山梨学院パブリシティセンター
酒折連歌講座2014
〜今野寿美さんが「今の心で片歌問答」と題し講演〜
〜過去の入賞作品を参考に創作のポイント等を解説〜

山梨学院生涯学習センターは5月10日、酒折連歌講座2014を開講させた。この講座は山梨学院大学と酒折連歌賞実行委員会が主催する「酒折連歌賞」10周年を記念して始まり、今年で7年目を迎える。昨年度は山梨県で開催された第28回国民文化祭・やまなし2013の「酒折連歌祭」の一事業として全4回実施され県内外から多くの市民が聴講した。今年度は全3回の講座が企画され、第1回となる10日は、歌人で酒折連歌賞選考委員を務める今野寿美さんが「今の心で片歌問答」と題し講座を行った。会場となった生涯学習センター講義室には、国文学や短詩型文学などに興味がある市民約70人が詰め掛け、今野さんの話に耳を傾けた。今野さんは「片歌問答はあまり付きすぎても面白くありません。付きすぎてしまうと、世界が開いていかないで留まっているように感じてしまいます。問いの片歌を受け止めて返す時には、直球を返すのではなく自分の世界を加えて返すことが大切です。付きすぎず、離れすぎず、これが鉄則になります」と創作のポイントを解説した。
酒折連歌講座は、山梨学院大と酒折連歌賞実行委員会が主催する「酒折連歌賞」が創設10周年を迎えた2008年に記念事業として実施され、その後も山梨県内への「酒折連歌」の普及・啓発、文学の振興、文化の創造に寄与するため毎年開講し、今年で7年目を迎える。昨年度は、山梨県で開催された第28回国民文化祭・やまなし2013の「酒折連歌祭」の一事業として全4回実施され県内外から多くの市民が聴講した。今年度の講座は全3回予定され、第1回目となった5月10日は、歌人で酒折連歌賞選考委員の今野寿美さんが講師を務め、国文学や短詩型文学などに興味がある約70人の市民が会場に詰めかけた。
 
講師の今野寿美さんは1952年東京都生まれ。「りとむ短歌会」編集人。1979年「午後の章」により第25回角川短歌賞受賞。『世紀末の桃』で第十三回現代歌人女流賞受賞。『龍笛』により第一回葛原妙子賞受賞。2009年4月から2年間NHK教育テレビ「NHK短歌」を担当。主な歌書等に『雪占』まで9冊の歌集。『山川登美子歌集』(編著)、『歌がたみ』、『短歌のための文語文法入門』等。第10回から酒折連歌賞選考委員を務める。
 
講座に先立ち、酒折連歌賞実行委員会の川手千興委員長tが「俳句や短歌、川柳は自分の中のものを作る創作活動が主体になりますが、酒折連歌の場合は、問いの片歌を享受・鑑賞して、それを発想のバネにして一つの世界を表現するため、鑑賞と創作が密接に関係しています。ぜひ、この講座により、さらに関心を高めていただき、鑑賞し創作する力を高めていってください」と挨拶。
 
講座は「今の心で片歌問答」と題し、過去の入賞作品を例に挙げ、問いの片歌の享受のポイント、答えの片歌創作のポイントなどを今野さんが詳説。今野さんは、問いの片歌の享受のポイントとして「提示された問いの片歌とじっくり向き合い、対話をしていただきたい。読んだ時に直感的に浮かび上がってきた自分の反応、最初の直感的な反応を是非大切にしてください。最初の直感をうまく作品化できれば、自分の気持ちに適ったものになります。その直感を相手に伝える時には、じっくりと時間をかけ、楽しみながら色々とアレンジをしてお作りいただければ良いと思います」と語り、創作のポイントとして「片歌問答はあまり付きすぎても面白くありません。問いに付きすぎてしまうと、代わり映えがせず、世界が開いていかないで留まっているように感じてしまいます。問いを受け止めて返す時に、直球を返すのではなく自分の世界を加えて返すことが大切です。付きすぎず、離れすぎず、これが鉄則になります」と述べ、“付かず離れず”が重要であると解説した。受講者は今野さんの分かりやすい説明にメモを取りながら耳を傾けていた。
 
酒折連歌講座は、全3回開講し、第2回目は6月14日に酒折連歌賞実行委員会の川手千興委員長が「酒折連歌における問いの片歌」をテーマに開催され、第3回目は7月12日に俳人の井上康明さん(俳誌『郭公』主宰、第十六回酒折連歌賞選考委員)が「俳句-切れ字の魅力-」について講座が行われる。
 
「酒折連歌賞」は今回で16回目を数え、“酒折連歌”は五・七・七の問いの片歌に、答えの片歌を五・七・七で返す二句一連の片歌問答。俳句などと違い、作歌上の約束事は五・七・七で返すことのみ。問いの片歌に続く答えの片歌を作者の感性で自由に発想し、老若男女を問わず詠むことができる歌遊び。今年の第十六回酒折連歌賞は6月1日から募集が開始され、今回から表彰を全応募作品を対象とした一般部門と小・中・高校生の作品を対象としたアルテア賞部門に分け、それぞれの大賞に文部科学大臣賞などが贈られる。応募の締め切りは9月30日必着。詳しい募集内容と応募の問い合わせは山梨学院大学酒折連歌賞事務局(TEL055-224−1641 ホームページ)
 
文・カメラ(Y.Y)2014.5.10
アルバムはこちら
Copyright (C) 2014 YGUPC. All Rights Reserved.