「来年は・・・必ず」と誓った日から1年、山学大テニス部女子は、ものすごく強くなり、再びの夢を勝ち取った。学生テニス界最強リーグ「平成26年度関東大学テニスリーグ戦1部」最終戦で専修大を7−0と圧倒、リーグ戦通算成績を4勝1敗とし準優勝した。リーグ戦優勝・準優勝チームには"王座"(全日本大学対抗テニス王座決定試合)への出場権が与えられるので、大学日本一を決める"王座"への出場権を獲得した。優勝は5戦全勝の早稲田大、4勝1敗の山学大が2位、3位に3勝2敗の慶応大、4位専修大、5位亜細亜大、6位筑波大となった。山学大テニス部女子は創部9年目ながら、100年以上の歴史と伝統を持つ早大、慶大テニス部らと肩を並べ、関東を代表するチームに急成長した。2年ぶり2度目の“王座”に挑む。
リーグ戦は9月2日から10日までの間に1部の6校が総当りで各5試合を戦う過密日程の短期決戦。山学大は、2日の初戦で優勝10回を誇る伝統校の亜細亜大を6−1で下し波に乗った。3日の第2戦も筑波大を6−1で下した。5日の第3戦慶応大戦は非常に厳しい戦いだったが、主将のS4岡田優里が敗戦寸前のところから大逆転勝利し4−3で辛勝した。9日の第4戦早稲田大戦は全員が善戦しながらも2−5で早大の壁に阻まれた。向かえた10日の最終戦、専修大とリーグ戦最後の戦いを早稲田大東伏見キャンパステニスコートで行った。
平成26年度関東大学テニスリーグ最終戦
山梨学院大VS専修大 (9/10) 於早大東伏見テニスコート |
|
勝敗 |
山梨学院大 |
|
専修大 |
D1 |
○ |
尾崎仁美
久次米夏海 |
6−4
4−6
7−6 |
下川 花
入江真子 |
D2 |
○ |
本郷未生
寺見かりん |
6−4
6−0 |
清水千夏
杉浦佳代 |
S5 |
○ |
尾崎仁美 |
6−4
6−0 |
入江真子 |
S4 |
○ |
岡田優里 |
6−4
7−5 |
坂本明香 |
S3 |
○ |
本郷未生 |
6−2
6−0 |
清水千夏 |
S2 |
○ |
寺見かりん |
6−3
6−4 |
中束涼子 |
S1 |
○ |
久次米夏海 |
6−2
6−3 |
下川花 |
総計 |
○ |
7 |
D2−0
S5−0 |
0 |
山学大テニス部女子は、ものすごく強くなった。高校時代の実績は久次米夏海のベスト16が最高ぐらいで、ほとんどがインターハイに出たかどうかの選手ばかり。インターハイ上位選手が集結する早慶がエリート集団だとすると、いわば無名選手集団。しかし、入学後、日本テニス協会S級エリートコーチ三好勲コーチの指導の下、選手たちは9番コートと呼んでいる裏山への山上りダッシュや体力と体幹を鍛えるトレーニング、個性を伸ばす練習を通じて一人一人が急速に力を伸ばしている。
8月のインカレには、岡田優里主将(4年 三重・四日市商)、下道愛里紗(4年 福井・仁愛女子)、中川知聡(4年 静岡・静岡市立)、尾崎仁美(4年 徳島・小松島西)、久次米夏海(3年 大阪・城南学園)、本郷未生(3年 神奈川・東海大相模)、寺見かりん(2年 岡山・山陽女子)、福井景子(1年 群馬・共愛学園)の8人(Sに5人、Dに4ペア)を送り込むチームになり、シングルスの久次米夏海とダブルスの本郷未生・寺見かりんペアが創部初のベスト4を獲得した。
いかに強くなったかを証明する資料に、2年前のリーグ最終戦結果がある。対戦相手は、今回とまったく同じ専修大、2−5で敗れている。二つの対戦結果を見比べると、チームの成長が見えてくる。
[比較検討資料・2年前のリーグ最終戦結果]
平成24年度関東大学テニスリーグ最終戦
山梨学院大VS専修大 (9/12) 於有明テニスの森公園 |
|
勝敗 |
山梨学院大 |
|
専修大 |
D1 |
● |
岡田優里
久次米夏海 |
3−6
3−6 |
下川 花
入江真子 |
D2 |
● |
田村実里
泉水玖瑠美 |
6−7
6−3
6−7 |
難波沙樹子
金子真理子 |
S5 |
○ |
久次米夏海 |
3−6
6−1
6−0 |
多田奈央 |
S4 |
● |
下道愛里紗 |
3−6
4−6 |
中束涼子 |
S3 |
● |
岡田優里 |
4−6
6−7 |
金子真理子 |
S2 |
● |
田村実里 |
6−1
6−7
4−6 |
入江真子 |
S1 |
○ |
松田望実 |
3−6
6−3
6−3 |
難波沙樹子 |
総計 |
● |
2 |
D0−2
S2−3 |
5 |
最終戦の試合後、集合した選手に対し富岡信也総監督は「試合に出場した選手は試合を通して学んだこと、応援した者は試合を見て学んだこと、それぞれ相当学んだと思います、必ず自分のものにして、次を目指して下さい」と話しかけた。富岡好平監督は「早稲田が慶応に3−1リードという途中経過でまだ結論が出ていませんが、2年前に王座に初挑戦した時は、不甲斐ない結果に終わりました。もし、王座に行けることになったら、前回のてつを踏まないように目標に向かおう」と励ました。三好勲コーチは「この10日間、どうなるか分からない試合がいっぱいありましたが、選手一人一人の底力とベンチワークと応援の力が結集されて4勝1敗という過去最高の結果を得ることが出来ました。ただ、もし王座に出れるとなったら埋めなければいけない課題も如実に出ています。帰ったら反省会をして、チーム全員で次に向かいましょう」と全員の心を鼓舞した。岡田優里主将は「5連戦は、とても、しんどかったですけど、戦っている間中、仲間の応援にものすごく励まされました。一人じゃないという思いがこういう結果につながったと思います。今回早稲田に負けたのは、私たちにまだ隙があるから、明日から隙を埋める練習をしっかりやって、日本一を勝ち取りたい」と決意を述べた。最終戦の後輩たちを励まそうと駆け付けた2年前の卒業生(4期生)藤井琴美さん・中島由佳梨さん・猪俣里菜さんの3人は「入って来た時は弱かった後輩たちが、どんどん成長していることにびっくりしています、すごくトレーニングしていることが分かります。ここまで来たんだから、王座で早稲田を負かして日本一になってほしい」と笑顔でエールを送っていた。
今年の山学大テニス部女子は、2年前には行った監督・コーチの胴上げをしなかった。それは、早慶戦が試合途中で結果が出ていなかったこともあったが、結果が分かっていたとしてもしないつもりでいた、胴上げは“王座”で勝った時と決めているから。昨年のリーグ最終戦で早大に3−4で敗れ3位となった時、有明テニスの森公園のナイター照明の下で円陣を組み、「フレー、フレー、ヤマガク」、「フレー、フレー、ワセダ」と涙でエール交換をした時、全員がその心に固く誓った、「来年は・・・必ず勝つ、王座で早稲田に勝つ」と。今年の王座は10月24日から有明で開催される。山学大チームは、大学日本一を決める大会の最終日最終試合に勝利して胴上げを行うつもりだ。
文(M.T)カメラ(平川大雪)2014.9.10
| アルバム1 | アルバム2 | アルバム3 |