「アミノバイタル」カップ2014・第3回関東大学サッカートーナメント大会東京都予選決勝が4月29日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場第二球技場で行われた。昨年、都リーグ1部優勝の山梨学院大は、1回戦がシードされ2回戦からの登場。2回戦を東京外語大に8対1、3回戦で武蔵大に5対1、4回戦で明治学院大に3対0、準決勝では朝鮮大に3対1で勝利し、この日の決勝に駒を進めた。決勝の相手は、昨年の1部7位の國學院大。試合は前半開始早々から一進一退の攻防が続き無得点で前半を折り返す。後半開始3分、山梨学院がFW名嘉眞朝季の巧みなドリブルからシュートで先制するも、後半31分、國學院にFKを頭で合わされ同点に追い付かれてしまう。試合は前後半90分では決着がつかず延長戦へ。延長後半9分、國學院にCKからのこぼれ球を押し込まれ、試合は1対2に。後が無い山学は、その直後の延長後半10分、MF小林智光の劇的な直接FKで同点に追い付き、勝負の行方はPK戦に持ちこまれる。先攻の山学は主将の向井勇祐を皮切りに5人全員が成功。一方の國學院も4人目まで全員が成功させ、5人目のキッカーを迎える。山学GK柳雄治朗は素早い反応で右方向に飛び、右手1本でボールを弾き、スーパーセーブ。この瞬間、初優勝が決定し、激闘を制した選手たちが体全体で喜びを爆発させた。
「アミノバイタル」カップ2014・第3回関東大学サッカートーナメント大会東京都予選は3月30日に東京都大学サッカー連盟(都学連)加盟の41校が出場し開幕(山梨県内の大学は都学連に加盟)。この大会の上位4校には同杯関東大学サッカートーナメント大会出場チーム決定戦(予備予選)への出場権が与えられ、予備予選通過校と関東大学サッカー連盟1部・2部校とでトーナメント戦を実施し、カップ戦の関東チャンピオンを決定する。また、関東大学サッカートーナメント大会は、大学サッカー界の2冠大会の一つである「総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント」の関東予選も兼ねており、この大会の上位7チームには総理大臣杯への出場権が与えられる。なお、この大会は東京都サッカートーナメント都学連予選も兼ねており、優勝チームは同トーナメントの学生の部予選への出場権も与えられる。
アミノバイタルカップ2014
関東大学サッカートーナメント大会東京都¥選決勝
≪山梨学院大vs國{院大≫(4/29) 於 駒沢公園第二球技場
|
○ 山梨学院大 |
前半 0−0
後半 1−1
延長前半 0−0
延長後半 1−1
PK戦 5−4
|
國學院大 ● |
■山梨学院・名嘉眞のシュートで先制
昨年の東京都大学サッカーリーグ1部優勝の山梨学院大は、1回戦をシードされ、2回戦からの登場。2回戦を東京外語大に8対1、3回戦で武蔵大に5対1、4回戦で明治学院大に3対0、準決勝では朝鮮大に3対1で勝利し、この日の決勝に駒を進めた。決勝の相手は、昨年の1部7位の國學院大。試合は前半開始早々にカウンター攻撃から攻め込まれ、危ない場面が多々あったものの、DF陣が体を張ってゴールを死守。一方攻撃面では、國學院陣内にボールを入れるもことごとくオフサイドとされ、攻撃の芽を摘まれてしまう。一進一退の攻防が続き無得点のままで前半を折り返すと後半開始3分、試合の均衡が破られる。山学GK柳雄治朗(3年・筑陽学園高)のゴールキックをハーフウェーライン付近でMF井上賢光(3年・初芝橋本高)が受けると相手マークが外れたフリーのFW名嘉眞朝季(2年・山梨学院高)が飛び出し、名嘉眞はオフサイドラインぎりぎりの位置で受けると巧みなドリブルでGKをかわしてシュート。ボールはゴールマウスに突き刺さり山学が貴重な先制点をあげる。しかし、後 半31分、國學院にFKを頭で合わされ同点に追い付かれる。
■劇的な直接FKで勝負の行方はPK戦へ
試合は前後半90分では決着がつかず延長戦(前後半20分)へ。山学はチーム一丸となり、攻撃を仕掛けるが、相手ゴールを割ることができず、無性にも時間だけが過ぎていく。一方で延長後半9分、國學院にCKからのこぼれ球を押し込まれ、1対2とされてしまう。後が無い山学は、直後のプレーでFKのチャンスを迎える。この時、延長後半10分、電光掲示板の時計は10:00を表示したまま止まり、このFKがラストプレーであることを意味していた。ラストプレーとなったFKを託されたのは途中出場のMF小林智光(1年・山梨学院高)。小林は、直接ゴールを狙い、右足を振りぬくとボールは一度はクロスバーに当たったものの下に弾かれたボールはゴールラインを越え同点ゴールに。こ の劇的なゴールにより、勝負の行方はPK戦に持ち込まれた。
■最後はGKのスーパーセーブで試合を決める
先攻の山学の最初のキッカーは主将の向井勇祐(4年・松商学園高)。向井はゴール右下に落ち着いて決め、チームに流れを与える。一方で國學院も最初の一人が決め、以降山学は高橋建也(1年・山梨学院高)、小林智光、上田健太(4年・山梨学院高)まで4人が成功し、國學院も4人成功し4対4に。5人目のキッカーの渡辺雅樹(2年・甲府工業)は右下に決め、國學院5人目のキッカーを迎える。ゴールを守る柳は素早く反応し、右方向に飛び右手1本でボールを弾き、スーパーセーブ。この瞬間、優勝が決定し選手たちは体全体で喜びを爆発させた。
試合後、塚田雄二監督は「相手が序盤から凄い勢いで来たのをなんとか耐え忍んで、それを跳ね返して後半流れをつかんで先制したが、ファウルから同点に追い付かれた。勝ち越せるチャンスがあったが逆に勝ち越されてしまったが、良く取り返したと思う。PKも十分有り得るということで練習をしてきたので集中して最後まで良くやったと思います」と試合を振り返り、この先の関東大会については「いつもと違う次のカテゴリーと試合ができるということで自分たちがどのくらいの力があるのか確認できるので、できるところまでは上がっていきたい」と抱負を語った。向井勇祐主将は「相手が前線にボールを蹴ってくるのが分かっていたので、それにのまれないように試合をしたかったけど、そこまでのゲームができずにPKまで来てしまったという反省があります。選手の間では、次のステージの関東でも勝って全国に行こうと話をしていて、この大会は全国に行ける数少ないチャンスなので、そこに繋がったので凄い嬉しいですし、次の関東でも勝てるようにまた頑張りたいです」と述べた。先制ゴールを決めた名嘉眞朝季選手は「良いボールが来て、キーパーも前に出ていたので、それをかわして決めれて良かったです。なによりもチームが優勝できたのが一番嬉しかったです」と話し、同点の直接FKを決めた小林智光選手「普段はセットプレーの練習を良くしていて、あの位置なら狙えると思い、最初から狙って蹴りました。途中から出て、自分が出たことで結果的に勝ててチームに貢献できたので今は嬉しい気持ちです」と述べた。最後に試合を決めたGKの柳雄治朗選手は「みんなが決めてつないでくれたので、最後は吹っ切れて飛んで止めれました。キーパーはシュートを打たれた時しか目立たないですけど、ああいう場面で活躍できることで次のリーグ戦にも繋がってくると思います。関東は自分たちはチャレンジャーなので泥臭く頑張りたいです」と語った。昨年までいた三浦千奈マネージャーが今春卒業し、たった一人でサッカー部の大所帯をマネージャーとして支える菊嶋桃子さんは「波があり、前半の立ち上がりは不安に思う場面があったけど後半は選手たちのプレーに対する一生懸命な姿勢が伝わってきて、同点に追い付かれた時には思わず悔し涙が出てしまいました。PK戦も選手たちの気持ちが凄く伝わってきて、これからも選手たちの力になれるように頑張りたいです」と話した。
山梨学院大サッカー部男子は2009年度に強化指定され、2012年度に同大会準優勝で関東大学サッカートーナメントに出場。昨年度は1部優勝、2年連続Jリーガー誕生、2年連続天皇杯山梨県代表など着実に力をつけてきており、5月4日には今年度のリーグ戦が開幕。目標の関東リーグ昇格を目指し、さらなる躍進が期待される。
文(Y.Y)、カメラ(平川大雪)2014.4.29
| アルバム1 | アルバム2 | アルバム3 | アルバム4 |