科学が好きな子どもを育てる教育に取り組む幼・小・中学校を表彰する「ソニー教育財団2013年度教育助成プログラム」に、今年度は山梨学院幼稚園が優秀園に選ばれた。山梨学院小が一昨年・昨年と2年連続で優秀校に選ばれており、山梨学院としては3年連続の優秀校・優秀園受賞となった。2月1日に上位表彰団体への贈呈式が東京・品川のソニー本社で行なわれ、山内淳子園長、研究代表の田村優子教諭、保護者の会会長の饗場奈美さんに表彰状と教育助成金が贈られた。山梨学院幼稚園は、「これ、なんだろう?」と興味を抱いたことを、自力で探究する楽しさに発展させていく「遊びの中で科学する心を育てる教育実践」に取り組んだ。ソニー教育財団から「環境構成の工夫により、体験の質が豊かになり、協同的な学びへと繋がっている」と高く評価された。
ソニー教育財団の教育助成プログラムは、1959年にソニー創業者の一人井深大氏が始めた学校支援活動で、2002年から幼児教育にも広がった。より良い教育の実践に情熱をもって取り組んでいる全国の小学校、中学校、幼稚園、保育所、認定こども園から教育実践と計画をまとめた論文を募集し、入選校・入選園に教育助成金とソニー製品が贈られる。小・中学校を対象にした「ソニー子ども科学教育プログラム」と、幼稚園・保育所・認定こども園を対象にした「ソニー幼児教育支援プログラム」の2部門がある。
今年度は全国の小・中学校から193件、幼稚園・保育所・認定こども園から93件、合計286件の応募があり、書類審査、現地調査、最終審査を経て上位入選校(17校)・入選園(14園)が決定した。山梨学院幼稚園は、昨年度にも奨励園に選ばれており、幼稚園としては2年連続の受賞となった。2月1日に東京・品川のソニー本社で行われた上位入選校・入選園への贈呈式には、山内淳子園長、研究代表の田村優子教諭、保護者の会の饗場奈美会長が出席し、表彰状と教育助成金、ソニー製品目録の贈呈を受けた。
山梨学院幼稚園の取り組みテーマは、日々の生活の中で子どもたちが自ら生み出し、生き生きと発展させていく「遊び」の中に、「科学する」子どもたちの姿を見つけていこうというもの。昨年度の年長児がまるで「遊びの中で活躍する“小さな物理学者”」となり、影絵劇場や影絵クイズなどの影遊びに取り組んだ実践、今年度の年長児がまるで「遊びの中で活躍する“小さな生物学者”」となり、テントウムシの飼育に取り組んだ実践などが報告された。どちらの実践も、「自由遊び」と「クラス活動」の相互作用を重視し、「子どもたちの探究心を応援する環境構成」、「安易に答えを伝えないかかわり」、「学びの旬」を大切にして取り組まれた。ソニー教育財団から「主題の捉え方を図式化し、探求を 応援する環境構成・安易に答えを伝えないかかわり・学びの旬を大切にする保育に当たっていることが伝わってきました。対象への興味を深め、探求するなど体験の質が豊かになり、協同的な学びへと繋がっている実戦を高く評価しました」という審査講評が伝えられた。
贈呈式に出席した山内淳子園長は「日々の園の教育実践を認めて頂いて大変うれしく思います。幼児期に科学する心を育むというのは、単に小学校以降の理科の授業を先取りするというものではなくて、子どもたちが友達と一緒に夢中になって探究する楽しさを味わうこと、自分たちで答えを見つけていく喜びを知ることだと思っています。そうした体験こそ、その後の主体的な学びの基盤になっていくと考えています。今回の受賞は、教員の自信にもつながりました。これからも科学する心を育むことを大事にしていきたいと思っています」と表彰の感想を語った。研究代表の田村優子教諭は「論文で報告したものは、以前から大事にしてきた日常の保育です。子どもたちが遊びの中で色々なことを発見したり、試したりする。保育者もそれらを一緒に楽しむ。こうしたことは以前から大事にしてきたことでした。ただ、それを論文にまとめていくためには、記録が必要で、今回、記録の大切さを改めて確認することができました。自分たちの実践を記録し、それを丁寧に振り返ることで、改善のための課題も見えてきました。論文にすることで、自分たちの保育を理論化することも出来ました」と受賞の喜びを表現した。
今回のソニー幼児教育支援プログラムで、山梨学院幼稚園が科学する心を育むために取り組んだ「答えを教えることを極力抑え、子どもたちが自分で答えを学び出せるように導くことに努める」教育方針は、山梨学院小が教育の柱としている「Less Teaching More Learning」と全く同じ考え方。答えではなく学ぶことを教えようとする教師の努力が、山梨学院3年連続優秀校・優秀園という成果となって表れた。
文(M.T)2014.2.1
贈呈式アルバム 子どもたちの活動アルバム (写真提供 山梨学院幼稚園)