女子第22回関東高等学校駅伝競走大会が11月23日、栃木県の佐野市運動公園陸上競技場周辺コースで1都7県の48チームが参加して行われた。10時00分に一斉スタート、5区間21.0975キロメートルで関東一の健脚が競われた。22年連続22回出場の山梨学院は1区・青葉愛(3年)が4列目インコース3番目から優勝を目指しスタート。青葉が2キロ地点でトップに立ったが元石川に抜かれ2秒差の2位。2区・齋藤暁(2年)がすぐトップに躍り出て独走し、追い上げてくる2位の常磐に11秒の差。3区・高橋真以(2年)がさらに2位の常磐に13秒と差を広げると、流れに乗った4区・三浦祐美香(1年)が区間新・区間賞で16秒差と快走。アンカーの5区・畠山実弓(2年 )がさらに流れに乗り区間新タイ・区間賞の快走で、2位の常磐に38秒差をつけ、マスコミ陣のあてるフラッシュライトの中を笑顔で右手人差し指を天空に突き上げゴール。山梨学院は’96年5回大会で埼玉栄がマークした大会新記録を13秒更新する1時間7分45秒と金字塔を打ちたて、いよいよ1ヶ月後に迫った都大路で高みを目指す。
萩倉史郎監督は県予選終了後、「関東ではきっちり優勝して、都大路に自信を持って行きたいので、手を抜かずに戦う」と、「11月16日、3000、5000メートルで、選手の力を引き出したい」。その結果「選手の入れ替えは、多少でてくる可能性はある」と下克上宣言。チームは直前の日体大の記録会では5人中4人が県記録を出すなど、都大路に向けて臨戦態勢で今大会も挑む。概ねの気象状況は、天気「晴れ」、気温「9度」、降水量「0mm」湿度「62%」、風向「北東」、風速「1m/s」。22年連続22回出場の山梨学院は山梨大会と区間は変動があるものの1区・青葉愛(3年)、2区・齋藤暁(2年)、3区・高橋真以(2年)、4区・三浦祐美香(1年)、5区・畠山実弓(2年)の山梨県大会と変わらぬオーダー。茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨からの代表6校の48チームがスタートラインに着いた。山梨学院の青葉が4列目インコース左から3番目、午前10時00分の号砲とともに一斉スタート。
◇第1区[6,000m]陸上競技場⇒ セブンイレブン⇒ 佐野消防署西分署⇒ 陸上競技場 |
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◇青葉愛(3年)
チーム2位《19′14″》
2位〈19′14″〉
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□青葉は、ゼッケン71ー1を胸と背中につけ陸上競技場の第2コーナー付近のスタートラインに着いた。スタート位置は4列目インコースから3番目。青葉は「流れをつくれる位置に」とスタート。陸上競技場の北ゲートを出てすぐに集団の好位置をキープ。野球場の1キロ地点を過ぎると急な上りをすぐ佐野松桜高校脇まで急な下り、出流原町の信号手前からさらに上がり、信号機を左折する「2キロ地点で『遅い、前に出るぞ』」と積極的に先頭集団を引っ張る。セブンイレブンの信号機を左折し中間点(3キロ)1位・山梨学院、白鴎女子、船橋、成田、八王子など団子状態で通過、「『都大路でスローペースだと感じながらなにもできなかった』。もっと引っ張らなくては」と、突き当たりの信号機を左折。「すぐ上がりすぐ下がるを利用して引っ張る」。消防署前を過ぎすぐ運動公園南信号機を左折、約300メートルでプール駐車場信号機を左折、「区間賞を取りたい」と鞭を入れるが、「最後競技場入口の上りで元石川に追い抜かれ」前を追う。トラックで監督の「青葉ラストだ」と激が飛ぶ。必死にあがくがトップと2秒差の2位で、中継所で待つ2区・齋藤に襷を手渡した。青葉は「課題の引っ張るレースはできたが、振り切れなかった。区間賞を狙っていたので•••」と口をつぐんだ。
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【1位 元石川(神奈川)、2位 山梨学院(山梨)、3位 白鵬女子(神奈川)、4位 荏田(神奈川)、5位 八王子(東京)、6位 那須拓陽(栃木)、7位 市立船橋(千葉)、8位 常磐(群馬)】 |
◇第2区[4,0975m]陸上競技場⇒ 石塚クリーニング店⇒ 陸上競技場(折り返し) |
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◇齋藤暁(2年)
チーム1位《32′20″》
3位〈13′06″〉 |
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□齋藤は監督の「暁、ここで行けよ、ここで」という激に深く頷いた。言い渡されたときは「1年生からアンカーだったから、戸惑った」が「任されたからには勢いをのせるぞ」と、先を行く元石川をあっさり抜き去る。体育館前を走りプール駐車場信号機を左折へ、右側のプール場に差し掛かり、左の野球場の1キロ地点を軽快に飛ばす。急な上りも、すぐ急な下りも軽快に飛ばす。佐野松桜高校の正門入口を左折し、松原公園との間のやや上がりの信号機を左折、約200メートルで右折し、約350メートル走りアパートを左折、約200メートルで石塚クリーニング店を左折し、約400メートル進み信号機手前で残り1キロ。信号機の坂を上がる「崩れるフォームをチェック」し走る。右折しなだらかな坂を「思うように走れない」。「両親の暁、がんばれ」と声援に励まされ力走する。急な下り「フォームを立て直すぞ」という意識とは裏腹に「足にブレーキがかかる」。最後の上がりを「勢いづけるぞ」と走り陸上競技場へ。競技場を左折してアウトレーンから2区折り返し「なれない折り返しに戸惑い」ながらも2位の常磐に11秒の差をつけ、3区の高橋真以(2年)へ襷を手渡す。齋藤は「上がって、下る」コース攻略に「自分の弱いところがでた」と、「自分に納得がいかない」と区間3位に甘んじた、自我を戒めた。
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【1位 山梨学院(山梨)、2位 常磐(群馬)、3位 成田(千葉)、4位 白鵬女子(神奈川)、5位 市立船橋(千葉)、6位 荏田(神奈川)、7位 八王子(東京)、8位 茨城キリスト(茨城) 】 |
◇第3区[3,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校脇折り返し⇒ 陸上競技場 |
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◇高橋真以(2年)
チーム1位《41′58″》
3位〈09′38″〉
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□主将の高橋は「いつもの2区より距離が短いので、自信を持って思い切っていこう」と、競技場北ゲートを右折し道路を左折。監督から「反るので、確りリズムをきざんで行け」と言われ、体育館前を「チームに貢献できる走りを」プール駐車場信号機を左折し、確りリズムを刻み軽快に走る。右側のプール場に差し掛かり、左の野球場の1キロ地点を過ぎると急な上りすぐ佐野松桜高校脇まで急な下りを「クロスカントリーは好き」と快走。佐野松桜高校入口付近の折り返し地点を監督のアドバイスどおり「スピードを殺さないようにちょこちょことリズムを刻み」折り返す。佐野松桜高校端まで急な上がり、野球場の残り1キロ地点まで急な下りから平らなコースを軽快に走る。プー ル駐車場信号機を右折、残り約400メートル「足が疲れてきた」が、声援を味方につけ「前を見て腕を確り振り」力走。競技場入口の「最後の上りはきつかったが気を確り持って」競技場の右へ走る。「後輩の祐美香が見える。『安心して走れるように』と、笑顔で『思い切ってやれ』」と、2位の常磐に13秒と差を広げ、中継所で待つ4区・三浦祐美香(1年)に襷を手渡した。高橋は「タイムが悪く、区間3位と反省したい」ときっぱり、「大きな大会でも、自分のベストで走れるようになりたい」と都大路を睨んだ。 |
【1位 山梨学院(山梨)、2位 常磐(群馬)、3位 成田(千葉)、4位 白鵬女子(神奈川)、5位 荏田(神奈川)、6位 市立船橋(千葉)、7位 八王子(東京)、8位 柏日体(千葉) 】 |
◇第4区競技場[3,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校脇折り返し⇒ 陸上競技場 |
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◇三浦祐美香(1年)
チーム1位《51′38″》
1位〈09′40″〉
区間賞・区間新 |
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□三浦は記録会で9分24秒をマークし絶好調で大会に臨んだ。監督から「後ろが開いているから大丈夫」と声がかかる。陸上競技場から道路を左折しても両脇に「人が多く、『やっぱり、関東大会だな』」と気持ちが高揚する。プール駐車場信号機を左折へ、右側のプール場に差し掛かり、左の野球場の「1キロ地点を3分7秒ぐらいで設定どおりで過ぎ」快走。急な上りもすぐ佐野松桜高校脇まで急な下りも「全然気にならない」。佐野松桜高校入口付近の折り返し地点を回ると「2位の選手がすぐそこに居たので、距離が縮まったのかと思い」やや不安になり力走する。急な上がり、急な下り「スピードが乗らない」。平らになり「爆発する走りを」と思う気持ちはあるが、「1キロを過ぎてから思うよう にスピードが上がらない」。「あっという間に『こんな所まで来ている』」とプール駐車場信号機を右折し走る。「競技場に入る坂が『きつい』」、歯を食いしばり競技場を右折。「先輩が見えたので1秒でも早く渡そうと」中継所へ。三浦は区間賞・区間新で2位に16秒差として、中継所で待つ4区・畠山実弓(2年)に襷を託した。三浦は「タイムが駄目です」と「区間賞・区間新も心から喜べない」と笑顔がない。「全国でも走りたいので、県と関東での反省点を克服して、全国ではのびのび走りたい」と目を輝かせた。 |
【1位 山梨学院(山梨)、2位 常磐(群馬)、3位 成田(千葉)、4位 白鵬女子(神奈川)、5位 市立船橋(千葉)、6位 荏田(神奈川)、7位 柏日体(千葉)、8位 八王子(東京) 】 |
◇第5区[5,000m]陸上競技場⇒ 佐野松桜高校⇒ 佐野消防署西分署⇒ 陸上競技場 |
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◇畠山実弓(2年)
チーム1位《1°07′45″》大会新記録
1位〈16′07″〉
区間賞・区間新タイ |
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□畠山は「ロング区間の5区と聞いて驚いたが、今は『ここは挑戦するぞ』」と自分を奮い立たせる。襷を受け、陸上競技場から道路を左折。記録会で15分44秒マークした畠山は「落ち着いて、設定タイムより速く、無理なく入れた」と1キロ地点を過ぎる。佐野松桜高校の正門入口を左折し、正門からやや上がりを「リズムを崩さずに『スイスイ』」と走り信号機を左折。上がりを走り信号機を直進し下り、上がるが落ち着いて快調に走る。畠山は左折し急に上がり下がるアップダウンを走り、あかみ幼稚園を左に平坦な道を走る。ロングコースの直進、思わぬ「向かい風、風に向かって思い切り腕を振る。『タイムを落とさないように』」と自分に言い聞かせ力走する。佐野消防署西分署前を過ぎると「もう少しだ」と息を吹き返す。プール駐車場信号機を左折すると、「大きな歓声で、胸が熱くなり」感極まり、無我夢中でゴールを目指し激走する。競技場に入ると、さらに「歓声が大きく」マスコミ陣のあてる「フラッシュライトが眩しい」。「初めて『優勝したんだ』と実感した」と、笑顔で右手人差し指を天空に突き上げゴール。山梨学院は’96年5回大会で埼玉栄がマークした大会新記録を13秒更新する1時間7分45秒と金字塔を打ちたて、いよいよ1ヶ月後に迫った都大路で高みを目指す。 |
【1位 山梨学院(山梨)、2位 常磐(群馬)、3位 白鵬女子(神奈川)、4位 荏田(神奈川)、5位 成田(千葉)、6位 市立船橋(千葉)、7位 順天(東京)、8位 柏日体(千葉) 】 |
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主将の高橋真以(2年)は関東大会新記録「1時間7分45秒は自分たちの成長につながる記録」と笑顔を見せる。「ただ、一人一人が区間を取って、チーム記録を出すことが課題なので、そこを都大路まで一人一人が修正しなければいけない」と大きく頷く。あくまで「自分たちはチャレンジャーなので積極的に戦いたい」と声が弾む。「応援してくださっている方々に感謝し、都大路でも良い成績が残せるように、チーム一丸となってがんばりたい」と熱く決意を述べた。
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萩倉史郎監督は、大会新記録で優勝し近寄る選手に「お疲れさま、お疲れさま。これは通過点だからね。十分にダウンしなさい」と促し、京都に喜びを預けた。萩倉史郎監督は「勝ったことによって、選手は自信になった」と大きく頷く。「都大路を睨んで、上りと下りのスペシャリストを育てなければならない」と、間髪入れず「今日のレースは良い経験になったと思う」とうっすら笑みを浮かべた。これからは都大路を見据え「故障しないように、選手一人一人の個性を磨きたい」と目を凝らす。「都大路では8位入賞を目指したい」とあくまで謙虚。監督就任から関東3位、2位、1位と着実に駆け上がってきた。都大路は13位、12位、そして今年はと大いに期待を抱かせ、晩秋の下野を後にした。
文(H.K)、カメラ(Y.Y)(平川大雪)(今村佳正)
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