新春恒例の"箱根駅伝"「第90回東京箱根間往復大学駅伝競走」が1月2・3の両日、東京・大手町を発着、神奈川・箱根町を折り返す10区間217・9キロ(往路5区間=108キロ、復路5区間=109・9キロ)で行われた。記念大会の今年は、例年より3校多い23校が出場した(学連選抜不編成)。総合優勝3回を誇る山梨学院大は、予選会を2位通過し28年連続28回目の箱根路に挑んだ。しかし、花の2区でエースのオムワンバが9・6キロ付近で右足疲労骨折のアクシデントに見舞われリタイア、18年前の第72回大会(1996年)の中村祐二以来2度目の悪夢に見舞われた。襷をつなげなかったため、3区以降は参考記録になってしまったが、箱根を走るために留年したアンカーの森 井勇磨を始め、全選手が見えない襷を心でつなぎ力走した。リザルトには残らなくても、チームの歴史に残る魂の走りをした。レース結果は、東洋大が復路記録を1分以上短縮させて2年ぶり4度目の頂点に立った。山学大は、来年こそ逞しく這い上がり、この悔しさを倍返しする!
山梨学院大レース結果 総合記録なし 復路5時間34分43秒
区間 |
ランナー |
学年 |
区間タイム |
区間順位 |
1区 |
田代一馬 |
2年 |
1時間04分06秒 |
区間16位 |
2区 |
オムワンバ |
2年 |
途中棄権 |
|
3区 |
兼子侑大 |
3年 |
1時間04分06秒 |
(参)6位 |
4区 |
上村純也 |
1年 |
57分22秒 |
(参)19位 |
5区 |
井上大仁 |
3年 |
1時間21分11秒 |
(参)8位 |
6区 |
桃澤大祐 |
3年 |
1時間00分58秒 |
(参)10位 |
7区 |
松山雄太朗 |
4年 |
1時間05分19秒 |
(参)13位 |
8区 |
前田拓哉 |
2年 |
1時間08分10秒 |
(参)20位 |
9区 |
阿部竜巳 |
3年 |
1時間09分46秒 |
(参)5位 |
10区 |
森井勇磨 |
4年 |
1時間11分10秒 |
(参)5位 |
(参)参考記録
レース後、松山雄太朗主将は「思ってもいなかったエノックがリタイアする展開になったが、メンバーはそれぞれ最後まで死力を尽くしてくれました。人生は何があるか分からないという思いを強くしました。後輩たちには、試合は何があるか分からないことを頭に入れて、来年以降頑張ってもらいたい」と語った。1年留年して箱根初出場を果たした☆森井勇磨選手は「集団走になったが、ついて走ったら練習のままで終わってしまう、最初からついて走る気はまったくなく最後までどんどん行く気持ちで走りました。結果云々ではなく、楽しく駅伝を走ることが目標だったので、本当に残った甲斐がありました」と振り返った。
試合報告会で、出場メンバーはそれぞれ一言ずつ感想を述べた。1区田代一馬選手「来年は大手町に笑顔でゴールできるように力を合わせて頑張って行きましょう」。病院で涙を流し松葉杖の2区エノック・オムワンバ選手「すみませんでした、これから頑張ります」。3区兼子侑大選手「来年はしっかり襷をつなぎましょう」。4区上村純也選手「沿道からの応援が力になり、最後まで走ることが出来ました」。5区井上大仁選手「来年、一回りも二回りも大きくなって帰ってきます」。6区桃澤大祐選手「来年は山梨学院が主役になれるよう頑張って行きましょう」。7区松山雄太朗主将「今日、最高のリスタートが出来たと思います。来年も再来年も山梨学院は進化して強くなっていきます」。8区前田拓哉選手「非常に悔しい結果、もう一度自分を見詰め直し、新しい一歩を踏み出して行きたい」。9区阿部竜巳選手「下を向いてもしょうがない、しっかり前を向いてさらに応援してもらえるようなチームにして行きましょう」。10区森井勇磨選手「後輩に攻めの走りをしっかり伝えられと思います。来年は厳しい戦いになりますが、攻めの気持ちを持って、チーム一丸となって戦って下さい」。4年は後輩に後を託し、後輩たちは胸にリベンジを誓った。
飯島理彰コーチは「選手は非常に厳しい精神状況の中、逃げずに良くやってくれたと思います。来年は予選会からの戦いとなりますが、強くなってこの舞台に戻ってこれるよう明日からトレーニングを開始したいと思います。選手の諸君、応援サポートに回った諸君、今日の悔しさを忘れずに明日から頑張って行きましょう」と捲土重来を訴えた。上田誠仁監督は「人生はリセットできない。何が起きるかが重要ではない、それをどのように受け止めて自分の人生に生かすかが重要だ。過去を変えることは出来ないけれど、受け止め方次第で自分の未来を大きく変えることが出来る。1年後の未来を君たちと共に変えてみようじゃありませんか。今日の悔しさを、来年は倍返しにしたいと思います。歓喜のゴールテープを目指し、共に頑張って行きましょう」と、新たな一歩を踏み出そうと訴えた。
昨年11位でシード落ちした山梨学院は、今年は「逞しく這い上がれ」をスローガンに掲げ、6月の全日本関東予選トップ通過、10月の箱根予選会2位通過、11月の全日本大学駅伝5位と逞しく這い上がって来た。最後の箱根駅伝でアクシデントに見舞われ、山の王者となることはかなわず、エノックも部員たちも悔し涙を流した。しかし、その涙は貴重な涙だ、明日の自分を育てる糧となる。山梨学院の全選手は、涙を糧に未来の森で練習に励み、来年こそ激しく逞しく這い上がる。
文(M.I) カメラ(平川大雪・藤原稔・今村佳正・小池裕太・Y.Y)
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