第63回全日本大学野球選手権大会が、6月10日から15日の間、明治神宮球場と東京ドームを舞台に開催されている。春の関甲新大学野球リーグ戦で創部初優勝し、大学選手権初出場を果たした山梨学院大野球部は、11日に北陸大学野球連盟代表の福井工業大学と東京ドームのナイター照明の下で対戦した。福井工大は大会最多出場チーム(37回目)で、経験値が試合展開と結果に表れた。1回表に1点を先制するなど、2度リードしたが2度とも追いつかれ、6回に逆転され初出場初勝利はならなかった。大型バス8台に分乗して駆けつけたカレッジスポーツ応援ツアーの学生約400人が応援席を埋め大声援を送った。スタンドで試合を見守った前監督の高橋一三顧問は「ここに連れて来て くれた選手たちに感謝したい、今日が第一歩です」と教え子を優しい目で見つめていた。
全日本大学野球選手権2回戦 ≪山学大vs福井工大≫ (6/11)東京ドーム
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山梨学院大 |
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福井工業大 |
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× |
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山学バッテリー 松尾・桃原−田中
本塁打 林(福井)、2塁打 中西・角田(飛)、
安打数 山学6 福井7、失策 山学3 福井2、
試合は当初神宮球場第4試合の予定だったが、悪天候が予想されたため前日に雨の心配がない東京ドーム第4試合に変更された。試合が始まったのは午後6時半過ぎで、最初からナイターでのプレーとなった。1回表に先頭の中西峻也(3年 甲府城西)がいきなり右中間2塁打を放ち、一死一・三塁から4番角田飛夢矢(2年 山学高)の3塁ゴロ失策の間に1点を先制した。マウンドには松尾勇太(3年 米子西)が上がり、1回裏一死満塁のピンチは無失点で切り抜けたが、2回裏にワイルドピッチで1点を与えた。3回表二死から4番角田(飛)の中越え2塁打と、主将の5番田中貴也(4年 八重山商工)の左前タイムリーで2点目を奪った。しかし、5回裏に不用意に真ん中に投げ込んだ直球をライトスタンドに打ち込まれ、6回裏二死二塁からの中前タイムリーで2−3と逆転された。7回裏にも二死二塁から中前打を放たれたが、これはセンターの加賀美祐樹(4年 東海大甲府)が好返球で刺 した。内野陣は大舞台での緊張感から3失策し、打撃陣は福井工大の右―左―右の3投手の継投策にかわされた。9回表に代打大下拓馬(1年 山学高)の内野安打を足がかりに二死一・二塁と粘りを見せたが、途中出場した2番小寺俊輔(4年 西条高)の生涯最初で最後であろう東京ドームで放ったあと少しでホームランのセンター大飛球で試合終了となった。
松尾勇太投手は「気持ちの面で崩れたところもありましたし、実力が足りないことも感じました。こういう大舞台でも自分の力を出せるように、精神面でも、技術面でも、もっと自分を鍛えなければいけない」と語った。田中貴也主将は「技術的には守備に課題が出ましたが、一番は気持ちの部分、一人ひとりが成長しないと上では勝てないと実感しました。チームとしても個人としても課題がはっきりしました。精神的に強くなって秋に戻ってきます」とリベンジを誓った。伊藤彰監督は「選手を落ち着いて入らせることが出来ていたら、ああいう形にはなっていなかったと思います。9回表の最後の粘りが山梨学院の野球だったと思います。負けたこととは悔しいですが、全日本選手権・東京ドームという舞台で最後に姿勢を出せたことは、次の戦いで生きてくると思います」と戦いを振り返った。
3塁側の応援席は、カレッジスポーツ応援ツアーに参加した過去最高の約400人の学生で埋まった。応援リーダー、チアリーダー部、ウインドブラス・アンサンブルの演奏に合わせ、メガホンとフラッグとスポーツタオルを手に大声援を送り続けた。ホッケー部・サッカー部男子・柔道部など、強化指定クラブの選手も数多く参加した。バスケットボール部女子の伊藤唯主将らは「ヤマガク〜、ファイト〜」と絶叫した。スタンドの誰もが声を張り上げてエールを送っていた。学生だけではなく、去年までチームを4年間支えてくれた2人のエース、プロ野球日本ハムファイターズに入団した高梨裕稔投手と東京都内の企業に就職した山田祐也投手ら、たくさんの先輩たちが東京ドームに駆けつけて「これからだ、逆転で きるぞ、最後まで粘るぞ」と大声で後輩たちを励ました。高梨裕稔投手は「自分たちが出来なかったことを後輩がやってくれて、うらやましくもあり、とても嬉しく思います、次は勝ってほしい。自分はプロ選手として先を見てじっくりやっていこうと思います」と語った。大声援を送ったのはスタンドだけではなかった、大学キャンパスではパブリックビューイングが行われ、会場のクリスタルタワー7階広報スタジオにはサッカー部〔女子〕やスケート部をはじめとする学生や教職員約50人が詰め掛け、山梨から東京へ届けと熱い声援を送った。そして、東京ドームの内野スタンドには、山学大野球部を関甲新を代表するチームに育てて下さった高橋一三前監督と奥様の姿もあった。高橋一三顧問は「ちょっと、無駄なミスが多くて、うちらしくなかったところは残念ですが、最後まで粘り強く頑張ってくれました。ここに連れて来てくれた選手たちに感謝したい、今日が第一歩です」と話し、応援席に向けて一礼する教え子たちを優しい目で見つめていた。山梨学院大学野球部は、創部30周年の節目の年に、大学野球選手権の扉を開け、その第一歩を東京ドームに印した。いつの日か、聖地神宮球場のマウンド上で歓喜の渦を作る!
文(M.T) カメラ(平川大雪・今村佳正)2014.6.11
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