い。2キロをすぎから「徐々にスピードが落ちる」。ここが正念場、「中学の仲間や知人などの、沿道の暖かい声援に勇気づけられ、腕を振り粘れた」と、残り600メートルの直進コースへ。「500を切ると、暁の姿が見える」。畠山は、同級生の暁の姿に「勇気づけられラストスパート」。目標タイムより「5秒早いタイムで『驚いた』」と9分30秒の区間新・区間賞の激走で2位の韮崎に3分58秒とし、4区中継所の森下キャンプ場バス停で待ち構えるアンカーの斉藤暁(2年)に襷を繋いだ。 |
5区 【森下キャンプ場バス停〜男子第3中継所前】 |
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◇5区[5,000m]
齋藤暁(2年)
1位〈16'39〉
区間新・区間賞
チーム1位《 1:09'30》 |
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5区アンカー・齋藤は「あとは任せろ」と襷を受け取ると、勇んでみんなが繋いでくれた襷を肩にかけて、カーブが多く蛇行するコースを走る。1キロからの上がり、「応援してくれる人や保護者の方の『ファイト学院』の声が絶え間なく聞こえ、嬉しくて難所を粘り走る」。2キロ過ぎに、幾度かカーブを曲がったところで「風が勢いよく襲いかかってきて、体が折れそうになる」。中盤、「凄くきつかったが、先生(監督)の『後半あがっていくぞ』」の声援の言葉を信じて、「リズムを刻むことだけを考えて」ひたすら走る。齋藤は終盤、「後半あがっていくぞ」と心で幾度も幾度も叫びペースをあげる。最後のカーブを曲がり200メートルを悔いのない走りで攻める。齋藤は16分39秒の区間新・区間賞の快走で、2位の韮崎に5分25秒の差をつける1時間9分30秒で、2年ぶりの大会新記録と全区間区間賞(区間新4人)で、仲間が待ち構える男子第3中継所前ゴールに、5本の指を大きく広げて5年連続13度目の優勝のテープを切った。 |
□9月主将となり、今大会初出場で区間新・区間賞に輝いた
畠山実弓(2年)は「みんな全力を出し切った結果、区間新記録も5人中4人でたので良かったと思います」と頷く。「ただチームタイムが目標を上回れなかったので反省したいです」と謙虚。「これから練習して、その課題をクリアしていきたいです」と貪欲。「今回、萩倉先生(監督)や指導して下さった方や応援してくれている方々に感謝したいです」と頭を下げ、「関東、都大路でも全力でがんばりたいとおもいます」と決意を述べた。
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萩倉史郎監督は「試走の自己ベストを、ほとんどの選手がだしているので良いできだったと思う」と笑みを浮かべる。記録挑戦については「1時間8分台を狙っていたが、そこまでは選手の力が足りなかった」とさらっと言い放つ。「これから、記録会とかポイント練習もある」と頷く。「11月16日、12月1日の日体大の記録会で、3000、5000メートルで、選手の力を引き出したい」と目を凝らす。この結果「選手の入れ替えは、多少でてくる可能性はある」と下克上。次の「関東では、きっちり優勝して、都大路に自信を持って行きたいので、手を抜かずに戦う」ときっぱり優勝宣言し西湖を後にした。
文(H.K)、カメラ(今村佳正)(小池裕太)(八巻和夫)
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