酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は4月28日、山梨学院広報スタジオで第十六回酒折連歌賞募集発表会見を行い「問いの片歌」を発表した。酒折連歌賞は、山梨学院大学と酒折連歌賞実行委員会が、連歌発祥の地“酒折宮”にちなみ、連歌への関心と創作意欲を多くの人に持ってもらおうと平成10年に創設され、今回で第十六回の募集となる。「古事記」に登場する逸話の問答を踏まえ、5・7・7の「問いの片歌」に対し、「答えの片歌」を5・7・7で返す問答形式となっている。今年度から一般部門最優秀作品の大賞だけでなく、小・中・高校生を対象にしたアルテア賞最優秀作品のアルテア賞大賞にも文部科学大臣賞が贈られることになった。
第十六回酒折連歌賞 問いの片歌
1、栃の実をつぶてのように握りたるまま
2、ひきしおがちかくて遠いひとりとひとり
3、しおりする文庫本には永遠がある
4、みそ汁にご飯をそえてこの皿二枚
5、十年後の私と銀杏並木をあゆむ
記者発表会は、最初に廣瀬孝嘉副委員長が概要説明を行い「古事記」に登場する逸話、日本武尊が甲斐国酒折宮で「新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる」と問いかけ、かがり火を焚いていた翁が「かがなべて 夜には九夜 日には十日を」と歌で返した故事から、酒折宮が連歌発祥の地とされることを解説。酒折連歌賞はこの逸話の問答を踏まえ、5・7・7の問いの片歌に対し、答えの片歌を5・7・7で返す形式となっている(短連歌や長連歌の形式とは異なる独自の形式)ことを説明。また、表彰は今年度から、全応募作品を対象にした一般部門と、小・中・高校生を対象にしたアルテア賞部門の二つに分けることを発表、続いて、川手千興実行委員長が問いの片歌発表、選考委員発表、募集要項説明を行った。問いの片歌は国民文化祭事業の一環として実施された昨年と同じく5句。選考委員は従前からの歌人・三枝昂之さん、俳人・宇多喜代子さん、歌人・今野寿美さん、歌人・もりまりこさん、昨年からの作家・辻村深月さんに加えて、新たに俳人・井上康明さんが入り、6名によって審査が行われる。 応募資格は不問で誰でも何句でも応募可能。一般部門の表彰は、最優秀賞の大賞受賞者に文部科学大臣賞・山梨日日新聞社賞・読売新聞社賞・山梨新報社賞・山梨放送賞・テレビ山梨賞・KADOKAWA賞/副賞10万円(1句)が贈られる。このほか、山梨県知事賞/副賞3万円(1句)、山梨県教育委員会教育長賞/副賞3万円(1句)、甲府市長賞/副賞3万円(1句)、入選/副賞1万円(10句)、優秀賞/副賞5千円(12句)、優良賞/賞状(54句)。小・中・高校生を対象にしたアルテア賞部門は、最優秀賞のアルテア賞大賞受賞者に一般部門と同様に、文部科学大臣賞・山梨日日新聞社賞・読売新聞社賞・山梨新報社賞・山梨放送賞・テレビ山梨賞・KADOKAWA賞/副賞3万円(1句)が贈られる、アルテア賞佳作/副賞5千円(19句)。以上の合計100句を百選入賞とし、オリジナル図書カードが贈られる(一般部門とアルテア賞の重複受賞なし)。また、長年にわたり団体応募している学校に対し新たに十年表彰・五年表彰が行われることになった。
募集期間は6月1日から9月30日で、選考結果は来年2月1日に発表される。応募内容の詳細は5月中旬以降の「酒折連歌賞ホームページ」に掲載される。また、酒折連歌賞15周年を記念し第十一回から第十五回までの受賞作品五百句を一冊にまとめた作品集「言の葉連ねて歌あそび3」が、このほど株式会社KADOKAWAから出版された。
文(M.I) カメラ(藤原 稔)2014.4.28
発表会見アルバム 酒折連歌賞ホームページ