山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センターと昭和町議会は11月24日、昭和町地域交流センターにおいて初の町民参加型の政策提案学習会を開催した。昭和町議会では、「学ぶ議会」「行動する議会」「改革・革新する議会」を目標に掲げ、議会改革の一環として平成20年5月に全国初となる連携協定を山学大ローカル・ガバナンス研究センターと締結。締結以来、毎年山学大で、議員と学生が政策に関するワークショップを開催しており、今回は会場を昭和町に移し、議員や議会モニター、区長、地域団体の代表の町民、学生などおよそ150人が参加。学習会に先立ち、山学大法学部の江藤俊昭教授が「昭和町の将来について」講演。また、地元の子どもたちや山梨学院アルティーズによるチアリーダーの演技も披露され、会場に華を添えた。学習会では、ヒアリング調査やフィールドワークをもとに、学生が他自治体の例などを挙げ、昭和町の実情にそった政策を議員や町民に提案。議員や参加した地域団体の代表者からは積極的に質問や意見が寄せられ、今後の昭和町の政策の方向性や活性化策について活発な議論が行われた。
山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センターと昭和町議会は、議会改革の一環として平成20年5月に全国初となる連携協定を締結。締結以後、毎年、議員と学生とが町政や町の活性化策などについて話し合うワークショップを開催してきた。従来は、山学大で議員と学生とが行っていたものを、場所を昭和町に移し、初めて町民が参加しての政策提案学習会を実施。学習会には、町民代表として区長会、消防団、交通安全協会、体育協会、議会モニター、民生委員、障害者福祉会など14の地域団体と議員、学生など約150人が参加。主催した昭和町議会の萩原馨議長は「今回の政策提案は、学生の若い感性での提案であり、結論付けるものではありません。今後の町づくりを考える機会となれば幸いです」と挨拶。学習会に先立ち、江藤俊昭法学部教授が「昭和町の将来について」と題し講演を行った。江藤教授は住民自治を進める上での議会の役割について他の自治体の例などを紹介し「議会は、住民参加を進めながら資源を有効に活用し、代表者だけの議論ではなく、住民の声をしっかりと聞いて政治に活かすことが大事なポイントです。昭和町では行政への住民参加も多様に行われており、この「協同」を今後もさらに進めて頂きたい。今年から議会モニター制度が始まりましたが、議会や自治についての関心を他の住民にも広げ、点が線になり、面になり、これが凄く大事なことになります」と述べた。講演後には、地元の子どもたちが所属するルーデンススポーツクラブ・チアリーディングコースのパフォーマンスや山梨学院チアリーダー部“アルティーズ”の演技が披露され、会場に華を添えた。
初となる町民参加型政策提案学習会には山学大法学部の8ゼミ9グループが、町内でのヒアリング調査やフィールドワークをもとに研究・立案した政策の提案を行った。
1.子どもの心のケアと市町村(小菅信子ゼミ)
いじめや家庭内の問題が顕著になっている今、各小中学校へカウンセラーや臨床心理士の常駐について提案。
2.市町村教育委員会の活性化について(外川伸一ゼミ)
大津市の事件を例に、教育委員会のあり方が問われており、教育委員会直属のアドバイザー会議の設置や指導主事の増員などを提案。
3.みんなが主役になれるふれあいサロン(竹端寛ゼミ)
孤立するお年寄りが増える中で、現在のふれあいサロンの充実や活性化のために、幼稚園や大学などとの連携、世代間交流の場としての農園の設置などを提案。
4.震災危険地区に対する対策について(中井道夫ゼミ)
町内に幅員4m未満の狭隘道路などの震災危険地区があり、防災対策のために、セットバック方式の推進やブロック塀の撤去、避難地としての空き地の有効活用などを提案。
5.交通量の増加に備えた環境対策(丸山正次ゼミ)
自動車の増加に伴う環境対策や住民の健康増進として自転車の利用推進について提案。レンタル自転車の活用、自転車専用レーンの設置なども検討する。
6.昭和町における景観政策の課題(清水知佳ゼミ)
町内における統一的な景観づくりのために、街路樹などの植栽を増加、生垣の補助金の認知度向上、ごみの不法投棄防止に関する条例の設置などを提案。
7.男女共同参画における女性の活躍(山内幸雄ゼミ)
女性の社会進出、労働者としての格差是正、ライフスタイルに合った働き方など多様な生き方ができるよう、女性が活躍できる社会の推進について提案。
8.若い世代の市民教育(江藤俊昭ゼミ)
子どもたちが主体となってより良い地域づくり、町づくりをするための活動に関する事業を推進するために「こどもたちがつくる昭和町」推進事業の提案。
9.昭和町に眠る資源を発掘する(江藤俊昭ゼミ)
レアメタルを含む携帯電話、小型ゲーム機、デジカメ等の小型家電を回収については、曜日・時間が決められ実施されているが、回収実績向上のため、役場への回収ボックスの設置を提案。
学生からの提案を受け、議員や町民からは、昭和町の現状や提案に対する質問、意見などが出され、学生もそれについて回答をするなど、予定時間を超えるほど活発な議論が交わされた。山学大ローカル・ガバナンス研究センターの今村都南雄センター長は「今年は町民参加型というものが最大の新機軸になっています。議員に提案するだけでなく、関係団体の町民の方から積極的な発言が活発にありました。議員も活発な意見がありましたが、行政側の意見を代弁するだけでなく、知恵を絞って将来の可能性を探ることに学習会としての意義があるように感じました。初めての試みでしたが、総じて成功だったと思います」と講評した。
文・カメラ(Y.Y)
| アルバム1 |
アルバム2 |