競泳のジャパンオープン2014(50m)が、6月19日から22日の日程で東京・辰巳国際水泳場で開幕した。今年のジャパンオープンは、パンパシフィック選手権(8月21日開幕・オーストラリア)、仁川アジア大会(9月19日開幕・韓国)の日本代表最終選考会を兼ねて開催されている。山梨学院大学からは男子11人、女子8人とカレッジスポーツセンター研究員の鈴木聡美と酒井志穂(ともにミキハウス山梨)が出場。1日目は、4月の日本選手権でいち早く2大会の代表に選ばれた鈴木聡美が100m平泳ぎで日本新優勝の渡辺香生子に次ぐ2位となった。2日目は、50m平泳ぎの鈴木聡美と200m自由形の江原騎士がともに予選1位で決勝に進み、鈴木聡美は2大会連続となる日本新 で優勝を勝ち取り、江原騎士は惜敗の4位となった。また、100m背泳ぎで、酒井志穂が挫折を乗り越え復活を宣言する優勝を果たし、800m自由形の松浦由佳が自己ベストを大幅に更新して21日の決勝に進出した。
≪女子50m平泳ぎ決勝 鈴木聡美≫
鈴木聡美(山梨学院カレッジスポーツセンター研究員 ミキハウス山梨)は、ロンドン五輪で3つのメダル獲得後、卒業直後の昨シーズンは不調に陥り苦しんだが、4月の日本選手権で100m2位、50m日本新優勝で復活を宣言、8月のパンパシフィックと9月のアジア大会の出場権を一足先に獲得した。1日目の100mは、鈴木の日本記録を超える1分05秒88の日本新で優勝した渡辺香生子(JSS立石 高3)に4月に続き1位を譲ったが、50mは誰にも譲らなかった。4月に出した自身の日本記録をさらに上回る31秒04で優勝、表彰台で金メダルと新記録証を手にした。鈴木聡美選手は「もう少しで30秒台を出せて嬉しい。昨日の100mでは悔しい思いをしましたが、高い目標が出来たので、8月のパンパシフィックに向けてコンディションを整え、私も5秒台で泳げるように頑張って行きたい」。取り戻した笑顔で快活に語った。
≪女子100m背泳ぎ決勝 酒井志穂≫
酒井志穂(山梨学院カレッジスポーツセンター研究員 ミキハウス山梨)は、ロンドン五輪出場を逃したあと一時水泳を離れたが「私には水泳しかない、山梨でリオを目指そう」と高校時代の同級生鈴木聡美と一緒に神田忠彦監督の指導を受けている。大きな挫折を味わった上に、昨年は腰を痛めて半年間泳げないシーズンを送った。しかし、2年間もがき苦しんできた酒井はこの日の100mで見事に復活した。50mでは3番手だったが、残り5mでトップに出て1分00秒68で優勝、ものすごく久しぶりに表彰台の一番高いところに上がった。酒井志穂選手は「この2ヶ月間は、毎日9000m、人生で最も泳ぎ込みました。やっと自分の殻を破ることが出来たと思います。前はこういう感じで泳いでいたなという感じもつかめました。最終日の200mも全力で泳ぎ、世界で戦える選手になりたい」。やっと流せたうれし涙を押さえて語った。
≪男子200自由形決勝 江原騎士≫
江原騎士(えはら ないと 3年 山学高)は、高校時代は全国的には無名選手だったが、山学大入学後神田忠彦監督の指導を受け、シドニー記念水泳場で連日猛練習に励んでいる。昨年のこの大会でこの種目3位に入りトップ選手の仲間入りをした。午前中の予選で1分48秒71の自己ベスト(県新・山学新)を樹立、予選トップで夕刻からの決勝に進んだ。決勝進出者は入場する時に、一人一人、テレビカメラが待ち構える入場ゲートから入ってくる。去年に比べると落ち着いて入場してきたように見えたが、泳ぐコースは予選トップ者に与えられる栄光のセンターコース、実際は相当に緊張していたのであろう。スタートの反応は0秒58で一番早い反応だったが、泳ぎにスピードと切れがなかった。 「前半をやや抑え気味に入った」と語ったが、50mを4位(25秒38)でターンした、100m(53秒06)も、150m(1分20秒15)も4位でターン、最後まで伸びきれずそのまま予選より悪い1分49秒07の4位でゴール板にタッチした。江原騎士選手「予選で自己ベストを出せたのは良かったが、決勝は思ったよりタイムが出なかった。前半をいつもよりゆっくり入り、後半伸ばすレースをしたかったのだが、伸ばせなかった。明日の400mでは表彰台を目指したい」。優勝したのは隣の5コースを泳いだ五輪メダリストの松田丈志(セガサミー)だった、トップスイマーになった江原は自分のレースに納得していなかった。
前半の2日間を終えた山梨学院勢は、鈴木・酒井の2人が優勝、江原4位のほか、女子800m自由形の松浦由佳(2年 福井・北陸)が予選6位で21日の決勝進出を決めた。酒井以外の女子100m背泳ぎは瀬下茉莉(1年 愛知・豊川)がB決勝3位(全体11位)、竹迫麻澄(3年 愛知・中京大中京)19位、山下安輝(3年 山口・豊浦)23位となった。男子1500m自由形の木村雅人(3年 宮城・東北)15位、100m自由形の江原騎士は22位、400m個人メドレーの青木健紘(4年 香川・高松工芸)28位、女子800m自由形浅山美貴(2年 静岡・磐田農)30位などとなった。
文(M.T)カメラ(平川大雪)2014.6.20
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