山梨学院パブリシティセンター
山梨学院学術報告会
〜教授陣が研究活動成果を発表する初の報告会開催〜
〜塩沢一平経営情報学部教授・小菅信子法学部教授〜

山梨学院生涯学習センターは、2月6日に大学の教授陣が調査・研究活動の成果を発表する「山梨学院学術報告会」を初開催した。教員が学会などで発表した学術論文などの研究成果を、一般の方々に公表する初めての試みとして実施され、2人の教授が報告を行った。経営情報学部塩沢一平教授は「大学マーケティング戦略に基づく、山梨県の大学における外部環境の研究」をテーマに報告を行い、法学部政治行政学科小菅信子教授は「複合災害後の『苦悩の記憶』の記録化―福島とフクシマのあいだでー」と題して報告を行った。開催時間は午後7時から午後9時前で、会場の山梨学院50周年記念館(クリスタルタワー)6階生涯学習センター講義室には、勤務を終えた大学職員や向学心豊かな一 般県民の方々が出席し2人の教授の報告に耳を傾けた。


最初に挨拶した永井健夫山梨学院生涯学習センター長は「生涯学習センターは年間約30前後のプログラムを企画していますが、今回はちょっと違う毛色のもとに、今年度初めて行うものです。私どもの大学の研究者が学会や研究会で発表した学術成果を、一般の方々と立場を超えて共有する場にしたいと設けました」と企画趣旨を説明した。
 
最初に報告を行った塩沢一平経営情報学部教授の報告テーマは、「大学マーケティング戦略に基づく、山梨県の大学における外部環境の研究」というもので、自身が昨年2月に県内の高校生を対象に実施した[大学などへのニーズに関するアンケート調査]に基づき、平成11年に現大学コンソーシアム山梨が行った同様のアンケート調査との比較・分析結果について報告した。推薦入試を希望する生徒が増加していることや、国立大学志望者が減少し、私立大学希望者と専門学校希望者が増えていることなどを、データに基づいて報告した。
 
一方、小菅信子法学部政治行政学科教授は、「複合災害後の『苦悩の記憶』の記録化―福島とフクシマのあいだでー」と題し、近日中に発売される自身の著書「放射能とナショナリズム」の著作内容について報告を行った。小菅教授は「唯一の被爆国として、核兵器なき平和をナショナル・アイデンティティの一部にして来た日本で、大震災と大津波と原発事故後、いわゆる「不信の連鎖」が起きた。非論理的でセンセーショナルなデマや差別や暴言がとびかう構造的暴力が出現した。原子力をめぐる「安全神話」から「危険神話」への単純なシフト、過剰に安心を求める「安心神話」への逃避など、人々は情報に右往左往した。実際には、原子力の神話化がより強化されただけではないか?」と福島とフクシ マのあいだで揺れる日本社会の現実を鋭く指摘した。
 
報告会の最後に、司会進行役を務めた丸山正次法学部政治行政学科教授は「塩澤先生はデータに基づいた報告、小菅先生は認識の違いによって現実が違う形で見えてくる深さ・怖さに着目した報告でした。今日来られた方は、学者というのは色々な違う形の方法を持っていることに気付かれたのではないかと思います。私たちはどうも自分が伝える方ばかりで、一般の方々に話しを聞いて頂いた時にどう映るのかをあまり理解していない面があります。今回初めて実施いたしましたが、伝えられる側がどう受け止めるのかを、私たちが学ばせて頂く貴重な機会にもなりました、ありがとうございました」と講演会を締めくくった。
 
文(M.I)カメラ(平川大雪)2014.2.6
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