男子第66回関東高等学校駅伝競走大会が11月23日、栃木県の佐野市運動公園陸上競技場周回コースで、1都7県の48チームが参加して行われた。12時00分に一斉にスタート、7区間42.195キロで関東一の健脚が競われた。18年連続18回目の山梨学院は優勝を目指して、1区・上田健太(3年)が1列目アウトコース2番目からのスタート、先をいく柏日体を5キロで捕らえると先頭集団を引っ張るが、ラスト500で仕掛けられ、1位の埼玉栄と8秒差のまさかの5位。2区・小林雄斗(1年)が好走し埼玉栄に2秒差のトップへ。3区・河村知樹(3年)も区間2位の好走で猛追してきた2位の八千代松陰に7秒差。4区・市谷龍太郎(3年)が八千代松陰に抜かれ35秒あけられると、 5区・関川大悟(1年)が56秒差と踏ん張れない。6区・矢ノ倉弘(3年)が区間1位の快走で42秒差に縮めアンカー7区・西山令(3年)へ襷リレー。西山は大会新記録で優勝した八千代松陰に32秒差と攻めたが2時間4分58秒(大会記録)で2位フィニッシュ。山梨学院は微調整して1ヶ月後に迫った都大路で高みを目指す。
箱崎孝久監督は都大路予選会で「関東大会は全国大会のシミュレーションとし、記録も順位も狙いたい。関東で優勝できなければ、都大路でのトップ争いなどあり得ない」と、選手を奮い立たせ大会に臨んだ。1区・上田健太(3年)、2区・小林雄斗(1年)、3区・河村知樹(3年)、4区・市谷龍太郎(3年)、5区・関川大悟(1年)、6区・矢ノ倉弘(3年)、7区アンカー・西山令 (3年)の布陣。概ねの気象状況は、天気「晴れ」、気温「14度」、降水量「0mm」、湿度「48%」、風向「南南東」、風速「2m/s」。茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の代表6校の48チームが、スタートラインに着いた。18年連続18回出場で優勝を目指す山梨学院は上田が1列目アウトレーン2番目。12時00分、号砲とともに一斉にスタートを切った。
◇第1区[10,000m]陸上競技場⇒ セブンイレブン⇒ 百万石⇒ 陸上競技場 |
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◇上田健太(3年)
チーム5位《29′27″》
5位〈29′27″〉
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□上田は山梨学院のゼッケン71ー1を胸にバックストレート中央付近のスタートラインに着いた。上田は横一線の先頭集団、まもなく「集団から柏日体が勢い良く抜け出て、見る見るうちに約30メートル引き離される」。1キロを「白鴎大足利を先頭に『第2集団の中で落ち着いて行こう』と4番目で過ぎる」。上田は急な上りと下りを利用して「佐野松桜高校入口付近で集団の先頭に立ち、埼玉栄や東農大三と競り合いながら柏日体を追う」。出流原歩道橋を過ぎると「向かい風がきつくなったが、先頭で集団を引っ張る」。出流原町西信号機を過ぎた4キロ手前で、後ろから上がってきた市立船橋と競り合い「5キロ付近で、柏日体を吸収し抜き、第一集団のトップ」に躍り出る。出流川の寿橋を渡り、7キ ロ地点で「仕掛けるが、『引っ張ってきた疲れで』振り切れない」、それでも8人の集団に絞れてきた。今度は「8キロ地点で、市立船橋が仕掛ける」追いつ追われつの激走。ラスト1キロで「埼玉栄、白鴎足利、拓大一が前に出る」。牽引していた上田と市立船橋が、追いかけるが後方に置いて行かれ、中央中等にも抜かれる。上田は中継所で待つ2区・小林雄斗(1年)に、区間5位のトップ差8秒で襷を手渡した。上田は「集団を引っ張り積極的なレースはできたが、都大路までに残り1キロで負けない力をつけたい」と額の汗を拭った。
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【1位 埼玉栄(埼玉)、2位 拓大一(東京)、3位 白鴎大足利(栃木)、4位 中央中等(群馬)、5位 山梨学院(山梨)、6位 東農大三(埼玉)、7位 市立船橋(千葉)、8位 柏日体(千葉)】 |
◇第2区[3,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校脇折り返し⇒ 陸上競技場 |
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◇小林雄斗(1年)
チーム1位《37′57″》
2位〈08′30″〉 |
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□小林は「『後続には早い選手が居る』と楽に落ち着いて」、上田から襷を受け取る。競技場を左に出てすぐ「市立船橋に抜かれ、市立船橋の後をついて走る」。「中間点までは楽に行こうと」体育館前を走りプール駐車場信号機を左折へ、野球場の1キロ地点を過ぎる。「上りを得意としている」小林は市立船橋と、急な上り、急な下りを利用し、佐野松桜高校脇で前の選手を吸収して、白鴎大足利や拓大一などと2位集団となった。勢いに乗る小林は前に出て「埼玉栄を追い、先頭で集団を引っ張る」。佐野松桜高校入口付近の折り返し地点で、「埼玉栄の位置を確認。『埼玉栄は捕まえられる』と確信」し、中間点を折り返す。佐野松桜高校端まで急な上がりを快走し、「2位集団の中央中等、白鴎大足利や拓 大一を振り切る。小林は後についてくる市立船橋をも振り切り、野球場の「残り1キロ付近で先頭をいく埼玉栄を抜き」先頭に躍り出る。地点まで急な下りから平らになり、プール駐車場信号機を右折、残り約400メートルで競技場へ、競技場を右に「1秒でも早く、渡そうと」中継所へ。4人抜きを演じた小林は、チーム順位を1位に上げ、2位に2秒差をつけ、流れを引き寄せて中継所で待つ3区・河村知樹(3年)に襷を手渡した。小林は「都大路ではラスト200で切り替えができる走りをしたい」と目を輝かせた。
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【1位 山梨学院(山梨)、2位 埼玉栄(埼玉)、3位 市立船橋(千葉)、4位 拓大一(東京)、5位 白鴎大足利(栃木)、6位 佐野日大(栃木)、7位 柏日体(千葉)、8位 東農大三(埼玉)】 |
◇第3区[8,1075m]陸上競技場⇒ セブンイレブン⇒ 百万石⇒ 陸上競技場(折り返し) |
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◇河村知樹(3年)
チーム1位《1°02′10″》
2位〈24′13″〉
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□河村は小林から襷をもらい「ライバル視している八千代松陰が、見えなかったのでホッとして」競技場を出る。野球場の1キロを「2分53のペース。市立船橋と埼玉栄が、すぐ後ろについてきている」。河村は「佐野松桜高校脇までの急な下りで、スピードを上げ揺さぶる」が振り切れない。出流原町の信号手前の「上りを利用して2.5キロ過ぎで、後続を引き離す」快走。河村はセブンイレブンを通り過ぎ、出流原歩道橋の「下りでスピードを上げ、後ろを振り返ると後続が見えない」。河村は独走となり、出流原町西信号機からの上がりを力走する。食事処の百万石を過ぎ左折、田園の5キロ地点「独走になり、3分3とペースが落ちる」。河村は中華料理の青木屋手前の「課題の6キロ地点、ここ でペースを上げるポイントだが、足に来ていてペースが思うように上がらない」。河村は運動公園南信号機を左折すると「応援に後押しされピッチが上がる」。プール駐車場信号機を左折し「『後ろから八千代松蔭がきている』」と聞き、必死で走る。競技場の折り返しのカラーコーンを周り、中継所で待つ4区・市谷龍太郎(3年)に猛追してきた2位の八千代松陰に7秒差、3位の白鴎大足利に31秒差をつけて襷を渡す。河村は3位以下は大きく引き離すも「八千代松蔭と58秒差あった貯金を使い果たしてしまった」と詫びた。 |
【1位 山梨学院(山梨)、2位 八千代松陰(千葉)、3位 白鴎大足利(栃木)、4位 市立船橋(千葉)、5位 埼玉栄(埼玉)、6位 佐野日大(栃木)、7位 柏日体(千葉)、8位 拓大一(東京)】 |
◇第4区[8,0875m]陸上競技場⇒ セブンイレブン⇒ 百万石⇒ 陸上競技場(折り返し) |
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◇市谷龍太郎(3年)
チーム2位《1°26′13″》
2位〈24′03″〉 |
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□市谷は3区と同じコース。競技場から「気持ちが入り飛ばす」。野球場の「1キロ地点を過ぎ、後ろを振り返ると八千代松蔭が迫ってくる」。市谷は出流原町の信号手前の「2キロ地点で2分51のペース」まだ余裕がある。「八千代松蔭が勢い良く抜いてきた『ここでついて行かなければ』」と激走する。市谷はセブンイレブンの前を懸命に追う。出流原歩道橋を直進するとやや下る。寺久保町入口信号機を直進し、出流原町西信号機の上がりを八千代松陰を猛追する。市谷は食事処の百万石を右に過ぎすぐ左折し、田園の中を直進し左折。市谷は緩やかな上がる道を力走。中華料理の青木屋手前6キロ地点通過、逃げる八千代松陰を猛追する。7キロ地点の2回目の信号の上がり、「もともと苦手な上がりに、足が止まり思うように走れない」八千代松陰が離れて行く。佐野消防署西分署前を過ぎすぐ運動公園南信号機を左折、「意識が薄らいでいく」中をプール駐車場信号機を左折。今の市谷には、無情にも両脇の人垣からの大声援も届かない。それでも市谷は競技場を左折しアウトレーンから男子4区折り返しのカラーコーンを周り中継所へ。市谷はトップの八千代松陰に35秒差とされ、5区・関川大悟(1年)に、「人生で一番きつい、レースだった」と襷を渡すが、もうろうとした意識のまま倒れ込んだ。市谷は「都大路ではベストコンディションで臨み『凄い走り』をして、信頼を再び勝ち取りたい」と唇をかんだ。 |
【1位 八千代松陰(千葉)、2位 山梨学院(山梨)、3位 埼玉栄(埼玉)、4位 市立船橋(千葉)、5位 武蔵越生(埼玉)、6位 藤沢翔陵(神奈川)、7位 前橋育英(群馬)、8位 東農大三(埼玉)】 |
◇第5区[3,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校脇折り返し⇒ 陸上競技場 |
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◇関川大悟(1年)
チーム2位《1°35′21″》
21位〈09′08″〉 |
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□関川は1年生で駅伝デビュー戦で2区と同じコース。「凄く嬉しかったが、凄く緊張して」襷を受け取る。「前も、後ろも離れているので、単独走」で陸上競技場北ゲートを右折し、道路を左折。「緊張していて、周りがあまり見えない」が、「チェックポイント400メートル地点は確り見えた」。タイムを確認すると「やや早い入りだが『良い感じ』」と走り抜ける。1キロ地点「ほぼ設定タイム、どおり。『体はきつくない』」と軽快に飛ばす。急な上りを駆け上がり、すぐ「佐野松桜高校脇までの急な下りを、折り返し前なのでセーブしながら」走る。高校入口付近の折り返し地点を「自分の思っている以上に膨らんで」折り返すロス。さらに急な上がりで「ピッチが上がらず、ストライドものびずに、走りが止まる」。残り1キロ地点までの急な下りを「利用してスピードを上げようと思った」が、一度落ちた「スピードはなかなか上がらない」。プール駐車場信号機を右折、「応援が聞こえる」。応援に答えようともがけばもがくほど「顎が上がり手足がバラバラ」になる。関川は競技場を右に「1秒でも早く渡そう」と必死に走る。関川は中継所で待つ6区・矢ノ倉弘(3年)に「申し訳ありません」と自責の念にかられ襷を手渡した。関川は自分の設定より20秒遅い走りに「この課題を克服して、リベンジしたい」と誓った。 |
【1位 八千代松陰(千葉)、2位 山梨学院(山梨)、3位 埼玉栄(埼玉)、4位 市立船橋(千葉)、5位 藤沢翔陵(神奈川)、6位 前橋育英(群馬)、7位 東農大三(埼玉)、8位 武蔵越生(埼玉)】 |
◇6区[5,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校⇒ 佐野消防署西分署⇒ 陸上競技場 |
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◇矢ノ倉弘(3年)
チーム2位《1°50′01″》
1位〈14′40″〉
区間賞 |
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□矢ノ倉は56秒差に喫驚しながら「『追う』」と腹をくくった。陸上競技場北ゲートを出て、体育館付近で「祖父母の『がんばれ』という声が聞こえ、『自分は落ち着いて走れているんだ』と確信」し、「『よし』」と自分を奮い立たせ見えない相手を追撃する。野球場の1キロ地点を「自分の設定していたタイムどおり」過ぎると急な上がりも、急な下りも軽快に飛ばす。佐野松桜高校の正門入口を左折「前が見えるかと思ったが目視できない」。正門からやや上がりる松原公園との間を、未だ見えない八千代松陰を追い快走する。矢ノ倉は信号機を左折し、タフな上がりを走り「2.5キロ付近で、大学の上田監督の『前と40秒』と言う声が聞こえ『向かい風にも、着実に前とは縮まっている』と勇気づけられる。しばらくして左折し急に上がる「約300メートル『きつい』」、そして下がるアップダウンの胸突き八丁。矢ノ倉は佐野消防署西分署前を過ぎ、プール駐車場信号機を左折し、「前半飛ばしていたので、きつかった」と競技場入口の石畳を力走する。矢ノ倉は区間1位の快走で42秒差に縮めながらも「『前が見える位置で渡せなかった』すまない」と、アンカーの主将・西山令 (3年)に襷を繋いだ。矢ノ倉は都大路に向けて「レースプラン通りにいかなかったときに、チームの流れを引き戻せるメンタルの強さを養いたい」と深く頷いた。 |
【1位 八千代松陰(千葉)、2位 山梨学院(山梨)、3位 埼玉栄(埼玉)、4位 前橋育英(群馬)、5位 市立船橋(千葉)、6位 東農大三(埼玉)、7位 藤沢翔陵(神奈川)、8位 拓大一(東京)】 |
◇第7区[5,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校⇒ 佐野消防署西分署⇒ 陸上競技場 |
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◇主将・西山令 (3年)
チーム2位《2°04′58″》
4位〈14′57″〉 |
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□主将・西山は「最初から飛ばして、もつまでいくしかない」と特攻精神で陸上競技場北ゲートを出る。「箱崎監督の『落ち着いていけ』」の激に頷く。プール駐車場信号機を左折へ、野球場の1キロ地点「予想より速いタイムで」過ぎる。余裕で「急な上りも、急な下りも気にならない」と佐野松桜高校の正門入口を左折すると「八千代松陰が、やっと見えた」。はやる気持ちを抑え正門からやや上がる松原公園との間を「オーバーペースにならない程度」で追撃。信号機を左折しての上がり「向かい風できつい。気持ちは前にいくが、タイムが落ちる」。さらに信号機を直進し下る3キロ地点「相手が離れていく。『ここで離れては駄目だ』」と自分に鞭打ち上がる。「左折すると、相手が視界から消えた」急に上がり、下がるアップダウンを力走。佐野消防署西分署前を過ぎ「残り1キロ『気持ちを奮い立たせ』」。プール駐車場信号機を左折し「チームのためにゴールまで全力で行こう」と最後の力を振り絞り陸上競技場へ。西山は大会新記録で優勝した八千代松陰に32秒差と攻めたてたが2時間4分58秒(大会記録)で2位フィニッシュ。西山は「全員ベストで走れば3分台を狙っていた」と言葉を呑む。大会記録の4分台をマークした山梨学院は、微調整して1ヶ月後に迫った都大路で高みを目指す。 |
【1位 八千代松陰(千葉)、2位 山梨学院(山梨)、3位 前橋育英(群馬)、4位 市立船橋(千葉)、5位 埼玉栄(埼玉)、6位 藤沢翔陵(神奈川)、7位 拓大一(東京)、8位 東農大三(埼玉)】 |
◇主将・西山令 (3年)は「優勝を目標にしていたので、2位は悔しい」と力を込める。「全国に向けて、改善点が沢山見つかった」と神妙。「あと、30日を切っているので、1日1日を大切にして、1から確りやっていきたい」と前を見る。「チーム一丸となって、応援してくださる方々にも、都大路で勝って、その恩に報いたい」と決意をあらたにした。
◇箱崎孝久監督はチーム新で大会記録の走りにも「順位にもこだわっていたので、厳しいレースだった」と開口一番。「都大路を睨み、練習で追い込んでいたので、その疲れが抜けずに選手の体が動かなかった」と声を押し殺す。「1区、先頭争いで来ると思ったが、自重して本来の走りが見られなかった」。「2区は5位からトップを奪う走りを見せてくれ、唯一の収穫」。「3区は一人旅でリズムがつかめなかった」。「4区は想定外の走りだった」と心配顔。特に「5区の勝負所で20秒差、これが6・7区に響いた」と目を伏せた。「八千代松陰が3・4区で来るとは思っていたが、猛烈の追い上げと引き離しだった」と驚愕。優勝を逃し「原因はわかっているので、微調整して、都大路で納得のいく走りを心がけたい」と晩秋の下野を後にした。
文(H.K)、カメラ(Y.Y)(平川大雪)(今村佳正)
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